ヨーロッパで恋愛♡切なかった日々2️⃣ | Two peas in a pod ーオーストラリアから日本の方へのメッセージ♪

Two peas in a pod ーオーストラリアから日本の方へのメッセージ♪

大いなる田舎の国の大自然に抱かれて、メルボルンでまったり生きる日常、生粋オージー英会話、IELTS勉強法やオモロ人生、ちょっとスピを綴っています。
夢はケアンズ移住で旦那様とワンコ2匹とレイキでもっとスローライフ♪

こんにちは~あいですニコニコ

 

昨日の続きです。

下矢印下矢印下矢印


 



月明りの下で抱きしめた

 

彼は歩きながら

ぽつぽつと話し始めました。

彼は15歳の時に

母をなくしていました。



それに向き合えないまま

日々を過ごしていた

ようでした。

 

 

意地を張って

気持ちを伝えられなかったこと

最後まで素直になれず

消えていく母の命に

悲しみを表現出来ず



自分はその時から

時が止まっている

と言いました。

 

 



イギリスに来たら

何か変わるかと思って

来てみたけど



他のボランティアの

人たちと居る時は

ふざけて楽しく

遊んでるけど

それだけで時間が

過ぎてしまう。

 

 



これから

どうしたらいいのか

わからないんだ。

 

 

そう言って

立ち止まった彼





私に何か言って

欲しそうだったけど

 

 

…英語は難しい。

 

 

何て言っていいのか

わからず



そばにあった大きな石に

思わず腰かけて



無力な自分、

やりきれないナ、

そう思った時

 



 

彼が黙って私を

抱きしめたのでした。

 


おでことおでこを

合わせて

彼の綺麗な瞳が

目の前に。




恥ずかしすぎて

下を向いた私に

彼はエスキモーキス

をしてくれました。




帰りたくない…。



愛しい彼が

こんなにも今

近くにいるのに

何も言えない自分



後数ヵ月で

ドイツに帰ってしまう彼に

何を伝えればいいのか

わからない。



とても切なく

 

 

長い間

動けませんでした。

 



 

月明りがとても明るく

不思議な色に映る

彼の瞳の色と

空の色が重なって

 

 

このまま

時間が止まってしまえば

いいのに、と思った。

 




日本に帰る日が来た

 

夜じゅうかけて

二人でゆっくりと

ゆっくりと何度も

何度も立ち止まりながら

帰った夜

 


寒い寒い月の夜

お互いの

真っ白の息をみながら

二人で歩幅を合わせて

静かに静かに進む




ゲートまで来て

彼がもう一度

私を抱き締めた



寒くて冷たくなった

彼のくちびるに

触れたとき



彼が I love youと

小さな声で漏らした




私も小さな声で

やっとこさ

I love you too と返し



二人で

照れ笑いをした。





明るくなり出した頃

やっと帰ってきた私に

ルームメイトのノーラが

はやしたてようと目

やってきたけど

 

 

二人の様子をみて

何かを感じ取ったのか

 

 

おかえりヒヨコ

 

 

と一言だけ言って

ベッドに戻っていったのを

有難く思いながら

 

 

そのまま朝まで

静かに色々考えていました。

 

 



彼との間のことは

不自然なほど

誰も触れようともせず

そっとしておいて

くれました。




私達は静かに

雨がしとしと

降り続けるように

気持ちを

見つめ合って

 

 



それからの

残り8か月ほど

とても密度の濃い時間を

過ごしたのでした。

 

 

誰かを好きになる気持ちは

時間も、人種も、年齢も、

なんだって超えるんだな

と思った。

 




その後

バックパッカーで

ヨーロッパを

グルグル一人、

2年間まわって



その間も何度か彼が

私に会いにきたり

私が数回ドイツに

会いに行ったり。

楽しい時間も

いっぱい過ごした。

 

 

彼の父がもつ、

小さな山のなかのコテージに

二人で行って

私はもう日本に帰る間際で

 

 

私の拙い英語では

思うことの10%も

伝えられず



とっても

もどかしい時間だったのを

昨日のことのように

思い出す。

 



 

…みんな誰でも

少しずつ「不足」があって、

それは人間として当たり前で。



それを言葉少なく

補おうとする、私達の

不器用な恋愛は

とても切ないものでした。

 

 

ドイツに留まることは

出来なかったし

 

 

彼も彼で

仕事が決まりつつあって

この恋愛のために

日本に来るなんて

出来るわけなかった。

 

 

日本に帰る日

オランダの空港から

最後の電話で

 

 

彼が

もう会えないのか

と泣いたとき

 




また会えるよと、

大人ぶってでも

言えなかった自分に

 

 

長いこと後悔したのを

覚えてる。

 


バイバイも言えなかった。

喉から全然声が出なくて

公衆電話で、コインだけ

何度も何度も足して

無言で

 



 

彼がやっと

電話を切った時

 

 

空港で

ワンワン一人で泣いた。

 



 

飛行機でも泣き止めず

スチュワーデスさんが

あったかいおしぼりを

持ってきてくれて

『最後の別れをしてきたのね』

と、一緒に泣いてくれたこと

今でも忘れない。

 

今頃何をしているんだろう


あれから数十年も経って

もう音信不通に

なってしまった彼を

たまーに思い出す。

 

 

何度か手紙をくれていたのに

一度も返事を出せなかった。

 

 

そのうち

それも途絶えた時

自分の臆病さが

情けなくて



失くしてしまった

終わってしまった?

終わらせてしまった?

二人の関係が

悲しくて、ほんとは長いこと

立ち直れなかったんだよ。

 

 

今頃彼は

どこで何をしているだろう。

結婚して、

可愛い子供も居て

ちょっとお腹も出て

いいおっさんに

なってるのかな。

 

 

クリス、私も

オーストラリアで

元気にしているよ。

 

 



どうか、幸せで。

 

 

おわりラブラブ