今月、来月と金融機関の年金相談会が多いです。
今日もそうでした。

良かれ、と思ってしたご説明で、2人のお客様がショックをうけた内容をご紹介します。


夫が亡くなり、遺族年金を受けていらっしゃる50代の女性のお客様。
遺族年金には、寡婦(かふ)加算という上乗せ年金がついています。

この年金は、夫が20年以上、厚生年金に加入されていた等の理由で加算されるものです。

金額は、生年月日にかかわらず1カ月約4万9,500円。

ところがこの年金、65歳になると、なくなります。

代わりに、生年月日による寡婦加算になり、若い人ほど低い額になります。


例えば昭和2年5月生まれなら、1カ月 約4万6,900円に代わり、月あたり2,500円ほどの減額で済みます。

しかし、今日相談を受けたお一人は56歳になる方で、昭和29年6月生まれでした。

この方の寡婦加算は、1カ月 約3,300円、と65歳前に比べ、月あたり4万6,000円以上も減ってしまうのです。

さらに付け加えれば、昭和31年4月2日以降に生まれた人には、65歳からの寡婦加算はつきません。
理由は、法律改正の後、新制度の運用がスムーズにできるようになるまでの、期間が限定された上乗せ年金だからです。

65歳からの遺族年金は、老齢基礎の年金と一緒に受け取ることができます。
平均的な納付期間の女性は、寡婦加算が減った分に近い額が、老齢基礎の年金から支払われるようになっています。
そのため、65歳から受け取る総額は、65歳前とあまり変わらないか、少し増える、という方が多いです。


「65歳からもらえる額は、自分の年金と合わせて、だいぶ増えると思っていたのに…。」

今日の相談会では、お客様のあまりの落ち込みように、一瞬かける言葉を失いました。

しかしお客様はすぐに気を取り直し、こう続けました。
「早く知っておいて良かったわ。知らずに65歳になってびっくりしなくて。」

「そうですよ、今から65歳からの減額に備えることができますよ。」
この後、年金を増やすワザをご説明しました。(続きの記事はあらためて)


※文中の金額は、平成22年度のものです。