私の車で

夫と娘の家に向かう。

 

 

夫の所有している自家用車は

見覚えのない車に変わっていた

 

その車を初めて見たのは娘の家

 

以前ブログでも書いた事がある

夫は消費者金融を自分のATMと

勘違いしている

 

最近、債務整理をし過払い金の返金が

戻ってきた

そんな話を以前母親から聞いたことが

あった

 

その話を聞いた時

娘は何故私にお金を貸して欲しいと

言ったのか疑問だった。

 

過払いは金はかなり戻ってきたはず

何故私に娘はそんな事を言ったのか

謎ばかりだった

 

少しでも生活が楽になってるはずなのにと

 

 

その謎は夫の自動車を観た時

確信に変わっていた

夫は娘に援助していない

自分の為に使ったのだと

 

 

娘を失った哀しみの中でも

私はそんな夫に呆れ腹が立っていた

 

 

そんな夫とは真逆の私は地道に貯金し

悩み息子に相談し

どうしても欲しい自動車を所有していた

一大決心し購入した私の大切な愛車

 

 

昔の夫の態度や不敵な笑顔

疫病神と罵った夫

どうしても夫に寄り添う気持ちには

なれない

この時の私はどんな状況に置かれても

夫には嫌悪感しかない

 

 

 

私の大切な愛車に当たり前のように

土足で乗り込む夫にうんざり

 

 

私にとって嫌な存在の夫でも

娘の父親には変わらない

責めても何も変わらない

娘が一番好きだったであろう父親

娘の事を考えると何も言えない

娘が悲しむかもしれないから

 

 

言いたい事も我慢し無言で走り出す

 

車中の中は2人だけ

 

家で憔悴していた夫とは別人の夫が

現れる

 

車中夫はずっと喋り通し

 

話の内容は聞くに耐えない話題ばかり

 

娘に対する言い訳

自分の言い訳

自分も苦しくて夜眠れない

娘の元に行きたいけど勇気がない

 

要するに自分はとても苦しんでいる

悲劇の渦中にいるアピール

 

 

そして娘が私に対して夫に話した言葉は

本当か嘘かは分からない

ママはお金を貯め込んでいるっ言ってたよ

笑いながら夫が放った言葉

 

 

娘は夫や母親に

私に何度もお金を貸して欲しいと

言っても断られたとも言っていたらしい

 

話に矛盾が生じる

 

誰が娘に言われて断れるだろうか?

言われた通り送金してた事実を

夫は知らない

 

夫は更に続ける

年収はいくらなのか?

どうしたらこんな車を購入出来るのか?

 

娘に今使っているお金を

どうしてそんなに使えるのか?

言われたままの金額を簡単に支払う私に

夫は興味津々


息子にどんな援助をしているのか?

 

挙げ句貯金額まで聞いてくる

 

話は全て「お金」の話に繋がる

 


夫からは娘を偲ぶ言葉を聞けない


どんなに戸籍上の夫婦だとしてと

共に娘の誕生に歓喜し成長を喜んだ

時間もある


娘への思いを共有してもいい空間なのに

思い出話などひとつも出てこない


うんざりしていた

 

全ての質問に曖昧にしか答えない私に

夫は苛立っていた

金銭的に余裕のあるように見える私の姿は

夫には目障りな存在でしかない

 

 

夫の全ては「お金」

心は中途半端に成長した大人だけで

中身は子供に近い

いつもお金と言っていた姑を思い出す

 


いつまでも心に童心を

それは悪いことじゃない

ただ、その言葉に夫は当てはまらない

 

 

どうしたらこんな人間が出来上がるのか

私には理解できない。

 

私はお金お金と言う人が好きじゃない

衣食住が出来ていれば十分

それでも物欲が満たされないなら

お金は湧いて出てくる代物ではない

何かを削るか収入を増やすために

労働しかない

その言葉を聞くと「心まで貧しくなる」


前提として病に侵されているひとは別の話

 

お金がなくても「心は裕福」なひとを

知っている

本当にお金がないひとは

貧困状態にも気がつかない位麻痺感が生じる

世界にはたくさん困ってる人が多い中

 

お金がないというひとは

当たり前に衣食住が出来ることが

どんなに幸せなことか気がついていない

 

 

 

そんな道中を過ごし家に戻る

 

夫は元の憔悴した姿に戻り

別人の姿になる

 

 

書類をひとつひとつ確認していく

 

大学や奨学金先への連絡も

夫は「出来ない」と話す

 

大学に連絡すると

受付らしき女性の声がする

 

「大学を退学したい」その趣旨を

伝えると、担当らしき顧問の方に

電話が変わる。

理由を聞かれるのは当然の話

 

 

「退学したい」そうとしか

言えない自分がいる

やはり知られたくは無かった

 

それでも電話は終わらない

何故?どうして?理由は?

細かく詳細を聞かれる。

 

娘の自死を知らない人は

当たり前に理由を聞いてくるのは仕方ない

それでも無神経な問いには傷つく

何気ない一言が胸に刺さり心に影を落とす

 

もう話すしかない

私は言いたくない言葉を伝える

「自死」しましたと

 

 

そう伝えると電話の先の方は

言葉を失い

しばらく無言の時間が続いた

きっと電話の先は慌てていたのだろあろう

「お待ちください」そう言われた電話の先は

保留音を押すのも忘れ声が駄々洩れし

様々な反応の声が聞こえている

 

退学には一度学校へ行く必要があった

書類上だけでなく面談も行われるらしい

 

行かない夫の代わりに私が伺うことになった

娘の大学生活が聞ける

そんな期待もあった

 

その他の書類も全て連絡し後は書類が届き

郵送するのみ

 

ある程度の手続きが終わった項を伝えると

夫は安堵した様子をみせた

 

夫は娘を失い確かに悲しいと思う


本当は悲しくないのかもしれない

 

それよりも夫は大切なものがある

 

それは

 

娘を無くした自分への周囲の評価

 

体裁ばかり気にする夫は

娘を無くしたことよりも

世間の反応に敏感

周囲には私が娘を捨てた

だから自分で育てると言い切った結果を

気にしている

その真実を知らないであろう

私には大きな態度を取れるが

近くで見てきた母親や姉の前では何も言えない

責められるのを恐れている

 

憔悴した姿を演じてる夫は

手続きも出来ないのではなく

自分が嫌な思いをしたくないからしないだけ

批判や非難を恐れているだけ

 自分が一番可愛い

 

 

夫は羊の毛皮を纏った狼だ







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