約17年前、うちに来た小さな黒柴。前脚の先だけ白くて、靴下履いてるみたいだった。もともとうちにいた仁ちゃんが興味深そうに匂いかいでたっけ。

それから、やんちゃなお姫さまは我が家のアイドルになった。同じくムードメーカーでマスコットキャラのうちの末っ子とライバル関係にあって、よくやりあってる二人だったw

それまで仁ちゃんと2人で行ってた毎朝の散歩が、3人になった。走るの大好きで、雪が大好きで、雪の上をぴょんぴょん跳び跳ねて、黒い鼻先にまっしろな雪がちょこんとのってるのが本当に可愛かった。

毎朝出勤する両親を「置いてかないで」と言わんばかりに吠えてドアまで追いかけて、帰ってきたら耳を平らにして喜んで出迎えた。静かで内向的な仁ちゃんと、やんちゃで社交的なこりん。正反対の二人だった。




日本を離れて暮らすようになり、一時帰国の時しか会えなくなった。いつもドイツへ帰る日は怒って最後撫でようとしたら噛もうとした。だけど、目が見えなくなる直前に帰国したとき、滞在最初から最後までくっついてきて離れなかった。洗濯物たたむ時も、トイレに行くときもついてきた。ドイツへ出発の日、またいつものように怒るのかなと思いながら、あいさつしようとしたら身をすり寄せてきた。嬉しくていっぱい撫でた。

それから白内障になり、こりんの目が見えなくなって、年齢でぼけも入ってしまったのか、私が帰っても認知できなくなった。
今思うと、私のことがわからなくなるとわかっていたのかなと思う。

我が家の癒しで、可愛い可愛いアイドル。


その琥琳が天国に行ってしまった。あと10日で17歳だった。

悲しくて悲しくて寂しくて涙が止まらないけど、先月日本に帰ったとき苦しんでいるこりんを見るのも辛かった。もうこりんが苦しまなくてすむんだと思うと、すこし安心した。きれいな景色を見て、自分の脚で走り回って、大好きな雪の上で跳び跳ねてほしい。

約17年間ありがとう、こりん。ヘンテコなあだ名で呼んでも反応してくれてありがとう。ケンカして怒っても次の日にはシッポ振って寄ってきてくれてありがとう。子供らが反抗期で大変な時にも、変わらずお父さんお母さんの癒しでいてくれてありがとう。我が家に来てくれて、ありがとう。

お姉ちゃん、がんばって生きるからね。


ゆっくりおやすみ、こーちゃん。