30代のはじめ頃に出会った本がある。
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禅の思想というのは面白い。
中には好戦的なものもあったりする。
何しろ臨済義玄禅師その人が、師匠である黄檗師を殴って印可を承けるという
破天荒な人であったことから、その宗風は峻烈なもので良しとされるのだろう。
その中に特に忘れられないものが1つだけある。
もう何度も私のこのブログでも書いたことがある。
「水五則」がそれだった。元は中国の思想家老子のものだとか、豊臣家の家臣であった
黒田如水の創作したものだとか言われているようだが、結局のところ定かではないらしい。
「水五則」
一、自ら活動して他を動かしむるは水なり
二、常に己の進道を求めて止まざるは水なり
三、障碍に逢いて激しくその勢力を百倍し得るは水なり
四、自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るる量有るは水なり
五、洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨雪と変じ霰と化し、
凝しては玲瓏たる鏡となりたえるも、其の本性を失はざるは水なり
いかにも戦国武将の好みそうな思想だと思った。それと同時に強く魅せられた。
こんな生き方が出来たら、どれほど人生が楽しいだろうかと思ったものだった。
余程強烈な自負が無ければ、その性を失わずにいられることは無理な話だろう。
私は「人は生きていく上で、敢えて倫を侵さなければならない事がある」と考えている。
簡単に言えば必要悪だ。
競合企業との争いが熾烈な場合などは、情報戦は必要不可欠になる。
自社利益の為に計を巡らし、人をたらし、堂々と嘘をついて見せる必要もある。
突発事態には常に先んじて手を打ち、相手を出し抜いて得意気にもなる。
自分の描いたシナリオ通りに事が運べば、自らの手腕に自己陶酔までする始末。
出来るだけ損害を出さずに勝ちを拾う。ここ最近では孫子の兵法も参考にしてきた。
一部の経済活動(政治もだろうが)にはそういう側面がある。つまり、汚い。
そういう汚さを持ちでもしなければ、心が先にやられてしまい闘いきれない。
奇麗事、良識だけで動かない世の中なのだから仕方がない。
だから私は、自分のしてきた事を人様に自慢できるような人生は、歩んでいない。
ろくな死に方をしないだろうと思っている。それも因果応報だから仕方がない。
それでも培ってきた知識や経験は、別の場所で人の窮地を救う為に役にも立つことがある。
悪党だからこそ悪党の考えることを読むことができるのだから。
私は善人ではない。
性善説も信じていない。
私の周りにいる友達を見ては、素のままでなんて魅力の溢れる人なんだろうと思うことがしばしば、ある。