『本当の価値を教えてくれる人との繋がりが 世界を広げる』


 或る国立大学名誉教授でもいらっしゃるS教授と、

先日ご一緒させて頂きました。


 教授は、ご専門の教育の分野は言う迄もなく、

文化芸術、特に音楽に大変造詣が深く、

また美食家でもいらっしゃいます。


 食事をしながら、色々なお話を聴かせて頂いたのですが、

その中に 教授が初めてドリアンを召し上がった時のお話がありました。


 ドリアンは、果物の王様と呼ばれる程、美味ですが、

その臭いは大変強烈なものだそうです。


 始め、教授もドリアンが召し上がれなかったのですが、

食べられる様になってその美味しさがわかると、

その味わいの深さに、やみつきになられたそう。


その美味しさを知った瞬間の感動はもちろんの事、

今迄知らなかった世界を知り、

新しい世界がパァーッと広がるのをお感じになったそうです。


「 でも、僕ひとりでは、ドリアンを食べることはできなかった。

自分ひとりの力なんて、たいしたものではないのですよ。


ドリアンを勧め、強引にでも食べさせてくれる人がいてくれたお蔭で、

ドリアンの美味しさを知る事が出来たのです 」


 それは、教授の先輩が タイ(だったと思います)に赴任され、

そちらに訪ねていらっしゃった時のこと。


先輩から、ドリアンを食べたことはありますか?と問われ、

いいえとお答えになると、


 Sさん、ドリアンの美味しさを知らずして、

                食を語ることは できないですよ 」 

と仰ったそうです。


 そして、街の大きな市場に連れて行き、

一番上等のドリアンを買って 食べさせて下さったそうです。


 初めて口に運ばれた時は 臭気で吐き気を催された程。


でも先輩は、 現地でもとても高価なドリアンを、

美味しさがわかる迄と 毎日買って食べさせて下さったそう。


そのお蔭で、美味しさを知り、世界が広がり、大きな感動を頂いた。


「 だからね、

 ドリアンの様なものを、勧めてくれる人、味あわせてくれる人がいる

           というのはとても有難いことなんだよ。


 そんな人を持てる自分でいること、

         人間関係を築いておくことが大切なんだよね 」