象の被害に会ってから、約一ヶ月。
スマートフォンにしてから、約一ヶ月。
蓮と社を意識的に避けてから、約一ヶ月。
・・・蓮とまともに会話をしなくなってから、もう一ヶ月。
まだまだ、キョーコは文明を使いこなせていなかった。
フリック入力も。
アプリの同期も。
マーケットでのID・PWの設定も。
ウィジェットの貼り付けも。
アプリを呼び出す、管理アプリも。
Wi-Fiの設定も。
OSのバージョンアップも。
全く繋がりがわからない為に、理解が出来ず。
出来る事といえば・・・
椹が設定してくれたスケジュールアプリを、確認する。
電話を、掛ける。受ける。
来たメールに対し、かなり短い文章での返信。
自分の成果に思わず、キョーコは遠目になる。
これではいくら経っても蓮とまともに会えない。
もしこんな状態で会ったら、迷惑をかけてしまう。
ローリィが植え付けた不安の種は、どんどん成長していき、「何故」避けるのかの根本をキョーコ忘れさせた。
彼女の脳内の公式は・・・
スマートフォンをきちんと扱えない
イコール
敦賀さんに会ってはならない
ぎっちりがっちりの歪曲思考を訂正する者はおらず、深みに嵌っていく思考により、深い溜め息は日課となった。
幸せが逃げてしまう、と以前マリアに教えられたように、一つ溜め息をつく毎に幸せなひと時が遠のいていくようだが、止められない。
「あー、もぅわかんない。
普通の携帯が良い・・・」
言いながら、書類が山積みにされた机に突っ伏す。
恨めしげに見つめるは、掌サイズの黒い端末。
何でも法人用ということで、保護ケースのラインナップも頂けない。
どこか哀愁漂う地味なものしかないのだ。
ビジネスシーンにはお似合いかもしれないが、キョーコの琴線に触れるキラキラでドリームな保護ケースは社外品でも作られていない。
それが彼女がこの機種を気に入る事の出来ない最大の要因であもある。
「可愛くないのよね。
本当に・・・デコメの画像もないし」
送る相手のいないキラキラのデコメ画像は、ただ眺めるだけでも心浮き立つ。
それがないのが、尚更憎らしい。
プリセットされていないなら、アプリをインストールすれば良いだけなのだが、哀しいかなキョーコは思い付きさえもしない。
山積みの書類と、黒の地味なスマートフォンを持て余し、キョーコ2日前の蓮に思考を奪われる。
「やっぱり、最低、よね」
優しい優しい先輩の好意に甘えてしまい、送られた回数は3度を超えてしまったのは、つい先日・・・
それがどこからか社長の耳に入り、2日前はセバスチャンの迎えがあった。
ことの経緯をどう伝えればいいのかわからず、とっさにタクシーと嘘をついてしまったのは、愚行だったと思う。
ただ、すぐに訂正をしなかったのは・・・
少し寂しそうな顔の先輩に、少し気を良くしてしまったから。
私でも、彼を、揺さぶれる。と・・・
そんな愚かな考えで、優しい優しい先輩の行為を踏み躙った。
部屋を出てすぐに、自己嫌悪に襲われ・・・
それからの溜息はより一層、重い。
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!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「なにか」を感じたキョーコは、びくぅっと、壊れたバネのように上半身を持ち上げる。
久々に感じるこの感じ。
この感じは・・・・・ヤバイ。
・・・・・コンコン
本能が、開けちゃいけないと警鐘を鳴らす。
しかし、受け入れなければ滅ぼされてしまう。
ぐるぐると巡る葛藤の中、敗北してしまったのは、本能。
ガチャリと開けた先に佇むのは、優しい優しい先輩。
「やぁ、最上さん。
一昨日ぶりだね」
キラキラと光が刺さってしまいそうな程、キュラレスト全開に微笑む先輩は、危険。
そしてその手にある、小さな紙袋がもっと危険なことを・・・
キョーコはまだ、知らない。
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ようやく動き始めたお二方。
このお話の更新頻度が高いのは、電車の中でもテンポ良く書けるからw
そして、キョコさんは天然の小悪魔ww
他のお話が破滅的な道しか思い浮かばないの・・・・
それが・・・最大の問題・・・・・・・(T▽T;)イヤーン