第9話
「そらのうたと星のしずく」
ある夕方。
りかちゃんとユウくんが
一輪車で田んぼ道を
走っていると、
カエルの形をした雲が
また空にふわっと
あらわれました。
「今日はどこへ行くのかな?」
そう言いながら
追いかけていると、
雲はオレンジ色の夕焼けの中、
ゆっくりと山の向こうへ
向かっていきます。
山を越えると――
そこは、夜空と夕空がまじわる
不思議な場所。
星がまだ眠そうに
瞬きはじめていて、
どこからか小さな歌声が
聞こえてきます。
「…そらが歌ってる?」
耳をすますと、
雲が口ずさんでいるようでした。
歌にあわせて、
空からぽたり、ぽたりと
小さな光のしずくが
降ってきます。
それは「星のしずく」。
一粒手に取ると、
心の中が
ポカポカあたたかくなります。
「これ、願いごとを
かなえるんだって!」
雲がやさしく教えてくれました。
りかちゃんは
「もっと楽しい冒険がしたい!」
と願い、
ユウくんは
「ずっとこの旅が
続きますように!」
と願いました。
すると――
二人の一輪車の車輪が
キラキラ光り、
まるで星空をすべるように、
空の道があらわれたのです!
「わぁ!空の道だ!」
二人は笑いながら、
その道を走り出します。
星のしずくを追いかけて、
ぴょんぴょん雲は
先頭で歌いながら
進んでいきました。
今夜の冒険は、
星と歌に包まれて――
まだまだ続きます。
