ちょっとこの辺でオランダ話をします。

 

先日ヤンの会社の懇親会がありました。奥さんも参加してよいとのことで私も行ってきました。

 

会はレストランを貸切って18時から始まりました。参加者は100名くらい。みんなGパン・Tシャツといった軽装でやって来ていました。まずビールやワインを飲みながら適当におしゃべりし、それからみんなでゲームをし、夕飯を食べ、またゲームをし、22時頃お開き・・・となりました。

 

面白いなと思ったのは、私が沢山いる男性社員の中からピタリと社長を当てたこと。会が始まり私は飲み物を飲みながら密かに人々を観察していました。そうしたらある50代の男性が私の目を引きました。その男性も他の男性たちと変わらずGパン・Tシャツといった格好をしていたのですが、顔がキリッ!と物凄く引き締まっていて、とても聡明な感じで上品で、なんだか他の人とは明らかに醸し出すオーラが違っているように思えました。私はヤンにそっと訊ねました。「ねえねえ・・・この中に社長さんいる?」「うん、いるよ」「もしかして・・・あの人じゃない?」とその男性をヤンに示しました。「そうそう当たり。あの人だ」「やっぱり、直ぐにわかったわ。雰囲気がとっても社長なんですもの!」

 

この社長さんは20年以上前に一人で起業し、今では社員100数名の会社に成長させた方です。大きなことをやり遂げたことが”顔”に現れているなと思いました。高級品で身を包むことなく、顔だけでそれを示すなんてなんて素敵。

 

しかし、さすが封建的なことが大嫌いなオランダです。会では社長さんも、みんなと全く同じように食べて飲んでゲームをしていました。オランダには偉い人には上座に座ってもらうとかがないし、社長だからといって助さん格さん的な人が付くわけでもないし、周囲はただただ自分たちが楽しむことだけを考えているといった感じ。もちろん社長さんもそれを当然としていました。だいたい社長さんのスピーチもなかったくらいです。

 

後でわかったのですが、社長さんには息子さんがいて将来この会社を引き継ぐ予定だそうです。会に出席していたらしいのですが、どの人が息子さんかはまったくわかりませんでした。本人が「オレは社長の息子だぜ」っていう態度を取らないからだろうし、周囲も特別扱いをしないからです。・・・っていうか、「オレは社長の息子だぜ」なんて態度を取ったら大変。総スカンをくらいます。

 

ちなみにオランダでは「子供が親の会社を引き継がなければいけない」っていうのがありません。もし子供が自分の仕事に興味がなかったら、親はけっこうあっさり会社を売ってしまったりします。この息子さんは親の仕事が好きだから引き継ぐのでしょう。

 

オランダ人の友人、ヤネケの叔父さんは高級食品店を経営していました。息子さん二人が親の仕事に全く興味がなく、長男は警視庁勤務、次男は高校教師になりました。だから叔父さんは会社を売ってしまいました。オランダ人は「人は自分の好なことをやるべきだ」と考える人たちなので、「親の仕事を継がないなんて親不孝者だ」とも考えません。

 

叔父さんの会社はかなり儲かっていました。息子さん二人はお父さんの会社を継いでいた方が、金回りは多分ずっとずっとよかったんじゃないでしょうか。あ・・・なんだか品がなくてすみません・・・。