今月のレコ芸について(2011年4月号) | 書き散らしの日々

今月のレコ芸について(2011年4月号)

まずは、震災で被害に遭われたみなさまに。たとえどれだけクラシック音楽を愛してらっしゃる方でも、日頃クラシック音楽によって心癒されてきた方でも、今はとてもそんな気になれない、音楽を聴いても気が晴れない、自分にとって音楽がもう必要ないように感じられる、そういう方もおられると思います。ささやかな私事が発端ながら、私にもそういう心境になったことが、これまでに何度かありました。でも、いつかはまた(前と同じ気持ちではないにしても)音楽を聴き直したいと思われる時が来ることと思います。その時がなるべく早くみなさまに訪れることを、心から願っております。

本文はいつも通り?雑誌『レコード芸術』に書いた記事についての補足です。11年4月号の連載「インターネット配信音楽ガイド」では、iTunesストアを扱った前回までとは趣を変えて、ウェブサイトからのダウンロード音源について書きました。英語のサイトばかり三つ並べたのでちょっとハードルが高くなったかと思いますが、そこで内容の都合上書けなかったことを少しだけここで。

まずはflacファイルのmp3コンバートについて。私もマランツのNA7004でも所有していれば、高音質のflacファイルをそのまま聴くことができるのですが、とてもそれだけの予算は捻出できず、私の家ではいったんmp3ファイルに変換してiTunesから聴いてます。変換用のソフトウェアには、Switchというのを使っています。英語版ですが、ダウンロード・ページはこちら。Windows版のダウンロード用リンクもありますので、Winユーザの方もご覧ください。

Switchはフリーウェアのはずですが、使ってると「有料版へヴァージョンアップして下さい」という案内が出ることがありました。でも、そのままにしても使えてるなあ、今のところは。

次に、プリスティン・クラシカルで販売されているmp3ファイルについて。記事でも触れていますが、ここで売っているファイルはCD1枚分を1本のファイルにまとめていて、そのままではたいへん使いにくいものになっています。これは、それぞれの音源を紹介してるページから、その音源(つまりここではディスク)用のcue sheetというのをダウンロードして、これを使ってmp3ファイルを切り分けることになります。個別の音源の紹介ページ下方、"CD-writing cuesheet"とタイトルのあるアイコンをクリックしてダウンロードして下さい。(ただし、私の環境(Mac & Safari)では、なぜかダウンロードしたファイルの拡張子が.cue.htmlとなってしまって、そのままでは使えません。拡張子を.cueのみに縮めて書き換える必要がありました。)

これに使用するソフトには、MacではX Lossless Decoderというフリーウェア(使ったことがないのですが、flacから直接切り分け、コンヴァートができるのかな?)、MP3 Trimmerという有料ソフトがあります(英語版;私はこれを使ってます)。Windowsでのソフトには明るくないのですが、Googleで「mp3 切り分け Win cue sheet」で検索をかけるとさまざまなソフトが引っかかりますので、そちらをご覧ください。これらに音楽ファイルとcue sheetを放り込むと、あらあら不思議、楽章ごと、曲ごとのファイルが出来上がります。

さて、連載記事中で紹介した三つのサイトはどれも優秀で、私はすっかりはまってしまい、あれこれとダウンロードし続けています。その他、最近見つけたサイトでは、ブライアン・ビショップ Bryan Bishop という人のThe Shellackophileというサイトがすごいです。この人はSP盤のコレクターなんですが、もう見たことも聞いたこともないようなディスクがてんこ盛り。オーマンディが40年代に録音したベートーヴェン、ブラームスとか、1933年に録音されたおそらく史上初めてのバッハ《ブランデンブルク協奏曲》1パート1人の録音とか。世界初録音というのにやたらつよいのがこのサイトのウリで、私はヤナーチェクの弦楽四重奏曲第2番の初録音を手に入れました。第二次大戦中、チェルニー四重奏団(20世紀前半に活躍したプラハ四重奏団——後年の同名団体とは異なる——の異名:異名の事情も掲載されてます)による演奏です。ここはデータもしっかりしてるのがありがたい限り。