アリやハチ、シロアリといった社会性昆虫は、コロニーをつくって生活している。
コロニーの昆虫は1匹1匹が自分の計画を持っていて、
群れ全体が「高度に組織化」されているように見える
 
個々の活動を結びつけるのに何ら管理されている様子はない
実際、社会性昆虫の研究者は、
コロニー内での協調行動が「自己組織化」されていることを発見した。
 
つまり、社会性昆虫のコロニーでは、
さまざまな状況に応じて、個々の相互作用から「全体の協調」が生み出されている。
 
個々の行動の相互作用は単純で、
例えば、アリの場合、別のアリが残した「におい」を追うだけだ。
 
しかし、集団として見ると、餌(えさ)場までの無数の経路のうち、
最短のものを選ぶ」といった難しい問題に答えを出している。
社会性昆虫に共通のこうした性質は「群知能」と呼ばれる。
 
 
 
◆最近、群知能をさまざまな問題に応用する研究が活発になってきた。
 
①餌を探し回るアリの行動をもとに、
 電話回線網の混雑を調整する新しい方法が生み出された。
 
②大きな餌を運ぶアリたちの協調行動を参考に、
 複数のロボットが荷物を運ぶ効率のよいアルゴリズムが出来ている。
 
③アリが仲間の死骸を集め、幼虫を大きさごとに分類する方法にヒントを得て、
 銀行が顧客のデータを解析する新たな方法が生まれた。
 
ミツバチの役割分担の仕方を研究して、
 工場の生産ラインを合理化する試みもある。