【2025年未来予測】有人レジは本当に無くなる?セルフレジと無人店舗の普及から考える「買い物の未来」

 

気づけば、近所のスーパーのレジがほとんどセルフになり、アパレルショップでも自分で会計を済ませることが当たり前になってきました。さらに、東京・高輪ゲートウェイ駅に登場した、レジそのものが存在しない「無人決済店舗」は、未来の買い物の姿を私たちに提示しています。

テクノロジーの進化は凄まじく、「店員さんがいる有人レジは、いずれ完全になくなってしまうのだろうか?」と、ふと疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、最新の動向を踏まえ、「有人レジが無くなる」と言われる理由と、それでも「完全には無くならない」と考える理由の両面から、私たちの「買い物の未来」を考察していきます。

 

なぜ「有人レジは無くなる」と言われるのか?3つの大きな波

 

まず、有人レジが減少している背景には、抗いがたい3つの社会的な波が存在します。

 

1. 深刻な「人手不足」と「人件費の高騰」

 

日本が直面する最も大きな課題の一つが、少子高齢化による労働力人口の減少です。特に、小売業や飲食業における人手不足は深刻で、従業員の確保は企業の死活問題となっています。レジ業務を自動化・省人化することは、従業員をより付加価値の高い業務(品出し、顧客対応など)にシフトさせ、店舗全体の生産性を上げるための必然的な選択肢なのです。

 

2. テクノロジーの急速な進化

 

かつてのバーコードを一つずつ読み取るセルフレジから、技術はさらに進化しています。天井に設置された多数のカメラと棚の重量センサーが、顧客がどの商品を手に取ったかをAIでリアルタイムに解析。あとは専用ゲートを通過するだけで、アプリに登録した決済方法で自動的に会計が完了する――。このような「ウォークスルー決済」型の無人店舗が、すでに実用化されています。この技術が普及すれば、レジという概念自体が過去のものになるかもしれません。

 

3. 消費者の「非接触・時短ニーズ」の高まり

 

コロナ禍を経て、衛生的でスピーディーな買い物体験を求める消費者の意識は、すっかり定着しました。レジの行列に並ぶ時間を無駄だと感じ、「自分のペースで、誰とも話さずにサッと会計を済ませたい」というニーズは、特に都市部で強まっています。この流れが、セルフレジや無人決済の普及を後押ししています。

 

それでも「有人レジは完全には無くならない」と考える理由

 

一方で、テクノロジーや効率だけでは割り切れない、人間ならではの価値も存在します。有人レジが簡単には無くならないと考える理由は、ここにあります。

 

1. 「温かみのある接客」という価値

 

「いつもの店員さん」との何気ない会話、「この野菜、どうやって食べるのがおすすめ?」といったやり取りは、買い物の楽しみの一つです。特に高齢者の方々や、デジタル機器の操作が苦手な人にとって、親切な店員さんの存在は、安心して買い物をするための重要なインフラと言えます。高級百貨店や地域の専門店など、効率よりも「おもてなし」や「コミュニケーション」を重視する業態では、質の高い接客ができる人材は、むしろ価値を高めていくでしょう。

 

2. トラブル対応と万引き防止という「人の目」の役割

 

セルフレジで商品のバーコードが読み取れない、お酒やタバコの年齢確認が必要になる、といった場面では、依然として店員のサポートが必要です。また、「人の目」があることは、万引きを抑止する上で非常に大きな効果を持ちます。完全な無人化は、高度な防犯システムへの投資や、万引きロス率の上昇という新たなコスト問題を生む可能性もはらんでいます。

 

3. すべての店舗が導入できるわけではない「コスト問題」

 

無人決済システムは、非常に高額な初期投資と維持費を必要とします。大手資本のチェーンストアは導入できても、地域に根差した個人経営の小さな商店などが、同じように設備投資をすることは現実的ではありません。日本中のすべての店舗から有人レジが消える、とは考えにくいでしょう。

 

未来の予想図:レジの「役割」はどう変わるのか?

 

では、私たちの買い物の未来はどのような姿になるのでしょうか。 おそらく、「無くなる・無くならない」の二元論ではなく、有人レジと無人レジが共存し、店員の「役割」が大きく変化していくというのが最も現実的な予測です。

これからの店員は、単なる「決済担当者(キャッシャー)」ではなく、**「店舗コンシェルジュ」**へと進化していくでしょう。

レジ打ちや会計といった単純作業は機械に任せ、人間はより高度な役割を担うようになります。例えば、商品の専門的な説明をしたり、顧客一人ひとりに合った商品を提案したり、店内のどこに何があるか案内したりと、店舗全体の顧客体験を向上させることが主な仕事になるのです。

多くの店舗では、急いでいる人向けのセルフレジ・無人ゲートと、サポートが必要な人やコミュニケーションを楽しみたい人向けの有人カウンターが併設される、ハイブリッド型が主流になるのではないでしょうか。

 

まとめ

 

結論として、**「有人レジが完全にゼロになる可能性は低いが、その数と役割は今後大きく変わっていく」**と予想します。

テクノロジーは、あくまで店舗が顧客にどのような「買い物体験」を提供したいかを叶えるための手段です。効率とスピードを追求するお店もあれば、人間的な温かみとコミュニケーションを大切にするお店もあるでしょう。私たち消費者は、その日の気分や目的に合わせて、お店を使い分ける時代になっていくのかもしれません。

次にレジに並ぶとき、少しだけ未来の買い物の姿を想像してみるのも面白いかもしれませんね。あなたは、どんなお店で買い物がしたいですか?