娘の命日の朝
外は少し雨が降っていた
やっぱり雨だねぇと呟いてしまった
忘れ形見の猫達は
ずっと私の傍から離れない
いつもだけど
猫は気まぐれと言われてるけど
このこ達はあまり気まぐれな態度は
取らない甘えん坊さんな猫さん
普段から連れて歩いているからなのか
人が大好きでたまにお留守番をさせると
家に帰ると必ず玄関で待っている
寂しがりな猫さん
雨だから今日は留守番だよ？
そう話し掛けても
私の傍から離れない
猫さん達は娘が溺愛し過ぎて
すこし裕福な体型
周りの人達からも可愛がられ
今でもその体型を維持している
外を眺めるのは好きだけど
自ら外に出ようとはしない
外に出たい時は何故か自分のハーネスを
咥えてアピールする
君たちを捨てたりしないのにな
淋しいのか
何かに不安なのかは分からない
留守番を察知した猫さん達は
ハーネスを引きずり私の元へ寄ってくる
ご飯も食べて準備万端だよって
顔をしている
あなたたちはもう高齢の年齢なのよ？
車に長い時間は辛くない？
そう思っても意思を曲げない姿
娘の眠る墓地は
ペット連れが許可されている
そうだね
一緒に娘に会いに行こう
私の車の後部座席は
もう大分前から君達の指定席仕様に
なっている
満足そうに佇む猫さん
時折休憩しながら車を走らせる
いつもは車に乗ると寝てしまうのに
ずっと外を観ている
空は段々太陽が見えてきて
到着する頃には雨は残っていなかった
娘は雨女じゃないのかな
そんな事を考えていた
この場所に猫さん達を
連れて来た事はない
一緒に来たのは初めて
猫さん達は私が
娘に話し掛けてる間
ずっと大人しく座っていた
いつもだけど
ここに来ると何故か自然と涙が溢れ
止まらない
居ない事は分かってるのに
話し掛けてしまう
この日は少し長い時間
話し掛けていたかもしれない
貴女が残したこのこ達を
娘は見ていただろうか？
私が預かっていることを
嫌だろうか？
喜んでいるだろうか？
こたえは聞けない
ただ貴女が残したこのこ達は
貴女に似ている
飼い主に似るって本当だね
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