県庁記者クラブでの記者会見が終わった。前回は当事者ぬきの(なんたって前回の記者会見は8月31日、解雇の当日だったのだ)記者会見だったので、生の声が聞きたいというお話もあり解雇された職員全員で出席させていただいた。おぼつかない話しぶりではあったが、こういうことはおそらく私の一生に一度のことではあるまいか。

給食部の外部委託というのはよくある話なので、関心が薄いのかと思っていたら思ったよりずっと多くの記者さんが集まってくださった。ありがとうございます。いろいろな質問も出て、終了してから時計をみたら一時間近くたっていた。緊張して時計を見るひまなんてなかったので、おどろいてしまった。前回の記者会見の内容を覚えている方もいて、とてもありがたかった。
実際、単なる外部委託だったらこうまでこじれなかったと思う。理事長いわく「障害者自立支援法のための解雇なのに労働組合を結成したとはどういうことだ」とか「外部委託にすれば簡単だったのだが、組合をつくるなんて私の温情があだになった」とかいわれたのだ。…組合はブラックゴースト(知ってる?サイボーグ009の悪役だよ)でもショッカー(こちらは仮面ライダーの悪役ね)でもない。労働者の権利なのである。一人では労働者は弱い。経営者に意見を言って聞き入れられる職場はそうはないのだ。

さて、「解雇」なんで自分とは関係ないわと思っている労働者は多い。私もかつてはその一人だった。しかし、どんなに安定してみえる職場でも思わぬところで「解雇」はやってくることがあるのである。会社がつぶれたとか、犯罪を犯したとかそういった理由とは関係なしの「解雇」は実際に存在するのだ。そして私たちに交付された辞令は「諭旨解雇」だったのだ。

さて、解雇には大きく分けて3つある。まずひとつめは「普通解雇」。これは就業規則などにもどづいて会社がおこなう労働契約の解除で、文字通りふつうの解雇。たんに解雇とだけ呼ばれる場合も多い。ふたつめは「整理解雇」。会社は経営上の問題から人員整理の解雇をおこなったりするし、もともとは私たちもこの「整理解雇」といわれていた。いわゆるリストラである。そして3つめが「懲戒解雇」だ。

そもそも懲戒とは「こらしめる・いましめる」という意味。この言葉からもわかるように、懲戒解雇とは法律違反や職場の秩序違反に対し制裁的におこなわれる解雇で、いわば問答無用のクビのこと。ちなみに懲戒解雇の具体的な理由としては、一般的に次のようなケースがある。たとえば、会社でセクハラをくり返した、会社の機密情報を他人にもらした、ひき逃げをして捕まり、会社の信用を著しく害したなど、つまり、社会人としてやってはいけない悪いことや犯罪を犯してしまったら、それは懲戒解雇になりうるということになる。

この懲戒解雇の一歩手前といわれるのが「諭旨解雇」(ゆしかいこ)だ。これはすぐにクビの懲戒解雇と違い、本人に退職を勧告するというものだが、ふたつのあいだにはそれ以上に大きな違いも存在する。じつは、懲戒解雇の場合、退職金が減額されたりいっさい支払われない。諭旨解雇はこういった点は基本的にはない(…と思う。ただいま勉強中なので)

さて、それでは私たちはいったい何をしたんだろう? 労働基準法第22条に「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあってはその理由を含む)について証明書を請求した場合においては、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない」 と定められている。しかし、いまだに証明書の交付はない(請求はしたのよ)。だから私たちは何の悪い事をして解雇になったのかいまだにわからないのだ。セクハラはされたことはあってもしたことはないし(ホントですよぅ)、機密情報なんて栄養士や調理師が知ってるのなんて、利用者の食物の好き嫌いくらいかね?ひき逃げも万引きも手が後ろにまわるようなことはいっさいありません!もちろん、無断欠勤も遅刻早退が多すぎたこともないはず。さて、いったい私たちはなぜ解雇されたんでしょう。記者会見で記者さんに「自分たちの解雇理由も知らされないんですか?」と言われたのだ。がっくり。

さて、ここでタイトルの「論旨解雇」(ろんしかいこ)がでてくる。何をかくそう、私たちが交付された辞令は「諭旨解雇」(ゆしかいこ)ではなく、「論旨解雇」(ろんしかいこ)とあったのだ。それって、いったい何? 

やっぱり国語の勉強は大切だよね。変なところで恥をかかないよう、娘にはしっかり国語の勉強するように言おうっと…
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