1930年日本。鈴木重吉監督。
高津慶子、小島洋々、藤間林太郎、他出演。



Amazonプライム鑑賞。


1930年度のキネマ旬報ベストテンで第一位に。

サイレント映画。

帝国キネマ長瀬撮影所が火災にあい、その後解散したこともあり、フィルムが消失したまま「幻の名作」とされていたそう。

後年ロシアで発見され、紆余曲折の末、欠落部分を字幕などで補い、オーケストラ音楽を足して復元、1994年大阪で63年ぶりに公開され、再度高評価。



古いけれど、古臭くなく、見飽きない映像。

主人公がご飯をかきこむ場面や、女中として働くお屋敷のお嬢様の描写が面白かった。


1927年、藤森成吉の戯曲が原作。



母が家出、父が自殺で孤児となった少女が

遠方の叔父を頼ると、すぐ曲芸団に売り飛ばされ、

過酷な軟禁生活を強いられ脱走、

辛い目に遭いながら、職を転々とし、

金策尽き果て心中をはかり失敗・・・、

という艱難辛苦の連続を経ていく話。



当時流行の「傾向映画」という社会主義思想に影響された作品の代表作とのこと。

そこまで政治色のようなものは強くないと思いますが、
個人の幸せや人としての権利を尊重したいという意思は感じられました。



希望はなく、バッドエンド。
それでもどこか胸のすく感じもあり、一度観たら記憶に残る作品だなと思いました。



翌年同監督、同じ女優、同じ役柄で
「何が彼女を殺したか」が公開されたそうです。