…を要約


携帯各社が衛星通信を利用した新たなソリューションを発表している。
衛星通信は、通信速度や端末などの課題はあるものの、
カバーエリアを一気に拡大できるメリットがある。


 
 

■ソフトバンク
3つのNTNソリューションを計画している。

  • 高度20kmHAPS(High Altitude Platform Station)、
    HAPSでは4Gや5G基地局を無人航空機に搭載、商用サービスは2027年
     
  • 高度1万2000kmOneWeb
    これまでに254機の衛星が打ち上げられており、下り200Mbps/上り30Mbps。
     
  • 高度3万6000kmにあるSkylo Technologies(Skylo)
    IoT向けナローバンドとして2022年中の商用化を予定している。


■KDDI
宇宙事業会社スペースXと提携
 
スペースXが提供する高速・低遅延の衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」は、
通常の通信衛星の約3万6000kmよりも低い上空約550kmを飛ぶ衛星と通信を行うことで、
従来の衛星通信サービスよりも高速通信が可能とされる。
 
2022年までに全国約1200カ所導入を計画している。
HAPSに関しては、ソフトバンクが参加する「HAPS Alliance」のメンバー。
 
 
■楽天モバイル
SpaceMobile」を提供するAST&Scienceへ資本参加
 
「Space Mobile」は、地表から約730kmの高度に打ち上げられ、
普段使っているスマートフォンに直接接続できる衛星通信。
 
地上局と合わせてエリアカバー率99.9%以上が可能になるとしており、
2023年以降の商用化を予定している。
 
 
■NTTドコモ
エアバスやノキアとHAPS型の無人機で5Gを運用する共同研究を行う。
 
エアバスは、動力源が太陽光で成層圏を飛行する
無人飛行機「ゼファー」を開発している。


航空機内での高速通信サービスやドローン制御、
山岳での遭難者探索や害獣監視などの利用が想定されている。
 
2023年度までに、成層圏で実証実験を行うことを予定している。
 
 
■“衛星通信”という新たな軸
従来の衛星通信サービスでは、
NTTドコモのワイドスターIIのように静止衛星(N-STAR)が
赤道上空3万6000kmから日本全土をカバーしたり、
KDDIが提供しているイリジウムのように
地上780kmの位置に配置された66機の周回衛星で地球をカバーしたりするなど、
利用するには専用端末が必要で、
災害対策として官庁や地方自治体、船舶など特殊な用途に限定されてきた。
 
 これらの導入先を取材すると、
 バッテリーが充電されていなくて、実際の災害時に使えないとか、
 1年に1回も使う機会がないので、いざ必要な時に
 保管場所や使い方が分からないといった課題があった。

 
しかし、たとえば各社が採用を検討しているHAPSは、これらとは一線を画し、
普段使っている携帯端末の利用を前提に研究が行われている。
 
さらには、2030年前後とされる6Gでの利用も想定しており、
5Gの持つ高速大容量通信低遅延通信
多数同時接続通信という3つの特性に加え、
宇宙空間などもカバーする「超カバレッジ拡張」という面でも、
その役割が期待されている。