すでに40年近く経っている出来事です。
物的証拠もなく、いろいろなことがあいまいですが、頼るべきはご本人の記憶しかありません。
このお客様には「第三者委員会」への申し立てをお勧めしました。
「第三者委員会」は、年金記録問題のさなか、平成19年6月に発足しました。総務省を管轄とする審査機関です。
旧社会保険事務所(現 年金事務所。以下同じ)で、物的証拠がなく、保険料を支払ったのに未納付と判断されたケースなどを、専門家からなる有識者の委員に審議してもらいます。
審査の結果、旧社会保険事務所の決定した記録に訂正が必要とされれば、実際に訂正されます。これを「記録回復」と言います。
今回のお客様のような、“脱退手当金を受けとった記憶がないのに、受けとったことになっている”というケースも審理の対象です。
脱退手当金の問題について、新たな展開がありました。
3月29日、厚生労働省が新たな記録回復基準をまとめたのです。
脱退手当金の算定期間にもれがある場合など一定の条件を満たせば、証拠がなくても、「実際、本人は脱退手当金を受けとっていない」として、年金になる期間として認める、というもの。
申し立てが認められれば、年金額は増えることになります。
40年も50年も前の出来事を審査するのですから、今となってはわからないことだらけ。
本当に救われる人にとってはいいことだと思います。
しかし、これまでの法律が覆されるようなことが多く、現場では混乱しています。
もとをたとれば、国民年金法や厚生年金保険法の中に、手続きの誤りがあった場合の「きまりごと」(明らかな誤りがあった場合、本人に立証責任を負わせない「きまりごと」)がなかったことが原因なのかも、と感じています。