指定暴力団工藤会(北九州市)のトップらを逮捕した福岡県警の「頂上作戦」が2014年9月に始まって以降、県警に逮捕された工藤会系組員が200人近くに上ることがわかった。全構成員の4割超に当たり、県警は組織に大きな打撃を与えたとみている。頂上作戦の開始から11日で2年が過ぎた。

 県警によると、14年9月から今月8日までに逮捕した工藤会系組員は194人(一部重複を含む)。他に九州厚生局麻薬取締部も3人を逮捕した。今年7月末時点では組員約200人が勾留中や服役中といい、工藤会の構成員計470人の4割超が身体を拘束されている状態にある。

 朝日新聞は、14年9月以降の県警発表などをもとに、工藤会系組員が逮捕された事例を分析した。それによると、トップの野村悟被告を含む128人、計213件の逮捕事例のうち、拳銃などを使った殺人や殺人未遂事件が54件で最も多かった。みかじめ料の要求や恐喝に関するものが45件、覚醒剤など薬物に関する事件が28件と続いた。警察の事件捜査に協力しないよう知人を脅す「証人威迫」や、下半身を露出する公然わいせつ事件もあった。

© 朝日新聞 工藤会総裁の野村悟被告宅に入る捜査員ら=2014年9月11日、北九州市小倉北区

 組員の逮捕が相次ぐ一因となっているのが、みかじめ料要求への対応を厳格にした改正暴力団対策法の「直罰規定」の導入だ。

 法改正前は、みかじめ料を要求した組員に対し、警察は中止命令や再発防止命令を出し、従わない場合に逮捕できる規定だった。一方、改正法では特定危険指定を受けた暴力団の組員は一度でも不当な要求をすると、中止命令を経なくても逮捕できるよう改めた。