スイスの(EPFL)の研究チームが開発した
「Passive Perching with Energy Storage for Winged Aerial Robots」は、
先端に鳥の爪型ロボットハンドが整備された固定翼型ドローンだ。

大幅な失速を行わず、
鉄棒などにロボットハンドでつかむように着地できる。




木や棒などの構造物に止まる方法は、これまでに、
マルチローターやフラッピングウイングの
ビークルでは多くの方法が提案されてきたが、
翼を固定したドローンではあまり研究されていない。

固定翼型のドローンはホバリングができないため、
構造物と接触する前に運動エネルギーをできるだけ逃がし、
失速する必要があるからだ。


この研究では、
失速を抑えつつ構造物に止まる瞬間に
運動エネルギーを吸収および蓄積し、
そのエネルギーを使って再び飛び立つアプローチを提案。

衝突時に運動エネルギーの一部を吸収することで、
従来よりも高速に突っ込んだ着地が可能になる。

今回は、クレーンや橋梁などの
大規模インフラの鉄棒に止まることを想定している。

この着地を可能にするために、本体の先端に、
鷹などの大型鳥の爪をモチーフにした3本型ロボットハンドを開発した。

ロボットハンドの質量は170g、
大きさは閉じた状態で7×7×24cm、開いた状態で31cmに達する。


概念実証のために、
ロボットハンドを既製のEasystar II UAVの先端に取り付けた。
ロボットハンドを装着した状態での重量は0.85kg。

ロボットハンドには、
爪の部分と付け根部分にバネを搭載しており、
これらは連動している。

ロボットハンドは、
飛行中は握りしめるようにコンパクトに収納され
(付け根部分のバネをラッチで止めている)、
棒に接触する場合にのみ開く
(サーボモーターでラッチを解除)仕組み。


爪を開いた状態で棒に接触すると、
付け根部分が押されバネの分だけ衝撃を吸収すると同時に、
連動している爪のバネが引っ張られ棒を包み込むようにつかむ。

さらに、付け根部分のバネが奥まで押されると
ラッチに引っ掛かりロックされる。
機体は、下に垂れ下がるように棒にぶら下がり停止する。

再び離陸するときには、
サーボモーターでラッチを解除し爪の部分を開く。
これにより、機体は地面に向かって後方を前にして落下する。

落下している時は不安定であるが、
自然と自転する現象が起こり、
受動的に体勢を立て直し、再び飛び立てる。




実験の結果から、飛行中の大幅な速度低下を必要とせず、
7.4m/sというこれまでで最も高速に停止できる方法だと示した。

ロボットハンドは、ヨー方向の衝突角度の範囲が58度と広いが、
ロール方向の衝突角度の範囲は20度と狭いことも分かった。

また、失われるはずだった運動エネルギーの5%も回収できると分かった。

今回は鉄棒などの強度が高いインフラに限定したが、
将来的には電線やケーブルなどの
弛んだ構造物への着地も試みたいとしている。