「うつせみ」 | アクセサリー Stellamaris 店長 aiaiのブログ

「うつせみ」

最近はまっているキム・ギドク作品。


きつい描写も満載ですが

綺麗事だけではすませない嘘の無さと

それにも増して映像が幻想的で美しいのが魅力です。



強烈なシチュエーションが目立つ作品群の中でも

割と薄め?の作品を。

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「うつせみ」


出演: ジェヒ, イ・スンヨン
監督: キム・ギドク


テソクは、様々な留守宅に侵入し

毎日を過ごす青年。



住人たちの、生活の証・顔となるものを

カメラに収め、

少し食糧と風呂を拝借し、一晩くつろいではまた別の家を探す。



借り暮らしを静かに楽しんでいた彼が

ある日入った豪邸には、

夫のDVに苦しむ美しい人妻ソナがいた。


ソナと遭遇してしまうテソク。

傷ついた顔ですがるように見つめるソナ。



一度、家を離れたテソクだったが

引き返して彼女を連れだす。



二人が毎晩違う家を転々とする旅は

男女の生々しさより

子供の冒険の様。



ままごとのような愛らしさの中に

小刻みに現実的な事件も織り交ぜられるあたりは

キム・ギドク監督らしい。



ある日、侵入した家で、老人の遺体に出くわしてしまい、

二人の奇妙な旅は形を一変していく・・・・



キム・ギドク作品の登場人物たちは

ほとんど台詞を発しない。

主人公たちは、あっても1つ位。

目線で語る演技を要求される訳ですが

今回の二人は目力の強さがとても印象的でした。



二人にしか通じない世界を象徴しているようでした。



夢とも現とも解らない世界の中で、

ただソナに静かに寄り添うための技を

淡々と身につけていくテソク。



クライマックスの夫とテソクの対比が

とても印象的で、ちょっと恐ろしい絵でもあります。