プログラミング言語「Python(パイソン)」が人気だ。
 
人工知能(AI)ブームを追い風に、
パイソンを使ったソフト開発に挑む人や、
勉強を始める人が急増している。
 
「プログラミング言語実態調査」でも、
パイソンの人気は圧倒的だ。
「今後スキルを磨きたいプログラミング言語」を聞いたところ、
回答者1000人中670人がパイソンを選んだ。
順位はもちろん第1位。
 
 
 
■IT国家試験にパイソン
 
情報処理推進機構(IPA)は2020年春から、
IT(情報技術)に関する国家試験「基本情報技術者試験」の
選択可能なプログラミング言語にパイソンを新たに加える。
 
 
■AI使った開発でほぼ一択
 
深層学習を使ったソフトを開発するなら、
プログラミング言語の選択肢は事実上パイソンしかない。
 
AIを使ったソフトを効率良く開発するには、
ライブラリー(ソフトの部品群)の利用が欠かせない。
 
「ゼロから作ると1カ月かかるものを、
 ライブラリーを使うと数行書く時間だけで実装できる」

  •  米グーグルが開発・公開する深層学習ライブラリー
    「TensorFlow(テンソルフロー)」
  • 米フェイスブックが開発・公開する深層学習ライブラリー
    「PyTorch(パイトーチ)」

  • 機械学習アルゴリズムを幅広くカバーする
    「scikit-learn(サイキットラーン)」

     

などがよく使われている。

どれもオープンソースであり、無料で利用できる。
 
これらのライブラリーへの命令はプログラムとして記述する。
ライブラリーによって対応するプログラミング言語に違いがあるが、
ほとんどのライブラリーで共通して使えるのがパイソンだ。
 
目的に応じてライブラリーを使い分けたり、
ライブラリー同士を比較したりするにはパイソンを使うしかない。
 
AIを使ったソフトの開発でエンジニアや研究者の多くがパイソンを使うため、
情報の蓄積もパイソン一色となっている。
 
 
■メルカリ「AI出品」をパイソンで開発
 
パイソンとAIでソフトを開発している代表例が、
フリーマーケットアプリのメルカリだ。
 
テンソルフローと類似画像検索ライブラリーの
「Faiss(ファイス)」を使って、
「AI出品」と呼ぶ機能を実装している。
 
商品の写真をアップロードすると、
ブランド名やカテゴリー、
商品名などを自動入力する機能だ。
 
AIが画像を解析して、過去の出品との類似や色を推定している。
 
 
■データ分析でもパイソン人気
 
人気が沸騰したのはAIがきっかけだが、
パイソン自体はあくまで汎用的な言語だ。
 
データ分析で主要なプログラミング言語の一つになっているし、
ウェブアプリケーション開発にも使われている。
 
特にデータ分析はAIとともに
現在のパイソン人気を支える要因となっている。
 
データ分析もAIと同様に、
オープンソースのライブラリーの豊富さが売りだ。

  •  数値計算の「NumPy(ナムパイ)」や「SciPy(サイパイ)」
  • 表形式データの分析と処理を支援する「Pandas(パンダス)」

  • ・データをグラフ化する「matplotlib(マットプロットリブ)」

  • ・ウェブブラウザーを使って対話型でパイソンコードを実行できるツール
    「Jupyter Notebook(ジュパイター・ノートブック)」 

 
■インスタ、パイソンで構築
 
フェイスブックが運営する写真投稿サイト「インスタグラム」は、
ジャンゴとパイソンで構築されたウェブサービスの代表例だ。