平成11年10月26日埼玉県桶川市のJR桶川駅前で、一人の女子大生が何者かに背中と胸部の2ヵ所を鋭利な刃物で刺され殺害された。彼女は通学のために最寄の桶川駅に自転車を停め、鍵を掛けようとした時に刺されてしまった。
一瞬の出来事だった。
彼女はその場にしゃがみ込んだ。その足元に、見る見る血溜りが広がっていった。
彼女を刺した犯人は半笑いでニヤニヤした感じで逃走をしたという。
白昼堂々と、人通りも多い場所での大胆な犯行だった
最初は通り魔の犯行だと思われていた。しかしこの事件は通り魔ではなかった。
被害者、猪野詩織さんは元恋人、小松和人に執拗にストーカー行為をされていた。
ストーカー・・・
詩織さんは小松和人という狂気に無残にも巻き込まれてしまった。
二人の出会いはごく普通の出会いだった。
プリクラを友達と撮影していた詩織さんに小松から声をかけた。
小松は車販売の青年実業家だと詩織さんに話をした。
付き合い始めはドライブに行ったり食事をしたりしていた。
次第に小松はは詩織さんに高価なプレゼンを送りつける。
度を過ぎる高価なプレゼントに詩織さんは困惑をした。
小松の態度は次第に怪しくなっていく。ドライブの時の運転が荒かったり、やくざ風の知人がいたり・・・
とにかく小松は激情的な男だった。
うっすらと小松の狂気を感じていた詩織さんは小松に別れ話を切り出す・・・・
その時、小松の狂気が詩織さんに牙を剥いた。「風俗に売り飛ばしてやる」「家族をめちゃくちゃにしてやる」「金さえ払えばいうこと聞く奴は幾らでもいる」「お前の事を追い込んでやる」等々、詩織さんに対して脅迫をしてきた。
興信所に依頼をし、詩織さんの身の回りを徹底的に調べ上げた。
詩織さんの男友達に電話をして「詩織と交際するな。近づいたら告訴するぞ」などと脅した。
30分おきに詩織さんに電話をし、何をしているのか確認をする。自分の意のままにならないと詩織さんに対しキレた。
詩織さんは小松から嫌われる為に、髪型をアフロに近いような髪型にもした。しかし、小松はこの髪型を変えた原因を詩織さんの友達から既に聞いていたのである。
「そんなことしても無駄だ」
小松は先回りをしてどんどん詩織さんを追い込んでいった。
小松と見知らぬ男数人が「詩織さんいますかぁ。あがらせてもらいまーす」と勝手に家に上がりこんできた。1人の男が小松の会社の上司だといって、「会社の金を横領した小松が貢いだ金を返せ」などと脅迫した。詩織さんの父親が「話があるなら警察に行こう」と言うと、男は「このままではすまないぞ。お前の会社に内容証明の手紙を送る。覚えておけ」と凄んだという。
-警察の怠慢-
心身疲れ果てた詩織さんは家族と相談の上、上尾警察署に訴えた。
ここれまでの経緯を順に説明し、小松の発言した言葉を隠し録りしたテープを証拠として持って行った。
八方塞の彼女が助けを求めた上尾警察署の年配の警官は
「ダメダメ、これは事件にならないよ」
「そんなにプレゼントをもらってから別れたいと言えば、普通男は怒るよ。あなたもいい思いしたんじゃないの?男女の問題だから警察は立ち入れないんだよね」と信じられない言葉が返ってきた
それから小松は嫌がらせをエスカレートしていった
誹謗中傷をするビラが家の付近、詩織さんの通っている大学付近のあらゆる所に貼られた。
詩織さんは小松を告訴することにした。
上尾署は「今、試験なんでしょ。試験が終わってから出直して来ればいいのに」と言って被害者の告訴を嫌々な態度で受けた。
父親勤務先の会社にまでも嫌がらせの文書が本社、支店合わせて1200枚も送られてきた。
父親が警察にこの紙を持っていくと
「これはいい紙を使っていますね。手がこんでいるなぁ」と発言したらしい。
ある日警察から告訴を取り下げて欲しいとの申し出があったが、詩織さんと家族をこれに応じなかった。
「告訴を取り下げても、直ぐにまたできますから」
と発言をしたらしい。
これはまったくの嘘で一度取り下げた告訴は二度と告訴をする事はできない。
後日、判明したこの告訴取り下げの申し出の真相だが、実はこの事件に関わっても警察には厄介な事にすぎず、むしろ他捜査の妨げになるとの事で、担当刑事が告訴の取り下げを詩織さんの家族に申し出をしたらしい。しかし、詩織さん家族に拒否された為、なんと担当刑事は「告訴」を「届け出」に改ざんしたのだった。必死の思いで訴えたのに、警察は詩織さんを見殺したのだった。
-犯人を追い詰めたのは週刊誌記者-
警察は詩織さんの告訴があった後に殺人に巻き込まれたにもかかわらず、警察は自らの保身に躍起になった感じだった。その事実が世間に広がれば、警察の名誉を傷つける事になるからと思われても仕方が無い。
警察は情報操作をするためか・・・詩織さんの殺害時当時の格好を発表する。
「バックはプラダ」「厚底ブーツ」「黒いミニスカート」
事件とは何ら関係は無く、普通の女子大生の格好だ。
しかし、ワイドショーなどはこの事を大げさに報道した。
「ブランド依存症の女子大生」
そんな間違った情報が一人歩きをしてしまった。
詩織さんがストーキングをされていた事実や経緯を前もって知っていたにもかかわらず、警察の手で犯人が追い込んだのではない。
この事件を追っていたフFOCUSの清水潔記者が詩織さんの友人から
「詩織は小松と警察に殺されたんです」との発言に突き動かされて地道な取材をしていき、犯人を追い詰めたのだ。決して警察の力ではない。
清水さんの取材の中で事実が明るみになってきた。
小松和人は池袋を中心に風俗店を数件経営していた。詩織さんに言っていた車販売の仕事は嘘であった。
詩織さんを刺殺した実行犯は、人相、特徴から風俗店の従業員だった保田祥史(当時34歳)である事を付き止めた。さらに同僚の伊藤嘉孝(当時32歳)、川上聡(当時31歳)も共犯であることを付き止める。
彼らが一連のストーカーなどや殺人など、小松に1800万円で依頼され実行したのだ。
清水さんは某記者を介して警察に連絡。警察もようやく動き出した。
しかし、肝心な小松和人の行方がいっこうに分からなかった。
沖縄好きの小松は沖縄に逃走し潜伏しているとも噂をされたが、北海道へ逃亡していた。小松は屈斜路湖にて自殺していた。凍死した死体を司法解剖した結果、小松和人本人であることが確認された。
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