ロシアドラマ『キプチャク汗国』 《タタールのくびき》への疑問符 | ロシアのドラマが好き

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ロシア文化関係の話をそこはかとなく

昔、古代ローマの市民は「パンと見世物を!」と叫んで暴動を起こしたりしたそうですが、私…その気持ち、わかるなあ。

私なら「パンとドラマをビックリマーク」って叫ぶと思う ニヤリ


でも、すでにこの世はネットの春。ドラマは見切れないほどたくさん手に入るから、あと私に必要なのは、ドラマを見る時間だ。もうすぐ国民の義務(勤労の義務)を果たしにいかないといけないし……季節労働者なので ショボーン。ドラマを楽しめる時間はあとわずか。



さて、今 夢中になっているのは、前にも書きましたが、ロシア・チャンネル1(Первый канал)のキラキラ『キプチャク汗国 "Золотая Орда"」キラキラ

ひょっとしたら、『ジョチ・ウルス』とか『ゴールデン・ホールド "Golden Horde"』とか『金帳汗国』っていった方がいいのかもしれない。難しいなあ…。ロシア語の"золотая" は「黄金の」という意味、"орда" は「汗国」という意味だけど、もともとは「天幕」の意味だったとか。いずれにしても、モンゴルから分かれてきた歴史上のあの国のことです。


『タタールの軛(くびき)』っていうけれど、ちょっと、ピンとこない。想像するのが難しい。そのあたりの時代のドラマです。


ドラマの最初に「このドラマは歴史を題材にしたファンタジーです」っていうただし書きが、これでもかとばかり、毎回でてきます。(そんなの、見ればわかるよ〜、中国でいえば、金庸大先生のドラマみたいなもんよね)と思いながら見てる私。

でも、史実をベースにしているから、むちゃくちゃ面白い。
しかも、いままで知らなかった未知の世界。山川の世界史とGoogle先生に教えを請いながら、見てますよ。(だから、さっき、急に古代ローマ人の話がでてきたわけ)
 



さあ、さあ、ここからDASH!
さらに、かなりディープな話になりますよ〜。ネタバレもありますよ。こんな話につきあって、いいんですか??


覚悟ができた方はお読みください ニヤニヤ


時は13世紀、キプチャク汗国のベルケ大ハーンの時代。大ハーンの命を受けて、甥のモンケ・テムル・ハーンの一団が、ルーシの都市国家ウラジーミルへやってくるところから始まります。


モンケ・テムル・ハーン

『ガーディアンズ』にも出演した、カザフスタン出身のイケメン俳優サンジャル・マジが演じています。素敵このうえなしラブラブ  アジア的なつれなさがまた尊い ラブ


片や、ルーシは都市ウラジーミル大公国にヤロスラフ大公をいだだく都市国家の集団。



弟のボリス公はスーズダリ公国、長男のウラジーミル公はノブゴロド公国を治めています。


モンケ・テムル・ハーンは友好の印に、タタールの美女5人を連れてきて、ヤロスラフ大公にプレゼント。ちなみに、キプチャク汗国は最上層の支配層はモンゴル人だけど、あとは急速に現地のタタール人と同化していったとか。だから、モンゴル=タタールってよく言うんですね。

で、プレゼントされた美女の中には、かわいくって、純粋なナルギスも。



彼女は自分がヤロスラフ大公の花嫁になると信じてる。一夫多妻制でいいんだもん、という感じ。
もちろん、正教徒のラドミーラ大公妃は憤懣やるかたなし。
しかも、ヤロスラフ大公の心がナルギスに傾いていってしまうから、さあ大変。人々は、「大公が異教徒の魔女にたぶらかされている〜!!」と騒ぎ出すわけですよ。



ちょっと、話が先に進んでいってしまいました。戻りましょう。



最初の話へ。
とはいえ、力関係はキプチャク汗国が圧倒的に優位。モンケ・テムル・ハーンはルーシ側に4万人の兵士を差し出すよう命じる。
(このころ、キプチャク汗国は、ペルシャあたりのイルハン朝の始祖フレグと敵対しているのです。史実にも1262年ベルケ・フレグ戦争とあります)


ところが、モンケ・テムル・ハーンの前に、ダメダメ夫であるボリス公の妻、ウスチーニヤ公妃が現れる。
彼女は、美人なうえ、すごく賢い。女性の価値を見抜く目をもっているモンケ・テムル・ハーンは、ウスチーニヤ公妃を差し出せば、なんと兵士を1万人にまけてやると言い出すのです。




なんか、飛躍しすぎな話だけれど、3万人ものルーシの兵が助かるならやむなしって感じになり、こうしてウスチーニヤ公妃は1万の兵士とともに、キプチャク汗国へ連れて行かれる。

そして、ロマンスが〜 ラブ


さらに、もう一つの軸は、キプチャク汗国のベルケ大ハーンによる、都市ベルケ・サライ(新サライ)の建設。ベルケ大ハーンがイスラム教を国教として受容したのも史実。それで、彼は都市建設にあたって、モスクの建設を命じ、たくさん連れてきたルーシ人たちを建設作業に従事させているのです。

その建設に従事するルーシ人たちの中で、中心的な役割をしているのが、チョーマ(アルチョム・アレクセーエフ)演じる、スーズダリ出身の元豪商イワンです。



彼の妻が、夫に会いたいばかりに、男装し、戦士に身をやつして、キプチャク汗国にやってくるのも見もの。



でも、さらに目が離せないのは、モスク建設のためにウラジーミル大公国から連れてこられた、画家のニコライと、彼が恋をしてしまった、ベルケ大ハーンの一番若くて美しい妻アイジャンとの悲恋。(ひょっとしたら、悲恋じゃないのかもしれない。まだドラマは終わってないから)





おまけで、キプチャク汗国に実在した人物、モンケ・テムル・ハーンのライバル、ノガイ・ハーンもかっこいい 爆  笑 ベルケ・フレグ戦争でキプチャク汗国側の総司令官なんです。




予告編で、雰囲気をお楽しみください↓↓




今日の夜、ついに最終回15-16話が放送されるんですよ。こんな壮大なドラマが、あと2話で終わっていいのか?終われるのか?今から私は心配です 滝汗



で、昔は、『タタールのくびき』って、ロシア人(ルーシ人)が一方的に虐げられて悲惨だったとか、ロシアの後進性の原因だとか、という説が常識だったそうですが、いまは違うんですよ(若者を気取る私 ニヤニヤ) (ここをいっぱい書きたかったのに、力切れ …… 面目ない ショボーン いつか、書き足すつもり。今は、詳しくは山川の世界史とかを読んでね)


このドラマでも、ルーシ人同士の権力争いに、ルーシ側がキプチャク汗国の大ハーンをなんとか取り込もうとしていたりします。


さらに、このドラマの面白いところは、俳優さんたちの多様性ですね。ロシアだけじゃなく、カザフスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンなどなど、各地からアジア系の外見をもつ俳優が参加しています。


こんなの見たことなかった!って感じのドラマで、感動です。こんな力を入れたドラマが、開局何周年記念ってわけでも、お正月でもなく、放送されるって、ロシアってすごい国ですよね。関心しちゃう。


え?みなさんも見たいって?

それは、困りましたね。私にはどうにもできません 真顔

ロシア語を勉強するか、チャンネル銀河にお願いするしかないのでは?


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