娘との暮らしが無くなった私に
残った事。それは仕事だけだった。

息子は就職が決まりやはり
地元には戻ってこない。

私は何かを忘れるように
仕事に打ち込んだ。

朝の送迎もない。
夜の迎えもない。

縛られる事のない生活を
密かに望んでいた。
後少し高校を卒業するまで
そう思っていたのに

望んでいた生活のはずなのに
決して心が豊かにはならなかった。

家に戻ると
部屋には娘の荷物がまだ残されたまま
帰ってくる
そんな希望は叶わない。

仕事だけの日々
ただ仕事に打ち込む日々

業務と反比例して私の心は低下する。

それだけ娘は大きな存在だった。
大きな存在になっていた。

会いに行けばいい。
それだけの事。
会っていたら何か変わっていたか?
何も変わらない。

心は空虚。

心の穴があく。
私の心の中で娘の存在が
どれだけ大きかったのか分かる。


ある日戦友に夕食を誘われた。
断わる理由などない。
帰ってもあの空間に居たくないんだから

戦友には娘がいる。
どこか雰囲気が私の娘に似ていた。
戦友はその娘の話をしながら
私に何か言いたい事はないか?と
質問した。

少し酔っていた私は
思わず口を滑らす。
一度滑った口は止まらなかった。

話ながら涙が止まらなかった。
お店なのに子供の様に泣いていた。
泣き崩れて気を失った。


気が付いた時私は
自分の家のベッドで寝ていた。






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