ぴょんぴょん雲を追いかけて
ある日、りかちゃんと
ユウくんは、
野原の小道を一輪車で
くるくる走っていました。
「今日はどこまでいけるかな?」
「競争しよっか!」
風がふわっと
ふたりの髪をゆらします。
ぽかぽか、きもちのいい空。
ふと、
ユウくんが空を見上げました。
「りかちゃん、見て!
あれ…カエル?」
空に浮かんでいたのは、
ぴょんっと跳ねそうな
カエルのかたちの雲。
「ほんとだ!
なんか元気にとんでるみたい!」
「追いかけてみようよ!」
ふたりは一輪車で、
カエル雲を
追いかけはじめました。
ペダルをぐんぐん、
風をビュンビュン!
カエル雲は、
森のほうへぴょんっ!
ふたりは木のトンネルを
すいすい通りぬけます。
リスたちが
「がんばれ~!」
と手をふって、
枝のうえでキツネが
あくびしています。
次にカエル雲は、
川のうえをぴょ~ん!
りかちゃんとユウくんは
橋のうえを
くるくるっと走ります。
「カエルくん、どこに行くの~!」
カメのおじさんが
ゆっくり言いました。
「西の丘に、とんでいったよ~」
ふたりは、
ながい坂道をのぼっていきます。
ふくらはぎがちょっと
プルプルするけど、
「もう少しだ!」
「がんばろうね!」
一輪車をこぎこぎ、
てっぺんまで登ると――
そこに現れたのは、
王さまみたいなカエル雲!
キラキラの冠をのせて、
空いっぱいに ふわっと
広がっていました。
「うわぁ~、かっこいい!」
「カエルくん、
王さまだったんだ!」
王さまカエル雲は
にこっと笑って、
空のむこうへ……
ぴょ~~~ん!
あとにのこったのは、
きらっと光る星がひとつ。
りかちゃんとユウくんは、
そっと一輪車をとめました。
「たのしかったね、ユウくん。」
「うん、また あしたも、
追いかけっこしようね。」
[m:66]おしまい[m:66]
