LME本社ビル、28階。
コンプライアンス研修を行うのは、大会議室 A。
本社で一番人数が収容できる場所である。
中には巨大スクリーンが、前後左右に3枚、どれだけ奥に座ろうと、展開される内容が確認できるようにという配慮の元、配置されている。
「人、多いな・・・」
「そうですね」
30分前に到着したのは良いが、人ひとヒト・・・・人の波が蓮と社を取り巻く。
社内ですれ違うだけでも人様を誑し込む担当俳優は、軽い挨拶をしながら、のほほん・・・とあたりを見回す。
その目線で追うものは、明らかで・・・・
(キョーコちゃんはいません!!!)
(嘘でも良いから、声を大にして、伝えてやりたい。)
(そして、そのまま凹凹になってしまえ!!)
研修に参加する為だけに、巻きに巻いたスケジュール。
19時には着けるようにしてあるから、焦るな!!と何度伝えたことか。
何度、共演者やスタッフに頭を下げただろうか。
その度に「最上さんと、一分一秒でも長くいたいでしょ?」と、なんてことないという口調でのたまうのだ。
このゴージャスター様に振り回されるのは、昨日も今日も、哀れな少女と、哀れなマネージャー。
そんな彼の黒い心が顔を表し、蓮に対して悪態をつく。
それは致し方ないことであろう。
その時、蓮が急に立ち止まった。
しまった!!と社の顔から血が引くが、いやいやいや、キョーコちゃんのように声に出すなんて、お馬鹿なことをするわけない!!と思い直し、そろそろと担当俳優の顔を見る。
「れ、蓮くん?」
「・・・・・・・」
「どうし・・・・・ッッ!!!」
蓮の視線を追った先には、もちろん彼の想い人。
最上キョーコがいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いる、のだが。
トレードマークの目に痛いピンクのつなぎでも、ない。
とっても似合う可愛らしいプリーツスカートの制服でも、ない。
センスの良い私服でもなければ、今出演しているドラマの衣装でも、ない。
ボディラインの際立つ薄いピンクのスーツを纏って、手には資料。
銀縁の伊達めがねが、幼さに知性を添えている。
極めつけはぷりっとした臀部からの脚線美。
そして、ピンヒール。
まるで青少年が夜にお世話になる、爛れた世界から出てきたように、危うげな匂い立つ仕上がりとなっていた。
気付いた時には、時すでに遅し。
有能なマネージャーを置いて、蓮は少女の元に向かっていた。
社が願うことは、ただひとつ。
(どうかどうかどうか)
(犯罪だけは起こりませんように)
願いは人の波にかき消されて、消えていく。
**
「やぁ、最上さん」
こんばんは、と繋がる声は魔王のもので・・・キョーコの心の臓が悲鳴を上げる。
ぎぎぎっと油滑りの悪い首を回して、大先輩に挨拶をする。
「こ、こ、ここ、っこんばんは、敦賀様!!」
無意識にしてしまうのは、最敬礼。
まさしく蓮の日ごろの行いの賜物である。
しかし当然のことながら、彼の目的は敬われることではなく、目の前の少女から愛されること。
目的の為に必死になっていたが、ここまで来るとちょっとやり過ぎたか・・・と反省する。
だが、この格好は頂けない。
頂けない・・・・が、舌なめずりをしてしまう自分を止められないことも、事実。
「様は、いらないだろう?
俺と、君との関係に・・・」
周りを牽制するために、含みをたっぷりと入れて、キョーコの腰から背骨にかけてを指で逆撫でる。
「ッッッ!!」
一気に染め上げられた頬に気をよくして、もっと触ってしまおうと思った時、元凶が現れた。
「良く集まった!!!
これから、緊急コンプライアンス研修を行う!!」
響いた声は、マイクなしでも良く通り、注目を一身に浴びる。
それを緊張の種ではなく、心地良い快楽の種に変えて、ローリィはにんまりと笑う。
いつものように派手な衣装ではなく、ダークブルーの三つ揃えに同色系のネクタイを合わせたその格好は・・・・
まともな勤め人ではなく、夜の蝶を斡旋する人種にしか見えなかった。
つ づ く
(by:魔人sei様
)
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決して、えろきゅんフラグではありません。← (訂正線by:北大路あやさま
)
**コメント抜粋**
>教材にはキョコさんの写真を使うことをオススメしますw
>露出したのを見せると凶暴化するかもしれないので、魔人は見学を差し控えさせていただます!りかさん、よろしくね?(・∀・)
よろしくされた結果。
流石にお堅い研修にキョコさんの素敵写真は、どうあがいても繋がらず!(´Д`;)ムリダー
・・・・・とりあえず、お色気に逃げましたw

