去年の11月30日から12月7日まで、バセドウ病で内視鏡下甲状腺準全摘術を受けるために入院しました。


その記録です。


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合併症については、『甲状腺手術の合併症』というプリントを渡され、それに沿って説明がありました。


プリントの内容と、私が受けた説明を織り交ぜて書きたいと思います。


あくまでも私が受けた病院での甲状腺手術300例以上のうちでの説明です。


①頸部の違和感

突っ張った感覚がしばらく残る。

2か月程度をピークに改善するが、長期化する場合もある。

内視鏡下手術では、首の皮膚をはがす。


②反回神経麻痺

声がかすれる。

声帯を動かす神経で、左右に1本ずつある。

2か月以内に改善することがほとんど。

切断した場合は必ず声がかすれる。

完全に切断が1例ある。

両側の麻痺がおこると呼吸困難となり、気管切開を行わなければならない場合がある。


③上咽頭神経麻痺

反回神経とは別で、高音を出すのに重要な神経。

がんの手術ではリンパ節をとるためにほとんど切断する。

高い声が出にくくなり、また長時間の会話で疲れやすくなる。

例えば、電話でしゃべり続けるとかが苦痛になる。

バセドウ病での手術では3割の患者がなっている。

ある程度なると思っていた方が良い。


④甲状腺機能低下症

全摘では必ず起こる。

低下症にするための手術とも言える。

葉切除(半分の切除)ではほとんど起こらないが、起こる場合もある。

起こった場合は、甲状腺ホルモン剤(チラージン)の内服を行う。

また、がんの場合、機能低下がなくても甲状腺刺激ホルモン抑制療法としてホルモン剤(チラージン)の内服は行う。(5年以上)


(私の場合)

全摘なので一生チラージンを飲む。

妊娠を考えると、甲状腺機能亢進症の薬であるチウラジールやメルカゾールよりもチラージンの方が薬の副作用や内容、朝1回飲めば良いこと、1日ぐらい飲まなくても大きな影響がないなどを考えると扱いやすい。


⑤副甲状腺機能低下症

副甲状腺を同時に切除することで副甲状腺ホルモンが低下し、血中のカルシウムが低下する。

テタニー症状を起こす。

(指先や唇のまわりがしびれる。ひどくなるとつったり、痙攣したりするなど。)

カルシウムを上げる薬(アルファロール、乳酸カルシウムなど)を服用して対応する。

ただし、甲状腺全摘の場合、術後早期は点滴での持続的な薬剤投与が必要。


⑥術後出血

めったに起こらないが、起こると再手術が必要な場合がある。

頸部の急激な腫脹により呼吸困難となり、緊急の気管切開が必要になることがある。

バセドウ病では40代患者が1例ある。

命が優先なので、その時は受け入れてください。


⑦血栓症

深部静脈血栓による肺塞栓が危険である。

血栓を作りやすい傾向がある患者さまに起こりやすい。

重症例では致命的になる場合があるため、予防措置をとっている。

その他、心臓や動脈系の血栓症では、脳梗塞、心筋梗塞、上腸間膜血栓症をはじめ、あらゆる場所に血栓症が起こることがある。

弾性ストッキングで予防する。


⑧リンパ漏

手術の際のリンパ管損傷によりリンパ液が貯留する状態。

ドレーン抜去が遅れ、追加のドレーン挿入や絶食での経過観察(長期)、また再手術でのリンパ管の結紮を行うこともあり得る。


⑨その他、感染、神経損傷など

がんの手術で、リンパ節郭清の際に交感神経損傷した場合、損傷側の眼瞼下垂、眼球の陥没や眼の充血、発汗低下などが起こることがある。

眼瞼下垂は容姿が変わってしまうので、女性は非常にかわいそう、不幸なこと。

2例ある。

そのうち1例はガン患者で、(場所的に)避けられない状況で、起こるべくして起こった。

治療して1年ほどでだいぶ目立たなくなった。

その他、下顎(下唇)のしびれや麻痺(顔面神経下顎枝損傷)なども起こった例がある。

下顎のしびれはしばらくで治った。


手術後の経過予定

合併症がなければ、翌日朝より歩行・飲水開始し、昼より食事を開始する。

ドレーンは排液が30ml以下(術後3日目ぐらい)で抜去。

創部の消毒はなし。(溶ける糸)

葉切除(半分切除)で術後5日目に退院。

全摘で術後7日~14日目に退院。


手術時間は3時間から4時間。

場合によってはそれ以上。

早い方が良いわけではない。

時間がかかれば、それだけ丁寧にやっていると思って下さい。

何かあれば、必ず家族に説明に来るので。

あまり心配しすぎないように。

採ったものは、病理検査にまわした後、検体にします。(同意書あり)


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私は、甲状腺専門病院から内視鏡手術を受けるために大学病院を紹介してもらいました。


手術ありきで転院してきたためもあるのか、手術前日に合併症についてい詳しく知るという状況でした。


本やネットなどで声が出にくくなったり、カルシウムが低下してエタニー症状が起きる可能性はわかっていたけど、他の合併症については予想していませんでした。


命に関わることもあるし、眼瞼下垂などもあるなんて。


私は勘が良くて、眼瞼下垂の説明を聞いた時に、これはやめないと後悔すると思いました。


でも、前日ともなると、やめると言えるわけがない。


私がもしガンだったら、迷わず手術するところですが、今の段階でのこの選択は正しかったのかどうか。


手術説明が終わったあと、本当に重く暗い気持ちになりました。


旦那さんに、眼瞼下垂が気になる、知ってたら手術受けなかったのにと話しました。


8時の面会時間を過ぎていたので、少しだけ話して旦那さんは帰って行きました。


そのあと更新したブログがこちら→『今の気持ち』


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この日は、手術前日ということで、21:00から絶食。


水分は、私は手術予定時間が午後からで遅いので、翌日朝9時までOKが出ました。


そのかわり、コーヒー、野菜ジュース、炭酸は禁止でした。


睡眠薬と下剤を飲んで、就寝。


不安でなかなか眠れませんでした。