ーーー君はぼくの最高の友達だ
(BANANA FISH最終話より)


私は漫画大好きなオタクなのでアニメはほとんど観ることがなかったのですが、最近は進撃の巨人の影響でアニメも少し観るようになりました。

劇場版鬼滅の刃も、映像も迫力があったし良かったです。。

そして先日プライムビデオに、BANANA FISHのアニメ版があるのを発見して速攻で観てしまいました。

BANANA FISH、漫画家吉田秋生先生の名作です。
私は漫画家の中でも特に吉田秋生先生が大好きで、海街DAIARY2巻までの全作品を読んでると思います。
吉田秋生作品に限らず今まで沢山の素晴らしい漫画を読んできましたが、その中でもBANANA FISHが、主人公のアッシュがいちばん大好きなんです。

最初は正直、原作への思い入れが強すぎて、
アニメの絵が綺麗すぎる!とか、アッシュってこんな話し方…?
と少し違和感もあったのですが、、(失礼で申し訳ないです)
最終話まで観て、なんて原作へのリスペクトと愛に溢れたアニメなんだと本当に感動しました。

(以下色んな作品のネタバレになってしまうんだけれども。。)

ちょうど原作を読んだのが10年前の今頃でした。

当時はアッシュや英二と同世代だったけど、
気付いたら『光の庭』の頃の英二と同じ年齢になっていました。

アッシュ、君は最期の時にとても幸福だったんだね。
望まずとも荒々しく激しい人生を、英二の言うように君は一生懸命生き抜いた。
理不尽な暴力の傷や、自分の背負う罪の重さを投げ出そうとせずに。

最期に微笑んでいたのは、英二という大切な友だちの純粋な温かい誠実さに、傷ついた魂が包まれて、安心して穏やかに人生を終えたからなのかな、と思ったりします。

進撃の巨人の中で、私はエルヴィン団長というキャラクターが好きなんです。
彼も自分の仕事、団長という役割を全うして時に冷酷すぎる判断から悪魔と呼ばれ、それでも人類のために、仲間のために最期まで先頭に立って戦った人なんですが。

人の上に立つ人は、強そうに見えるその陰で沢山のものを背負い苦しみ、孤独なのだろうと思います。

私はまだまだトップに立つような人間ではないけれども、それでも責任を持って仕事をしてるすべての人と同じように、時に苦しい判断をしなければならない時もあるし、責められても矢面に立って戦わないといけない時があります。

エルヴィン団長の最期の時のね、盟友のリヴァイ兵士長の
「こいつは悪魔になるしかなかった。それを望んだのは俺たちだ。けど、もう休ませてやらねぇと」
って言葉がね、なんだかアッシュにもしっくりくるんですよね。

人を殺すことに何も感じないんだと言いながら、そんな自分に涙を流し、英二に今だけでいいからそばにいてくれと願うアッシュの傷ついた魂を休めてあげたいと。

最期、英二がニューヨークから日本に帰国する時。
英二のために、もう自分は関わってはいけないと、会いに行くことも見送ることもしなかったアッシュ。
年齢を重ねた今の私には、どんなに強くて賢くてもまだ17〜18の少年が、そこまでの覚悟をしたことがとても切ない。
子供が子供らしく笑顔になれないのは、なんであれ我々大人の責任だと思うんです。
会いに行ってやれよ、冷たいと責められても、悪役になっても英二のために、二度と会えなくてもいいと決断できるアッシュ。

アッシュが英二からの手紙を読んでいる時に流れたLibertyというサントラもとても良かったです。

そのシーンを、漫画とアニメ映像をiPadに2画面で映して観ていたら、本当に漫画の構図を丁寧に再現されてて…

とても胸が熱かったです。
ここまできちんと描き切ってくれて、アニメ制作に携わった方々の情熱とか愛が素晴らしいなぁと思いました。

アッシュは美しくて大人よりも頭がキレて、カリスマ性があって時に冷酷なほど強くて鋭くて、でもそれは仲間を守るためで…
幼少期に性的暴行を受けて、傷ついても決して屈すことなく生き抜いた。
少年だけれども、どんな少女漫画の主人公よりも彼は少女漫画の主人公だなぁと思います。
これ程までに、傷ついてきた女の子の気持ちを代弁して、強くあろうとしてくれる主人公は他にいないんじゃないかなと私は思うんです。

どうしてもアッシュ達の生きていたニューヨークという街を見たくて行きたくて、大学時代に予約までしたのに航空会社の都合等で結局行けなくなったりと紆余曲折を経て、4年ほど前にやっとニューヨークに行けたんです。



これはその旅の時に、アッシュと英二が乗っていたフェリーに乗って、自由の女神を見た時の写真ですね。

聖地のニューヨーク市立図書館にも行きたかったんですけどね。
X JAPANがライブをしたマディソンスクエアガーデンも観てみたかったんだけどね。
最寄り駅まで行って、向かおうとしたら現地の男の人が急に近づいてきて目の前で大声出されてさ😭
アジア人の私は悲鳴上げて駅に逃げて、そっから怖くなって結局行けずじまいになってしまった悔しさを思い出しました🤣

TwitterでBANANA FISHについて呟いたら、BANANA FISHファンの方から反応があって、アニメで再熱した人、ファンになった人がけっこういるのかな?と思いました。
やはり素晴らしい名作は、時代を飛び越えて人の心に響くものがあるんですね。
私自身も決して世代ではないけれど、こんなに大好きなんだもの。

BANANA FISHのその後を描いた番外編『光の庭』という作品に、女である自分が受け入れられない暁という少女が出てくるんですが、まさに私がそんな少女でした。
同性が好きなわけではなく、男性になりたいわけでもないけど、少女から大人になっていく中で、女性として男性に見られるのに違和感があったり。
そんなこと気にせずに生きられたら楽なんだろうけどね。少数派だろうけど、きっと共感する子はいつの時代もいると思うよ。

吉田秋生先生の『櫻の園』という作品も大好きです。
私は子供の頃、可愛い子ではなく、良い子って褒められてたの、とか、発育が良くて子どもの時に歳上の男の人に性的なことを言われて悲しかったとか(記憶がおぼろげですが)
吉田秋生先生はそういう女の子の心の奥底の誰にも言えない気持ちを、大げさにはせずにサラッと描いてくれるんですよね。

まあ、私は今はいい大人ですが…笑
今となっては、誰のせいにもしないし、こだわるつもりもないけど、ただ今も色んな思いを抱えて生きてはいますよ(^^)

なんとなーく90年代後半からの吉田先生の作品はそういう描写が変わっていったような気がして、『ラヴァーズ・キス』からちょっとずつ苦手になり、、
冒頭で書いたように海街DAIARY2巻までが私が追っていた先生の作品になってしまったんですが。。
(これは個人的な好みの問題だと理解しているので、決して批判的な思いはないです。吉田先生は今も素敵な漫画を描き続けていらっしゃる素晴らしい少女漫画家です)

ただ海街DAIARYが是枝監督によって映画化されたときはすごく興奮しました。
なにせ是枝監督の『誰も知らない』は、私が人生で一番号泣した映画だったので。(そういえばこの映画を見たのも10年前でした)
オタクにとっては、大好きなクリエイター同士がコラボするのって、心臓が破裂しそうなくらい嬉しいものですよね。

なんだか久しぶりにBANANA FISHを見て感動して、二十歳前後の生活して生きていくのに必死で不安定だった頃とか色々思い出したりして、思わずブログに残したくなりました。

10年前の私へ、何を伝えたいかなぁ。
10年経ってもやっぱり私は生きるのも人付き合いも下手くそで、相変わらず不器用な人に胸を打たれてます。

不安で心細い夜を何度も乗り越えてくれてありがとう。
弱いのに強がって、誰かに頼ることが出来ずに自分を傷つけたこともあったね。

それでも生きててくれてありがとね。
きっと生きてて良かったと思える瞬間がくるはずだと信じながら、
信じられないくらい意地悪な人もいたけど、見返りを求めずに大切にしてくれる人もいた。
今も時々投げ出したくなる時があるけど、あなたが踏ん張ってくれてたから、私も踏ん張るね。

今を、生きていこう。