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今日ひらくのは、あなたのキャリアの “かくし棚” のひとつ。ここには、働き方を整えるための小さなヒントをしまっておこう。

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「もう50代だし、今さら転職なんて無理かな…」

由美がぽつりとつぶやく。


「どうして急にそんなこと考えたの?」

奈緒が机越しに聞く。

由美はため息をついた後、ノートを取り出す。

まだ元気なうちに、

① 自分の経験を活かせる環境で働きたい。

② 体や心の負担が少なく、家庭とのバランスも取りたい。

③ 新しい挑戦で、もう一度自分の力を試したい


「希望を書いてみたの」


由美は小さく息をつき、ページをめくると、これまでの仕事の記憶や思い出が次々と浮かぶ。

「今までの職務の整理してみようかな」

そうつぶやくと、胸の中のもやもやが少しずつ整理されていく気がした。


奈緒が微笑む。

「50代だからこそ経験やスキルはある。でも、自分に合った働き方を見つけるには、まずこれまでのキャリアを整理することが大事だよ。書き出すことで、次に何をしたいかが自然と見えてくるから」


二人で微笑んだ。



…立ち止まって整理する


これまでのキャリアを振り返ることから始める。

どんな仕事で、どんな瞬間に「やりがい」を感じたのか。どんな環境で自分は力を発揮できたのか。


50代の由美には、豊富な知識と経験がある。そのすべてが、これからの転職でも大きな財産になる。

思い出しながら書き出してみると、自分にとって本当に大切なことが見えてくる。


📍 実践ポイント

•今までの仕事で「これは続けたい」「これは手放してもいい」と思えることを3つずつ書き出す

•小さな成功体験や、心が温かくなった出来事も書き出す

•書き出すことで、自分の価値観や大切にしたい働き方が整理される


…力を見える形にする


50代の由美には、積み重ねた経験とスキルがある。

でも、その力をそのまま頭の中に置いているだけでは、相手には伝わらない。


「人を育てた」「プロジェクトを任された」「現場を支えた」――どんな小さなことでも、具体的なストーリーや数字を“実績”として職務経歴書に落とし込む。



📍 実践ポイント

•過去に任された仕事や感謝された経験を3つ思い出して書き出す

•数字や期間、チーム人数など具体的な情報を加える。


…つながりを大切にする


50代の転職で忘れがちなのが、人とのつながり。

求人サイトだけでなく、これまで関わってきた人脈に頼ることも一つ。


昔の同僚や上司、業界の知人――

ちょっとした連絡や近況報告から、新しい仕事のチャンスや意外な情報が舞い込むこともある。


📍 実践ポイント

•昔の同僚やお世話になった人に、SNSやメールでもOK、メッセージを送ってみる。

・その時、新しいことに挑戦していることも書いておく。


…手放す勇気を持つ


これまでの役職や肩書き、キャリアで培ったプライドは大切なもの。

でも、新しい環境に挑戦するときは、一度それらを手放す勇気も必要。新しい職場では、“学ぶ側”に戻ることもあるかもしれない。

それを「後退」と考えるのではなく、経験と新しい学びが掛け算されるチャンスと捉える。


📍 実践ポイント

•今の自分が一から学びたいことを1つ挙げてみる

•「できないこと」や「わからないこと」も

学ぶチャンスと捉える

•肩書きに縛られず、自分の経験を活かして

新しい役割に挑戦してみる


…トータルで考える(働き方×暮らし×お金)


転職は「仕事だけ」の問題ではない。

働き方、家計、健康、老後――すべてを含めて考えることが、50代の転職を成功させる鍵だ。


「残業は少なめ」「通勤時間は短くしたい」「趣味の時間も大切にしたい」――

こうした希望を現実の生活や収支と照らし合わせることで、自分に合った働き方が見えてくる。


📍 実践ポイント

•現在の生活費と理想の働き方を表にして書き出してみる

•何を優先したいか、何を譲れるかを整理する

•生活全体を見直すことで、無理のない働き方や転職先が見えてくる

・会社に勤めることだけが、選択肢なのか考えてみる。



🌿 まとめ

た:立ち止まって整理する

ち:力を見える形にする

つ:つながりを大切にする

て:手放す勇気を持つ

と:トータルで考える(働き方×暮らし×お金)


50代の転職は、経験と人脈を最大限に生かすチャンス。

焦らず、自分に合った道を一歩ずつ探してみよう。