あなたは
ほそい、ほそい鎖を私にかけた。
身動きしたら千切れてしまいそうな
銀の鎖。

だから私
鎖を切らないように
自分を縛った。
幾重にも。
幾重にも。

縛るほど
あなたに近付ける?
それとも
私がみえなくなる?

動けなくなって
ただひたすら
まっているの。

あなたがやさしい声で
私の名を呼んでくれるのを

あなたに触れたい。
触れてはいけないひと。
すぐそばにいるのに

あなたの手は
どんなに温かいだろう

あなたの目は
どんなに美しいだろう

あなたの身体は
どんなに硬く締まって
なめらかな肌の下に浮かぶ骨格。

孤独に耐えられる私になったら
鎖を外してください

その時こそ
同じ目の高さで
あなたの隣に立ちたい
いつまでたっても片付かない部屋。
いとしいものが多すぎる。
たいせつなものが多すぎる。

私のこころも片付かない。
あのひとがすき。
あのひともすき。
あのひとにあいたい。
あのひとにもあいたい。

どうしてこんなに狭い部屋なの?

どうしてこんなに小さなこころなの?

収拾つかない。
整理できない。
ポケットが足りない。

いっそ、ぜんぶ捨ててしまおうか?
そしたら、私がひとりで残る。
丸裸の、なんにももたない、
自由な私が。

縁あるものなら、
帰ってくるだろう。
何度手放しても、
何度手放しても、
私のそばに舞い戻ってくるだろう。

人を怖れない小鳥のように。
踏まれても咲く、野の花のように。

いとしいものたち、
いまはさよなら。
私はあなたを忘れるかもしれない。
あなたは私を忘れないかもしれない。

忘れるようなものなら、きっと
イラナイものだったんだ。

なにももたない自由な私は、
どこへ行こう。
私がひとりで生きられる場所へ。
私が
ひとりで朽ちられる場所へ。

最後に私は、なにを思うのだろう。
あれも、これも、捨てられない、
そう思っていたあまたのものたちの
どれを私は、思うのだろう

さようなら いとしいひとたち