お世話になりっぱなしの、皆様へ。




お待たせしました(お持ちの方がいらっしゃるかは甚だ不安ではございますが)完結です。

本誌の素敵な展開を受け・・・軌道修正したら、あら不思議。

いつもの蓮さんとキョコさんに仕上がりました。←


遠い昔にピグで嫌な思いをした際に、皆さんとの繋がりに改めて感謝させられたことがきっかけで、広げた風呂敷。

相変わらずの駄文ではございますが、お気に召しましたら持ち帰り下さい。




では、お楽しみ頂けたら幸いです♪








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猫としてでも良いから、傍にいたかった。







そんな馬鹿なことを考えて、とってしまった行動は。
大きなしっぺ返しとなって、自らに降りかかる。

勝手な行動を窘めるはずのお仕置きだったはずなのに、彼はどうやったって最後は私を甘やかす。
カインとして、雪花を。
事務所の先輩として、後輩を。
敦賀 蓮として、最上キョーコを。
その好意の延長線には、それ以上の想いが乗らないことくらいわかっている。

でも、それでも。
期待してしまう想い。
その名前を、いい加減認めないといけないのかもしれない。


・・・・・認めたくは、ないけれど。




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闇の気配が色濃く残った朝日と、自分以外の体温によって、いつもよりも少し早めの覚醒を促された。
夜との境目が曖昧な朝日に、大きな黒い身体、小さな黒い身体。
靄が掛かる思考の中でぼーっとした頭で昨日を反芻して、思い出す度に脳内でハレーションが起きる。


(わ、わたしは・・・・なんてことを・・・・ッ!)


絡み合う、腕。

直接感じる、体温。

分かち合う、重み。

その全てが、思考を捉えて離さない。


頬に血流が集中する感覚が生々しくて、きっと顔を真っ赤に染め上げているだろうことは容易に想像がつく。

彼が起きていれば、役を付けきれていない自分に駄目息が漏れることだろう。

しかし、そんな彼は夢の中。

憎らしいほど、すやすやと健やかな寝息を立てている。

気が付いたら黒猫もベットの上で、同じようにすやすやと安眠を貪っていた。

状況が状況でなければ、とても微笑ましい光景なのに、それを歓迎できないのはこの体勢のせい。

この前、抱きつかれながら寝たときよりも状態はいいのだろうが・・・・このがちっと絡まっている身体を早く解きたい。


この心地よくて、性質の悪い体温を。
この心地よくて、性質の悪い人肌を。
最悪なことに、もう覚えてしまった。

それでも、今なら・・・・忘れられる。


本当のペットのようになんか、飼い慣らされることなど、ありえないのだから。
これ以上を求め始める前に・・・・・忘れてしまわないと、また、闇に堕ちる。

あれやこれやと考えていたら、くすくすと笑う気配を感じた。

「朝から面白い顔してるね?」

「!!」

「おはよう、妹さん」


役を付けずに、この部屋で話すのは初めてで・・・・対応が遅れてしまう。

まじまじと見る彼は、いつもの「敦賀蓮」で、心配していた心が少し安心して、大変危険だと小箱を保管している心がざわめいた。


「おは、よう、ございます」

「おはよう」

「あの・・・・敦賀、さん?」

「ん?」


いつから起きていたのか、とか。

黒猫はなんで一緒のベットなのか、とか。

カインとしてではなく素の彼として接するのか、とか。

聞きたいことがたくさんあって、うまく言葉が出てこない。


「んー、君が寝た少しあとに、そいつが入れろって主張してきたから、入れた」

「は、はぁ」

「あと、起きたのは本当に少し前かな?」

「・・・・ぇ」

「カインとしてだと、そいつの経緯と今後について話せないと思ったから、素で話をしようと思ったんだ」

「そうなんですね・・・・って、敦賀さん!!」

「残念ながら、エスパーじゃないよ?」

「あぅ」


君の考えることなんてわかりきってるから、と笑う帝王。

彼を言い負かすだけの日本語力など持ち合わせていない私は、早々に白旗を揚げる。

兄妹ではないのなら、さっさとこの体勢をどうにかこうにかしたいのだけれど。

がちっと嵌った身体は、びくともしない。


「離して、下さい」

「寒いし、そいつも起きちゃうよ?」

「でも・・・・」

「暖かいから、ほら」


ぎゅぅぅっと抱きしめられて、暖かくなる身体。

痛いほどに締め付けられる、切ない心。

それでも、喜びに染まるのは名前を付けることに躊躇う感情。


「・・・・降参です」

「物分りが良くて助かるよ」

「なんですか、それ」

「まぁまぁ、ついでに社長からはなんて言われたの?」

「あぁ~・・・・敦賀さんにばれないようにって」

「それで?」


続きなんかありません、と言っても、この先輩は信用してくれないんだろう。

なんでもかんでも、べらべらと話す後輩は、迷惑ではないだろうか?


「ほら、最上さん。言わないとまた猫だよ?」

「!!!そ、それだけは!!!」

「ね、ほら。言って?」


昨日の羞恥を再び繰り返すことが出来るほど、大和撫子精神を廃れさせた覚えはない。

そして、今の言い方は「兄」として、ではなく、「敦賀連」として、言ってきているので、求められる私も・・・・

当然「雪花」としてではなく、「最上キョーコ」としてしなければならないのだろう。

た、耐えられない・・・・・


「敦賀さんにバレたらこのミッション終了後に社長さんの付き人を一ヶ月しないといけないんです!後生ですからバレなかったよいうことにしておいてください!!!!」


涙目でワンブレスで迫る私を、疎ましがるでもなく、呆れるでもなく、面白そうに笑って受け流す彼。

いやいや、真剣ですよ。こっちは。


「うん、楽しそうだね」

「敦賀さん!」

にゃぁ・・・・


「ほら、最上さんが興奮するから起きちゃった」

「変な言い方しないで下さい!!」

にゃぁぁ・・・


「うるさーいって言ってるみたいだね?」

「猫にまで窘められるって・・・・どこまでも恩知らず」

「まぁまぁ、昨日は楽しかったよ?」

「ソレハヨカッタデスネ」


それはそれは輝かんばかりの微笑を向けられたって、こっちの機嫌は直りませんし。

そうそう簡単には、直しません。

それを知ってるのだろう彼は、懐柔するかのように私の髪を梳く。

懐柔なんか・・・・されません。


「最上さん、提案があるんだけど」

「なんですか?」

「もしかしなくても、社長の付き人しなくて済むかも・・・・」

「敦賀さぁぁぁあん!黙っててくださいますか!!」

「いや、無理だね」


くすくすと笑う彼に嫌な予感がばしばしとするが・・・・それは尊敬する先輩に失礼だと、自分の本能からの警告を無視して、黙る。

じゃぁ、なんですか?とジト目で睨む私に・・・・・爆弾が落とされた。




「それ俺の付き人に変更すれば良いんじゃない?」

にゃ~ぁ・・・・




Oh!My God!!

神様に縋ろうにも、縋れないこの状況。

そしてその提案を面白そうに、快諾する社長の姿が脳裏をよぎるってしまい、助けを求める人間が皆無であることを思い知らされる。


笑う神の寵児は、悪魔でしょうか?

そして黒猫は、使い魔なのでしょうか?


「そしたら、一緒にマリアちゃんのところに二人で様子を見に行ける」


こいつの、と示す視線の先には、瞳を爛々と輝かせて空腹を主張する黒猫。

あぁ、一ヵ月後の成長した姿が見られるならば・・・・とうっかり了承して、しまった。


「そう、ですね」

「でしょう?」

「ちょっと魅力です」

「うん。プラス一ヶ月最上さんといれるのは嬉しい」

「私も敦賀さんといれるのは勉強にもなりますし・・・嬉しいです」

「そうしたら、今日はまだ早いからもう少しお休み」


満点の笑みに、暖かい体温、触れる人肌。

食事はもう少し後だと察した、黒猫。

懐柔されて懐く、私。

眠りにつく、彼。


(もう、後戻りなんか出来ませんよ?)


愚かだろうがなんだろうが、私を追い詰めたのは・・・・誰でもない、彼自身。

責任を取ってもらって、ちゃんと引導を渡してもらおう。

そうしたら、諦める努力をするから。













だから、それまではそれまでは。

この心地の良い彼の体温と人肌に飼い慣らされて。

叶わぬ恋というものに、身を捧げよう。


大好きです、の意味を込めて。

ぎゅぅっと抱きついたら、抱きしめられた。


幸せに染まるのは、ようやく認めた・・・・恋心。













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