●14:00
ついに手術室へのお迎えが
心の準備は中途半端でしたが、もうどうにもならないと覚悟を決めました。
ヨロヨロしながら車いすへ
メッシュの軽いバッグに入れておいた、捨ててもよいバスタオル3枚と普通のタオル2枚、腹帯をひざに乗せて一緒に手術室へ向かいます。
そのあとにダーリンと母が続きます。
近くまで来たら、『では、ここまでなので、行ってきますとご挨拶をしましょう。』と看護師さんが車いすをくるっとダーリンと母の方へ向けました。
なんだかちょっと恥ずかしいような、なんとも言えない気持ちで見送られました。
●いよいよ手術室へ
LDR(分娩室)と手術室は隣合わせ。
分娩室前では、赤ちゃんの誕生を待っているご家族がいらっしゃいました。
ちょっと気後れしながらも、分娩室前を通り過ぎ手術室へ。
採卵の時は1階にある不妊センター専用の手術室なので、2階の手術室に入るのは初めてです。
たくさんの看護師さんたちが、青い手術用の服を着てすでに忙しく作業していて、雰囲気に圧倒されました。
台に上がって横になるように言われましたが、筋肉注射のおかげで頭がぼーっとしているし身体に力が入らなくてヨロヨロ。
大丈夫?、ゆっくりでいいよと声をかけてもらいました。
点滴もついているので、慎重に台にあがりました。
覚えているのは、
・痛み止めで喘息が出たことがあるかの確認
・吐き気止めを点滴に注入してもらったこと
・手足をベルトで固定されたこと
・左側の背中に枕をいれたこと
・酸素の測定機械を指に付け、胸には心電図
・足に袋をかぶせ、頭にキャップをかぶせられた
・看護師さんに消毒してもらった
・酸素マスクが口に当てられた
・電気メスを使うためのシート(ほんとは細かく説明されたけど忘れてしまいました)を左側の太腿あたりに貼られる
・看護師さん同士が『挿管がないなら、早いね。』と話していた
・足先にフットポンプが付けられ、左右交互に締め付け開始
・筋肉注射のおかげで、のどが異常なくらいカラカラに乾いてきた
●院長先生と新しく来られたA先生が登場
私の意識があるうちは、すべてA先生が行っていらっしゃいました。
看護師さんが痛み止めで喘息が出たことはないと報告。
A先生は、『次回から少人数で短時間でぱぱっとすませるから』と看護師さんたちに向かって話されていました。
看護師さんたちの数が多かったのは、この先生の手術がここでは初めてだったから研修も兼ねていたためかもと看護師さんたちの会話からも思いました。
A先生はセントマザーに長年勤めていたベテランの先生だと知っていたし、院長先生が招くぐらいの方なので、安心してお任せできました。
●色素通水の準備
A先生が『バルーンは・・・』と看護師さんと話す声が聴こえました。
色素通水の準備を始めたようです。
色素通水は、青い色素の液体を子宮から卵管に通して、お腹の中を見た時に青い液体が卵管采から出て来ていれば卵管が通っていると判断します。
右卵管も切断するかどうかを判断するために私も行いました。
実際は、お腹の中をカメラで見たら右も結構な卵管水腫になっていたので、私の場合はこの検査をするまでもなかったようです
【腹腔鏡下色素通水法】
腹腔鏡下に色素(インジゴカルミンⓇ)を通水し卵管の疎通性を確認する方法である.
卵管の疎通性を検査すると同時に卵管形成術などの治療としての腹腔鏡下手術を行うことが
でき,卵管因子の最終的な診断方法である.
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その後、子宮にバルーンを入れようとした時、激痛が。
子宮鏡検査の時の悪夢再び
A先生は『なんでだ?入らない・・・。前屈か後屈か・・・。』と言いながら、ガンガンに突いてきます。
今まで人工授精や胚移植、子宮鏡の時などで器具が入らなくて痛い思いをするたびに、子宮口が狭いのかなとか、子宮が収縮してて入らないのかなとずっと思っていました。
『子宮を動かしますね』とか、『子宮をつまみますよ』とか毎回言われていたけど、ちょうどいい角度にするためだったんだと納得。
たぶん私は子宮後屈の方だと思います。(先生に確認はしていないけど、一応根拠あり)
退院後にネット検索してみました。
私と同じように卵管造影や人工授精、胚移植の時にチューブや器具がなかなか入らなくて、泣いたり叫んだり、時には治療を続けることを迷いながら頑張っている方々がいらっしゃることがわかりました。
子宮後屈については、またいつか書きたいと思います。
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何度も何度も、痛い、痛いの繰り返し。
『まだ早いけど、痛がっているから』(←看護師さん同士の会話)ということで麻酔薬が少し入れられましたが、それでも気が狂いそうに痛い。
しばらくして抜かれて、痛みから解放されました。
ここから麻酔を全開することになり、マスクの中で息をするのが極端に苦しくなってきました。
ただただ苦しくて、こんなに呼吸が細くて大丈夫かなと不安に思ってるうちに目の前が真っ暗になりました。
目の前が真っ暗になってもまだ私は意識がありました。
再びA先生が通水のためのバルーンかカテーテルか何かを入れ始めた様子。
麻酔はかなり効いているはずなのに、突かれるたびに痛くて痛くて・・・
5回ぐらい突かれた頃にようやく眠りに落ちました。
子宮鏡検査のあと、拷問を受けたような錯覚に陥り、完全にトラウマになっていました。
またあの時の苦しみを味わってしまい、これからも治療を続けていくことを思うと心が折れそうになりました。
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しばらくして、少しずつ周りの声が聴こえ始めました。
こういう時、目の前は真っ暗でも聴力は一番最初に戻ります。
先生たちの会話を聞いて、その時は内容を理解していたけど、今となってはうろ覚えです。
看護師さんたちだけになってから、名前を呼ばれました。
わかっているけど、声が出ないし、目も開けられない。
しばらくして、いよいよ手術台からストレッチャーに移動するというところで、ようやく反応することができました。