伊勢の内宮、宇治橋を渡り進んでいくと右手に、
大正天皇御手植松があります。
確かに柵で囲ってはありますが、それを伝える立て札はありません。
神宮は誰が植えても松は松として敢えて言挙げ(言葉にして示す)しないのだそうです。
ゆかしく、謙虚で、自然なのです。
一日も休むことなく変えることなく、
日々のお勤めや儀式が続けられていますが、書き記したものは何もありません。
ただ、1300年、同じようにすることだけを守り続けられています…。
20年に一度の遷宮も、
20年前の遷宮の時に関わった宮大工さんや船大工さんが、
新しく加わった人たちに技術や形を伝えていきます。
そうして1300年、連綿として細部に至るまで伝承されてきました。
遷宮によって立て替えられる柱や木々は、
全国の神宮ゆかりの神社に順に廻すので無駄がありません。
そして、伊勢神宮は、
古いのだけれど、常に新しく生き生きして、清々しい氣を伝えています。
遷宮によって、日々のお勤めを変わることなく続けることによって、
日本の文化・技術を伝承してきました。
日本の心・伝統を守ってきました。
皇位のしるしとして
天皇陛下が受け継がれている三種の神器は、『勾玉』『剣』『鏡』。
この3つに共通するものは、『磨く』。
『勾玉』は、美しい魂を表し、 『剣』は、正義を表します。
『鏡』は、自分の姿、心を映すもの。
それぞれに
濁り、曇りのないように常に美しく磨いておかねばなりません。
自分自身も身の回りも常に美しく清らかに磨くことを、
技術も磨き続けることを大切にしてきた日本の心を伝えています…。
天照大神が、これで民を幸せに…と、ニニギノミコトに稲穂を手渡されました。
以来、日本人は米を作ることによって命を守ってきました。
稲は、命の根っこだから、イネ。
米は、神様の心が籠められているから、コメ。
また、世の幸せを願うものだから、ヨネとも言います…。
だから、お米を大切にしなければなりません。
気は氣なのです。
4度目の御垣内での正式参拝。
緑様のご案内を受けながら、 また改めて
伊勢神宮の尊さ、先人の素晴らしさ、心の気高さ、
感性の豊かさに感動しました。 感謝しました。
そして、その美しい日本の心を
守り伝えていくことの大切さを痛切に感じました。