今更ですが、9月28日(木)に行われました『谷口裕和の会』の感想を書きます
ロビーはいつもの舞踊の会以上に、大変な人の観劇となりました。
余りにも多い人でびっくりでした
遅れて座る方もありましたが、満席です
私の席は10列のいわゆるドブです。このところ舞踊はドブが多くなってしまいました。
踊りは前の方よりも10列の前後が観易いですね
谷口裕和さんは流派にとらわれずに、ご自分の本名で活躍されている舞踊家さんです。
一、連 獅 子 長唄囃子連中
市山七十世振付
狂言師右近 片 岡 孝太郎
狂言師左近 片 岡 千之助
親子の情愛が溢れた良い踊りでした。
孝太郎さんは頸椎に障害を抱えていらっしゃいますが、千之助さんの要望に応えてのご出演です。
いつもは女方ですが、私も初めて立役の舞踊を拝見しました。
最初は連獅子の激しい踊りですが、やはり若さで千之助さんの動きの方が激しく孝太郎さん、
大変という場面はありましたが、親子の情愛は充分感ぜられた満足の舞踊でした。
千之助さんは何回も踊っている演目ですが、若さとスピード感が華やかな舞台となりました。
一、種蒔三番叟 清元連中
三番叟 谷 口 裕 和
千 歳 尾 上 右 近
三番叟の谷口さんは素踊りの衣裳です。
千歳の右近さんは白塗りで、裾曳きの本衣裳です。
三番叟と千歳が交互に踊れらました。
お二人ともとても柔らかくしっとりとした品の良い踊りでした。
右近さんの立役も好きですが、女方はまた一段と美しいですね。
男の人が女方を演じているのではなくて、女性そのものに見えます。
美しさと踊りの上手さで、なお一層美しいと感じます。
千歳は上手で踊られますので、私の席は下手の端ですので、とても見にくく残念でした
右近さんお一人で観たかった!
右近さんは七世宗家清元延寿太夫の清元による親子共演でした。
右近さんの衣裳は、白地(アイボリーに見えた)に墨絵で梅模様を
右近さんがデザインされた衣裳です。凄い才能!
一、上、藤 娘 藤 の 精 市 川 中 車
下、越後獅子 角兵獅子 市 川 團 子
上、最初チラシを見た時は、チョット注目という感でしたが、やはり中車さんは凄いですね。
所々には初心者という箇所はありましたが、その部分は消すように
やはりなという箇所で埋めてくれました。
若い娘には見えにくいが、色気がある目の演技を見せてくれました。
反るところ、腰を落とす、長い袖の扱い、お引き摺りの扱いは上出来でした
私が藤娘にこだわりを持ち、藤音頭を踊りたいという願望があります。
今回の藤娘は途中から潮来出島に入るのですが、藤音頭で上手、下手にご挨拶を入れての踊り。
上手にこちょこちょと歩んでご挨拶、下手にこちょこちょと歩んでご挨拶ですが愛嬌のある笑顔に
拍手が湧きました。折角地方さん付きですから余裕があったら3階席までご挨拶が出来たら満点。
お化粧を工夫されたらどうでしょうか。
谷口さん評にありましたが、稽古に真摯に打ち込む真面目さとありましたが、演技力抜群であり、
努力家であり、血筋でしょうね。「ゼニ返せ」という踊りではなかった。魅せて頂きました。
下、またまた團子さんの踊りが素晴らしかった!
語彙表現の乏しい私には、言葉に表せられないくらい上手く、成長が楽しみ!
獅子頭をつけ、太鼓を打ち鳴らしながら踊り、手踊り、綾竹を扱っての踊り。
最大の見せ場は足拍子で軽妙なリズムを取りながら、長い晒しを振って舞う。ここで拍手。
歌舞伎をやることになってから、踊りを始められたようですが、血筋も加わり将来が
最も楽しみです! ずーと応援したいと思います。
この後、会主の踊りがあるのにここで帰る方があったのは残念でした。
一、京鹿子娘道成寺 竹本連中 長唄囃子連中
道行から鐘入りまで
白拍子花子 谷 口 裕 和
お馴染みの「道成寺もの」です。道行から始まり、娘の可憐な踊り、三段笠を持って「花笠の踊り」、
手拭を使ってクドキ、鞨鼓を鳴らして踊る。次に振り鼓を持って踊るなど多くの小道具を持って
踊る。私はこの踊りを練習したことあるので、自然に歌詞を心で唄い、いつの間にか手振りも出て
来る。
素踊りなので派手さはないのですが、踊り分けのところで下がり、衣裳替えをする。
踊り分けで可憐な姿、クドキの部分、軽快なところ等々が分かります。
素踊りだからごまかしが効かない、素踊りの難しさを再確認出来ました。
この会の踊りどれも素晴らしく、それぞれの親子共演も観られたし、
素晴らしい公演をありがとうございました。
観せて頂いたことに感謝です!