天「あのさ、」
夏「うん」
天「……別れよ」
夏「………え…。」
あぁ、またこうだ。
天「ごめん。本当にごめん。」
夏「………。」
また、同じ結末。
”3度目の正直”
そう心に固く決心をして付き合った恋人。
今度こそは絶対に幸せにする、と。
しかし
”2度あることは3度ある”
夏「今度は何が…いけなかったの…」
毎回毎回、自分の行動を振り返る。
何がダメだったのか、相手の負担になっていたものは何か。
1度目の恋愛で素直になる事の大切さを知った。
だから、次の恋人には思いも全部伝えてたし言葉以外の愛情表現も沢山した。
でも、ダメだった。
2度目の恋愛で一方的な愛の押し付けの罪深さを知った。
だから、天とは恋人らしい程よい距離間を保って上手く付き合っている、、つもりだった。
天「私が全部悪いから。夏鈴は何も悪くない。」
夏「…………。」
だったらどうしてなの。
約1年前
今日と同じような肌寒い冬の夜
天「多分、夏鈴の事が好き」
夏「多分って、それもう好きだと思うよ」
天「うん、好きかも」
夏「かもじゃないでしょ?笑」
分かりやすく保険をかけてきた、少し臆病な貴方からの告白。
付き合って3ヶ月、天の家
天「ねぇ夏鈴、」
夏「ん?」
天「大好きだよ」
夏「私も大好きだよ」
天「……どれくらい、好き?」
夏「ふふ笑 可愛いね」
夏「……ん…/」
天「ん…//」
夏「…………いい?」
天「うん…しよ?」
真っ白な肌を薄紅色に染めながら伝えてきた。
初めての貴方からの誘い。
そして今。
突然切り出された貴方からの別れ。
いつも、何もかも、全部全部貴方から。
私を沼らせるだけ沼らせて別れるなんて。
夏「納得出来る理由を教えて」
10秒ほど間が空いた後、天が口を開いた。
天「…私に夏鈴は贅沢過ぎた。」
夏「どういう事?」
天「いつも私から。あれしたいこれしたい全部。夏鈴はそんな私の我儘を全部聞いてくれる。でもそれが今は辛いの。」
夏「辛いって?」
天「夏鈴、何でもかんでも良いよって言う。私が夏鈴に食べたい物とか行きたい所聞いても天の好きなようにしてって。」
天「私夏鈴に何も出来てない。」
夏「そんなの、一緒に居てくれてるだけで…」
天「そういう事じゃ無くて」
天「……………ただひたすら尽くされるだけの恋愛は、私にはしんどい。」
夏「…じゃあ改善するから…私からも沢山言うから…」
天「もう限界なの…」
夏「嫌だ離れたくない」
天「最後まで贅沢言ってごめん」
夏「嫌だよ…」
天「夏鈴にはもっといい人がいるから…じゃあ、今までありがとう。楽しかった。」
天の目には大粒の涙が溜まっていた。
ねぇ、待って…こっちに背中を向けないでよ…
泣くなら戻ってきてよ…お願い行かないで…
離れていく天の背中をただ呆然と眺める事しか出来なくて。
私から引き止めることが出来なくて。
……ああ、そっか。こういう所か。私のこういう中途半端な所が天を苦しめてたんだ。
結局学んでも何も変わらない。
もう天は戻ってこない。
また、上手くいかなかった。
何度味わっても慣れない、あの振られた時の感情。頭が真っ白になって、心が冷たくなって、目の前が歪んで。
2度あることは3度あった。
じゃあ、
3度あることは4度ありますか?
終わりのこない恋愛がしたい。
誰かを幸せにしたい。
冷えきった心と身体を何とか自分の脚で支えながら独り歩く帰り道。
天が私以外の誰かに愛を伝える時が来るなんて、考えたくもない。
私が、幸せにしてあげたかった。
保「結局別れたんや」
天「うん」
保「そっか、まぁしゃーないな」
天「でも、」
天「私が振り向いた時、引き止められてたら結果は変わってたと思う。」
天「最後の最後まで、向こうからは何もしてくれなかった。」
皆様お久しぶりです。茶々です🍵