そもそも私は柴田作品と相性が悪いのが大前提…
柴田作品の好きな所はセリフの日本語が美しいのと曲が名作。
哀しみのコルドバにもフィレンツェに燃えるでも仮面のロマネスクでも川霧の橋でも記憶に残るセリフが沢山あるのですが…
いかんせん、共感できない登場人物が多い…(特に男)
柴田先生の描かれる男の美学が私の感性にあわない
今回の月組の「琥珀色の雨に濡れて」をみてもやっぱりクロードに共感できずに終わる…
でもクラシカルな古典の作品を観たという満足感はあった!
所がこの前スカステで他組の「琥珀色の雨に濡れて」をみたらちょっと嫌悪感わいちゃって
演者さんがどうこうではなく、演出が…
月組よりドラマティックな演出で登場人物達も流石宝塚らしくキラキラしていたんだけど、個々の人物像の外側部分を際立たせる事で生々しく男女のもつれのストーリーを浮き上がらせていたというか
そうするとこのストーリー…男性の夢と希望の詰まったストーリーなんだな…と思っちゃったり…
(男性の方すいません🙏)
貴族で比較的平凡にレールにのって生きてきた男、清純で献身的な婚約者いるが、マヌカンで奔放で世慣れた美女と恋に落ちる、そしてその美女は女性を虜にする事を生業としている世慣れたイケメンジゴロよりも自分の事を好きでいてくれて、再会し恋が再燃して恋の逃避行へ…
貴族、純粋な女性、ジゴロやマヌカンを宝塚のキラキラバフをかけて夢夢仕立てにしてあるので、比較的そのキラキラバフにもっていかれるのでしょうが…私は逆にそれが生々しくてさ…
今回の月組はストーリーは淡々としています。
登場人物もあまりキラキラしていませんし、(まぁ、宝塚ですからキラキラはありますが…)
どちらかといえば登場人物全てに心の内に陰を隠しているような人物設定で、ストーリーよりも登場人物の外郭よりも心の動きや内面に重きをおいているので、登場人物達も比較的地味で大人しめ。
クロードは引かれたレールにのってはきたけど、何処かこのままでいいのか?心の燃えるような想いをしたいと渇望があった。だからこそシャロンに出会いのめり込む自分を止められない。
シャロンは華やかな世界に身を置きながらも本当の自分と周りが求める自分の乖離があると感じて虚しさがあった、だからこそ本当の自分をみてくれたクロードに引かれる。
ルイもダンサーとして大成する為に選んだ職業がジゴロだったけど、所詮花として売られているから世の中斜に構えてしまうが、クロードの真っ直ぐさをどこか羨ましく、そして同じ心を持つシャロンのその空虚さに惹かれる。
フランソワーズも一途さや謙虚さだけでない芯の強さや女としてシャロンに負けたくないプライドのある女性。
貴族、一途な婚約者、マヌカン、ジゴロにあまり焦点を当てずにストーリーが進むから宝塚バフはかかりにくいが、そのかわりにクラシカルな白黒のフランス映画を見ているみたいな雰囲気で、クロードに共感はできずとも嫌悪感までは感じなかったんですよね…
これって多分今回の演出家が女性だったからこそなのかなと思います
なので私の好みは今回の月組なのですが、他の組のもまだありますので見てみます