リブート版『猿の惑星』4連発
『PLANET OF THE APES / 猿の惑星』(2001年 ティム・バートン監督)
「猿の支配する惑星は今回は地球ではない」という大嘘をついて宣伝された、ほとんど詐欺のような作品。登場する猿たちが英語をしゃべるのは、主人公より前に「その惑星」に到着していた「前任者」が「教育していたからだ」とされたのです。そんなにまでして猿が英語をしゃべるようにしたかったのは、もちろんその惑星が地球だったからだというオチにこだわったからでした。金返せ!と言いたい。
『猿の惑星:創世記』(2011年 ルパート・ワイアット監督)
誰がどう見ても『猿の惑星・征服』のリメイクなのだが、関係者全員が口をそろえて「違う!」と言い張る不思議な作品です。この時すでに「猿に支配される惑星は地球だ」というオチは知れ渡っていたので、「いかにして地球は猿の手に落ちたのか?」という前日譚にしたら同じストーリー展開にならざるを得なかったのでしょう。「猿インフルエンザ」という人工ウィルスが全ての元凶と設定されます。
『猿の惑星:新世紀』(2014年 マット・リーヴス監督)
いかにして猿と人間の全面戦争が不可避なものになってしまったかという根本的な悲劇を正面から描きました。ここでも「猿は猿を殺さない」という掟が出てきてイヤな予感がしたものの、旧作とは違って御都合主義的なハッピーエンドに利用されるのではなく、シーザーが本当は人間との共存を本気で模索した証として効果的にドラマを盛り上げています。「猿」による「人間」ドラマと言えるでしょう。
『猿の惑星:聖戦記』(2017年 マット・リーブス監督)
人間と猿の対立というのみならず、猿を裏切る猿、人間を裏切る人間、そして「猿インフルエンザ」の副反応で言語能力を失った人間たちをも交えた複雑なドラマが織りなす哲学的な内容が高く評価されました。普通はシリーズを重ねるとクオリティは下がっていくモノなのに、このリブート版『猿の惑星』シリーズはクオリティをアップさせ、旧作の第1弾に見事につながる完璧なストーリー。脱帽!