成人式には出席しました。
色々な意味で忘れられない日になりました。
当時すでに東京へ出てパティシエとして働いていた私は、まだ駆け出しの頃だったのもあり 毎日怒られながら仕事についていくのも必死な日々を送っていた。
成人式に出るためだけの北海道帰省はあまり乗り気では無かったのだが、母からの猛プッシュもあり2日間だけ休みをもらって出席する事にした。
振袖は着なくていいかなと思っていた。
当日は大雪が降っていて、飛行機がかなり遅延していたのを覚えている。
空港に迎えに来てくれた母の車に乗り、一番に向かった先は貸衣装のお店。
母が予約をしてくれていたのだった。
お店に着くや否や、1人車から降ろされる。
母から「終わったら迎えに来るから電話してね(^^)」
と、振袖レンタル料金と写真撮影のお代十数万円が入った封筒を渡され、慌てて自分のお財布にしまった。
着付けを担当して下さったのは年配の女性だった。その方に
「お仕事は何されてるの?貴方の手は働いている人の手だわね。」
と言われ、はっとした。
自分の手を確認すると洗い物で赤切れだらけ、カサカサ、ボロボロの手だった。
あまり自覚も無かったのだが、急に恥ずかしくなり
「…パティシエをしていまして、汚い手ですみません💦」
と言うと、
「お手伝いも出来なさそうな、きれいな長い爪の手よりいいじゃない?若いのに頑張ってて偉いわね。」
と言われ、なぜか泣きそうになったのを覚えている。それくらい心も身体もいっぱいいっぱいになっていたのだろう。
テキパキと撮影が進み、その振袖をまとったまま式場へ向かう段取りとなっていた。
いざお店を後にしようとお会計の場で
、、、あれ?
お財布がない…?
どこを探しても無い、
3回くらい荷物を全てひっくり返してみたが無かった。
落としたとしたら、、、お店の前だ!
と思い、外に出るとまだ雪がしんしんと降っていてこの数時間で道路も歩道も一面真っ白な新雪で覆われてしまっていた。
式の時間も迫っている。果たして、雪の下にあるかどうかもわからない財布のために一帯を隈なく探している時間も無かった。
ちょうど迎えに来ていた母に事情を話し、再度お金を調達してきてもらうことに。
ごめん…母、
今度は 自分が情けなさ過ぎて泣きそうになった。
肝心の式はと言うと、
懐かしい顔ぶれに一瞬ほっこりはしたものの
友人からの「式が終わったら皆で飲みに行こうよ!」の誘いには乗らずに退散してきてしまった。
なぜなら
大学生活を今まさに謳歌している地元の同級生達と自分の置かれている環境が違い過ぎて、共通の話題が見つからなかったのだ。
彼らが楽しそうに話している サークルや合コンの話は私には全くつまらなかった。
そんなわけで、成人式の写真を見るたびにこれら一連の出来事を今でも鮮明に思い出す。
色々意味で忘れられない日になった。
