大学に入学して2年と少し経った。
2年という時の中で自分の何が変わったかなんて、わからない。
なんとなく、早く卒業して働きたいが、就職したやつは、学生のうちに遊んどけ。と言う。
この3流大学を卒業して、普通に就職して、結婚。
年を取ってみんなに看取られ…
普通だ。
でも、それでいい。普通なら大したものだ。
普通に生きたい。
「知樹(ともき)、帰ろ」
ボーっとしてた俺に、彰(あきら)が話しかけてきた。
「あ、うん」
俺は立ち上がり、歩き出した。
彰は俺の後ろを着いてきた。
大学を出て左に曲がる。
またすぐ左に曲がると、大きな道路に出る。
この道を真っ直ぐ5分程歩くと駅に着く。
この5分間で、彰と夜の予定をたてるのが日課だ。
「今日は咲(さき)が暇らしいから呼ぶよ」
彰が言った。
咲は最近よく遊ぶ違う大学の女の子。
「うん。じゃあ俺は飲まないから車で行くから」
大学に入ってからは、寝る間を惜しんで遊ぶかバイト。
家に着いた。大学生にもなって両親と暮らしてるのは気にしないでほしいところだ。
家のドアの前に、一匹の黒猫がいるのが見える。
俺がドアを開けるとその猫は部屋の中へと入っていく。
俺も猫に続き、部屋に入る。
俺はいつものお皿にキャットフードを入れた。
猫はすごい勢いで食べ始めた。
うん…可愛い
この猫はペット…なのかな。
ペットっていえばペットなんだけど正しくは近所の猫。
よく俺の家に来るけど住んでるわけじゃない。
住んでるのは隣の廃家。
誰も住んでないがよく物音がするのは、きっと猫が大量にいるから。
実際かなりの数の猫が隣の家の庭にいるのを見ている。
その内の1匹がこの黒猫。
キャットフードを食べ終えたその猫をよく見ると、首の辺りに血痕がある。
怪我かな、と思いよく見てみると、それらしい傷は見当たらない。
俺は気にしないことにした。
寝転んでいるとケータイのバイブが鳴った。
彰からだ。
「はい」
『あ、迎えよろしく。咲はもう俺ん家来てるから』
「わかった。向かう」
電話を切った。
車のキーを引き出しから出す。
その時、猫と目が合った。
猫はすぐ俺から目を反らし、俺と一緒に外に出た。
勢いよく飛び出した猫は、そのままの勢いで隣の家に入った。
俺は車に乗り込み、エンジンをかけた。
マンションの入り口の少し錆び付いたドアを開け、俺は階段を上がった。
彰の部屋の前まで行ってみると、女性の声が聞こえる。
俺はインターフォンを鳴らした。
「はい」
数秒経って、彰の声が聞こえたと同時にドアが開く。
「よっ」
「あ、彰。どーする?もう行く?入る?」
「行くー」
俺が返事をするところに、咲が割って入った。
「さあ出発っ」
咲は靴を履いて部屋を出ていった。
「だって。行こう」
俺の声に合わせて、彰が靴を履いた。
「早く鍵開けてー」
外に出た俺に、待っていた咲が言った。
俺が車の鍵を開けると、咲は素早く乗り込んだ。
続いて、俺が乗り、後部座席の咲の隣に彰が乗った。
「どこ行くん?」
「んー、どこでもー」
「決めないと発車できないんだけど」
俺が笑いながら言うと、咲も笑顔になり答えた。
「んじゃー、夏だしさ、心霊スポット」
「お前の家の隣の空き家怖いじゃん」
彰が言った。
「えーなにそれ」
咲が言う。
「んじゃ俺ん家の隣の家にまつわる怖い話をしてやるよ」
「あれは俺が小学生の時の話だ…」
あの日は今日のように暑い日だった。
俺は町内の神社で開かれていた祭に行っていたんだ。
友達とわいわいやっていると、クラスの女子が話しかけてきたんだ。
「ねえ、知樹たち、肝試ししない?」
祭でテンションが最高潮だった俺たちは、近所でも不気味で有名な俺の家の隣の家に行くことになっ
たんだ。
しかし、いざ入ってみると、夜中ということもあって、ものすごく不気味だった。
俺はビビっていると思われるのが嫌で、どんどん進んで行ったんだ。
するとね、目の前を何かがスーっとね、スーっと通りすぎて行くんだ。
あたしゃー驚いたね。
すると、今度は、ガタン。という音がはっきりと聞こえたんだ。
俺たちは、それでも進んで行ったさ。
するとね、奥の部屋に大きな箱があるんだ。
ジャンケンで負けた奴がその箱を開けるということになってね、そのとき俺の力一杯の鉄拳はみんなのパーなんかに負けちまってね、
渋々その箱を開いたんだ。
あたしゃー驚いたね。
箱の中には猫の死体が入っていたんだ。
俺が驚いて逃げようとするとね、声が聞こえたんだ。
「貴様にサンが救えるか」
「わからない。だか共に生きることはできる」
「ぅおうふぁふぁふぁwwwwwwwwwwおうふwwwwwwwwwwおうふwwwwwwwwwwうふぅぁぁぁwwwwwwwwww笑わせるな小僧!」
俺の怖い話を聞いた咲と彰はすごく冷めた目をしていた。
「何、今の話」
咲が沈黙を破った。
「いや、だから俺の家の隣の家にまつわる怖い話…」
「どこまで本当なの」
「最後以外…」
「ん、んじゃ猫の死体とかは本当なの」
「うん。その辺は本当」
「え、普通に怖い」
咲が笑いながら言った。
「ちなみに、その家がここ」
話しているうちに、廃家に到着した。
咲はその家を見て、言った。
「怖っ。普通に怖いんだけど」
「入ってみる?」
俺が言うと、咲は車から降りた。
俺と彰も続いて降りた。
「入るの」
彰が咲に聞いた。
「まだ明るいし、少し入ってみよ」
「建造物侵入」
俺は笑いながら言った。
彰が廃家の敷地内に入る。
雑草が茂っていて、歩きづらそうだ。
しかし、緑色のそれは、すごく綺麗に見えた。
ただの雑草だが、すごく綺麗に見えた。
そのまま歩いて行く。
先頭の彰が、家に入った。
こうして見てみると、意外に普通の家だ。
明らかに汚い。建ってから相当の年月が経っているだろう。窓ガラスなんて全て割れている。
それでもなんとなく、普通の家だ。
「うわ、猫」
彰が驚いたように言った。
「あ、棚の上にも。あ、あっちにも…って言うか…」
咲の言葉が途中で途切れた。
「…何も入ってないけど」
彰がこちらを向いて言った。
「なにビビってるんだよ」
なんとなく嫌な予感がした俺の顔は多分ひきつっていたのだろう。
彰にからかわれた。
「気持ち悪いだけで怖くないし、どっか行くか」
彰が言ったので、引き返すことにした。
よく見ると、この部屋にも猫がかなり隠れている。
それぞれが静かにこちらをじっと見ている。
俺は足早に家を出た。
深い緑色の雑草が生い茂った庭を抜け、俺は車に乗り込んだ。
続いて、二人も乗り、俺はエンジンを駆けた。
「気持ち悪かったー。てかあそこに住んでる猫、よく俺ん家に来るんだけど」
俺が言うと咲が反応した。
「えぇ、なんか嫌ー」
「次来たら追い返すわ」
俺は笑いながら言って車を発進させた。
バキッ、という小さな音と共に、何かを踏んだような感覚が駆け巡る。
「…」
「どうした?」
沈黙する俺に、彰が言った。
数秒経ってから、ドアを開けてみた。
開いたドアから上半身を出して下を覗いてみた。
「どうした」
彰が再度、話し掛けてきた。
「いや、気のせい」
俺はすぐに答えてドアを閉めた。
何があったか言いたくなかった。
何かを踏んだような感覚があった時点で見るのをやめておけばよかった。
俺は、家によく来る黒猫の、潰れて、内蔵が飛び出て、血まみれの死体を見た。
嫌な波が押し寄せてきたが、俺は全力で振り払った。
「どこに行く」
俺は笑顔で咲に聞いた。
昔、まだ小学生の頃だったかな。
海に母親、従姉妹の3人で来たことがある。
その時、俺は沖へと泳いでいく従姉妹の背中を見て『あいつ大丈夫か』って思った。
自分でもそう思った理由はわからないし、結局従姉妹の身には何も起こらなかった。
未だにあれは可能性の問題だったと思っている。
そして今、助手席側の窓ガラスに写った自分が見えた。
ただ腹が立った。
衝動も特に無かった。
「着いた」
俺が言うと、咲が答えた。
「見りゃわかるー」
「ひでっ」
彰も笑いながら言った。
車を降りて、すっかり日が落ち暗くなった夜空を見上げた。
星は1つも見えない。
ふと思い返して、車の右の前輪を見てみた。
「彰、行こっ」
咲が呼ぶので、俺は彼女がいる方向へ、歩きだした。
その道のりで、また空を見上げてみたが、やっぱり星は1つも見えなかった。
咲を真ん中に、3人で並んで浜辺を歩いている。
「てかさ、なんで二人とも夏休みなのにそんな勉強してるの」
「勉強とかそんなしてねえよ」
彰が笑いながら言った。
「嘘だー。毎日大学行って勉強ばっかしてるじゃん」
「彰は大学院希望なんだよ」
「へぇー。まだ勉強するんだー。何でそんなに勉強するの」
俺の言葉に咲が過剰に反応を示す。
「ちょ、言うなよ。警察官僚志望」
彰が俺に言った。
「え、警察になりたいの」
なんとなく恥ずかしくなった俺は答えなかった。
波の音が、限りなく聞こえる。
俺達は来た道を引き返すことにした。
俺は2人から少し距離を取って歩いた。
2人が話している声が聞こえる。
俺は自分の右手を開いて、見てみた。
その手を握って開く。2回同じ動作を繰り返したところで、咲を呼んだ。
「咲」
「ん」
2人が振り返る。
咲と彰が何かを話して、彰はそのまま歩いて行き、咲はこちらに歩いてきた。
「なーに」
「はっきり言うよ。好きなんだけど」
「え」
「聞こえなかった」
咲に聞いてみた。返事は無い。
「じゃあ、もう一回言うよ。好き」
咲は視線が定まらない。
「もう一度言おうか」
俺が笑いながら言うと、咲も笑いながら返した。
「いや、もういいよ」
少し間を置いて、続けた。
「私も好きだよ」
俺の目を見上げるようにして、言った。
「じゃ、今日から再出発ってことで、よろしく」
「うん」
「行こうか。彰一人じゃ可哀想」
笑いながら言うと、咲はまたこっちを見た。
咲と一緒に車の所まで戻ると、彰が立っていた。
「二人っきりで…やらしいな」
「ごめんよ、彰君」
咲が笑いながら言った。
「さて…帰るか」
「おい、二人になりたいからって」
「心配するな。家まで送ってやる」
彰の言葉を遮って言った。
「うわー。その後二人でまた出掛けるのね。やらしい」
「やらしいとか言うな」
洒落っぽく言った。
「まぁ、乗れよ」
そう言って、車に乗ると、二人も続いて乗った。
それを確認した後、助手席に見覚えの無いノートがあることに気付いた。
「このノートどっちの?」
二人とも反応が無い。
俺はその黒いノートを手にとってみた。
「ホントに知らない」
「知らん」
「見るよ」
俺はそのノートを開いてみた。
1ページ目。
『2月27日、晴れ
僕はいつものように歩いていたんです。
左方には君。
君の右方、つまり私の左方には水が見えたんです。
それを手に取ると、揺れたんです。
僕が後ろに目をやると、やっぱり来たんだと思ったんですが、僕は立っていたので大丈夫でした。』
なんだこれ。
『2月28日、晴れ
いつものように歩いていたんです。
ただ、いつもとちょっと違うのは、僕の前足が無い。
正確には付け根が落ちそうになって、それを必死に支えてるんです。
疲れるよ』
『2月29日、晴れ
いつものように歩いていたんですが、完全に道が酷い。
いつになったら、プレゼントは来るんだろう。
楽しいな。
楽しく遊んだ。
君と遊んだ。
すごく楽しい。
楽しいな。』
2月29日。
無いだろ。
何のイタズラだよ。
どのページを見ても、意味不明なことが書いてあるだけだ。
俺はページをパラパラとめくって行った。
そして見つけた。
今日の日付。
『8月9日、晴れ
今日は残念なお知らせがありました。
僕は気付きました。
いずれみんなも気付く。
今までにいなくなったのは気付いた奴らかな。
君もすぐ気付くよ。』
「…彰だろ。これ」
「いや、マジで知らないんだけど」
「まぁいいや」
俺は窓からノートを捨て車を走らせた。
たまに後ろの咲を観察してみたりした。
「さっきのノート何書いてたの」
咲が後部座席から身を乗り出して聞いてきた。
「んー、秘密」
「えー、何。知樹の秘密のノートとか」
俺は答える代わりに笑顔を見せた。
実際の所、気分が悪い。
あのノートはどこから出てきたんだ。
彰が俺と咲を驚かせるための細工かと思ったが、そんな目的であそこまで面倒なことはしないだろう。
なら何で…
誰が何の目的で…
そんなことを考えていると、見たことも無い道を走っていることに気付いた。
考えごとをしていたせいか、道を間違えたようだ。
「道間違ったかも…」
確実に間違えているが、曖昧な形で言ってみた。
「どこだよここ」
彰が言った。
「まぁ、方向的には合ってる筈だから取り敢えず真っ直ぐ…」
「うん。まぁいいんじゃね」
「眠い…」
咲が眠たがっている。
暗い道をただ走り続ける。
人気がまったく無い。
見えるのは右に林、左に住宅…かな。
敷地が広すぎてよくわからない。
ただ、真っ直ぐ走っていると、前方に信号が見えた。
「こんな所に信号かい」
言葉に出して不快感を表した。
ブレーキを踏む。
十字路の前に停まる。
対向車は無い。
車が通る気配はまったく無い。
「信号なんて無視しろよ」
「いや、捕まりたくない」
彰に返した。
「警察なんていないし、カメラもついてねえよ」
そうなんだけどね。
ケータイを手に取ってみた。
圏外だ。
助手席にケータイを投げて、それを目で追い、そのまま助手席の窓を見た。
俺は助手席の窓を開けた。
シートベルトを外し、助手席に移動して、よく見てみた。
掲示板の様な物に、紙が貼ってある。
心臓が跳び跳ねるように高鳴る。
俺の写真がプリントされたそれには、意味不明の文字が書かれていた。
「おい、知樹。どうした」
彰の声が聞こえる。
「これ…」
俺は指を指した。
「ん」
『指名手配
殺人 大谷知樹
178cm60kg
細身。
黒くて大きな車に乗っている。
いつも黒猫を連れている。
写真はH20.8.9の物。』
「おい」
「知らねえよ」
俺は声を荒げて言った。
「なんだよこれ。なんなんだよさっきから」
気付くと、信号は青になっていた。
俺は車から降りて、手配書を破り捨てた。
もう意味がわからない。
何が起こる。
何が起こっている。
指名手配犯。
強盗殺人?
考えた事もない。
「知樹…」
か弱い声で咲が言った。
「何だよこれ」
「さっきの日記には何て書いてあったの」
「意味不明な日記だった」
沈黙が続く。
「帰ろう」
「そうだね」
俺は車を走らせた。
そしてUターンをして来た道を戻って行った。
今来た道を帰る。
ただ、それだけの事が凄く難しく感じる。
と、言うか…
「こんな道だったっけ」
「いや…覚えてない。初めての道だったから…」
彰の言葉に、返した。
実際、こんな道通った記憶が無い。
「なぁ…また道間違えたのか」
「いや、真っ直ぐ来たからそれは無いな…」
それでも、明らかに景色が違う。
どんどん森の中へ、入って行く。
「このまま進んでいいのか…」
俺の言葉に誰も反応しようとしない。
10分程車を走らせているが、景色は無機質な森を映し続ける。
咲は不安そうに俯いている。
「…一旦車を停めよう」
彰の言葉を聞いて、俺はゆっくりとブレーキを踏んだ。
「…ここ、どこなんだ」
彰が俺に言った。
「知らない。来た道を戻っている筈なのに…」
「…ふざけんなよ。道間違えたんだろ」
「殆んど一本道だぞ。一度も曲がってない。間違うわけないだろ」
「じゃあ何で迷ってるんだよ」
俺は答えるのをやめた。
脇道にある、大きな木の上に、人間がいることに気付いた。
女性だ。
真っ黒な服を着た女性が大木の太い枝の上に屈んでいる。
異様な光景だ。
「知樹…」
俺の異変に気付いた咲が言った。
「…あれ」
俺が女性の方を指差したが、後部座席からは見えないようだ。
女性は俺の方をじっと見つめている。
俺はなんだか動けなくなった。
女性は木の枝の先端の方へ少し移動した。
そして、勢いをつけて、こちらに向かって頭から飛び降りた。
俺は身動きできないまま、女性を見つめていた。
女性はこちらに向かって落ちてくる。
そして
グシャ
フロントガラスにヒビがはいった。
「きゃ…きゃー、いや、いやー」
咲の悲鳴が聞こえる。
俺は言葉を失い、ただ女性を見つめていた。
車の脇に転がり落ちた女性は少しだけ動いている。
そして四つん這いになって、変に曲がっている首をこちらに曲げた。
「ニャー」
女性が言った。
と、言うより鳴いた。
俺は我に帰って、アクセルを目一杯踏んだ。
「何だ。何だ。意味わかんねえ」
口から言葉が漏れた。
「おい、知樹。逃げていいのかよ」
彰が声を張り上げた。
「どうするってんだよ。あの女普通じゃなかったぞ」
俺は彰よりも大きな声で返した。
更に続ける。
「…俺もどうすればいいかわからねえ。意味わかんねえよ。明らかにおかしいって。気狂いそうなんだけど」
「家に帰りたい…」
勝手に声が出た。
「風呂に入って、布団で寝たい」
涙が溢れてきた。
車のメーターは120kmを指していた。
「帰りたい…帰りたい…帰りたい」
呟きながら車を走らせる。
すると、脇道から人が飛び出してきた。
「うわっ」
俺は叫んで、反射的にブレーキを踏んだ。
ガンッという大きな音とともに大きな衝撃を受けた。
「はぁ、はぁ」
息を荒げて、俺は項垂れた。
そして、車を出た。俺が車の後方を見ると、人間が倒れている。
「ニャア」
鳴き声が聞こえた。
心臓が壊れそうになる。
足が震えた。
もうダメだ。
俺は帰る。
俺は無我夢中で走り出した。「知樹」
咲の大きな声が聞こえたが、あんなやつに構ってる場合ではない。
俺は足を止めなかった。
車に残された咲が彰に向かって言う。
「あーあ、行っちゃったね」
それに彰が答える。
「行っちゃったな」
俺は走り続けた。
ずっとずっと走り続けた。
そして、家に着いた。
家に着いた。
家に…着いたよ。
やたらに猫の鳴き声がするけど、家に着いた。
例年よりかなり気温が高い、3月下旬。
俺は大学最後の思い出に、友達と写真を撮っていた。
「彰」
俺を呼ぶ声が聞こえる。
「咲」
声がした方を向くと、咲が立っていた。
「写真、撮ろう」
俺は友達にカメラを渡し、咲の隣に立った。
カメラのフラッシュを浴び、俺はお礼を言って、カメラを受け取った。
「知樹…結局見付からなかったね」
今まで、避けていた話題を、咲が口に出した。
「そうだな」
知樹は、ある日忽然と消えた。
行方不明。とかではなく、本当に消えたのだ。
一緒に、知樹の家の隣の空き家に入り、大きな箱を開けた。
すると、知樹はいなくなっていた。
その直前までは先頭に俺、次に咲、そして知樹と並んでいた筈だったのだ。
そして、それ以来一度も会っていない。
警察に捜索願いを出したが、いまだに行方わからない。何故か車だけは他県の山中で発見されたらしいが。
「きっといつか見つかるよ」
俺は気休めを彼女である咲に言った。
「そうだね」
咲は微笑んで答えた。
俺はこんな所で何をしているんだ。
何で。
何で俺はここに住んでいるんだ。
俺は気付いた。
ここは俺の家じゃない。
ここは俺の家の隣の空き家。
猫がいっぱいいる気味の悪い空き家だ。
何で。
俺はあの日から今までずっとここで何も思わずに暮らしてきた。
何で。
周りにいる猫は、不審そうに俺を見ている。
数匹は、またか…といった様子だ。
俺は周りを見渡してみた。
ガラスに俺の姿が写る。
俺は絶望した。
何で…
俺、猫?
気付かなければよかったのに。
気付かずにずっと猫として暮らしていればよかった。
俺は人間だろ。
人間だろ。
人間だろ。
俺は外に出てみた。
隣の家から、俺の元家族が談笑しているのが聞こえる。
陽射しが強く、眩しい。
俺が右を向くと、乗用車が走っているのが見えた。
俺はその車が目の前に来るタイミングで、道路に飛び出した。
I wish for…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish for… 今も。
溜め息が時を刻む
長い夜の途中
思い出すたび
あなたの夢繰り返す
孤独だけ抱きしめて
永遠を欲しがっても
刹那を感じてる
BLUEな気持ち
ちりばめた時の中
答えさえ無いままで
I wish for…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish for… 今も。
一人きりの自分がいた
暗い迷路の中
自分の居場所さえも
まだ分からずに
行き場所も分からずに
明日さえ怖がっていた
冷めた瞳のまま
だけど今は
擦り切れたこの夢を
抱きしめて
I wish for…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish for… 今も。
溜め息が時を刻む
長い夜の途中
思い出すたび
あなたの夢繰り返す
孤独だけ抱きしめて
永遠を欲しがっても
刹那を感じてる
BLUEな気持ち
ちりばめた時の中
答えさえ知らず
明日さえ怖がっていた
冷めた瞳のまま
だけど今は
擦り切れたこの夢を
優しく抱きしめて
I wish for…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish you… 今も。
僕の罪が
過去が許されれば
真っ白なキミに
近付きたい
過去へ行こう
グレイな雲を越え
汚れを知らぬ
真っ白な頃へ
キミだけを… Ah…
キミは僕の
心 見えるみたい
僕の罪も過去も
知っているの
キミは僕の心の奥の傷
癒してくれる
そよ風みたい
近付きたい 近付けない
何も知らないキミ
汚れのない 愛はあるの?
きらめいて
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo…
キミだけを…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo…
やりきれない 思いは
何処から来るんだろう
近付けはしないんだ
傷付けたくない
心をえぐる様な 痛みは
何処から来るんだろう
夢で終わってもいい
キミの為なら
近付きたい 近付けない
キミよ夢を見てる?
汚れのない 愛があれば
キミを…
今キミが 微笑んでいる
僕は夢を見てる?
汚れのない オーロラの様
きらめいた
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo…
例えばこの手で
天使を捕まえ
届かぬ想いを
伝えに行きたい
想いはいつでも
はかないままで
通り過ぎてく
溶かしてくれないか?
この胸の奥の
閉じ込めた言葉
太陽の様に
想いはいつでも
はかないままで
通り過ぎてく
かすかな痛みと
信じた明日を
全て 今 君に捧げよう
Crazy about you
I can't live without you
溢れる想いを抱いて
Crazy about you
I can't live without you
果てない夜を越えて
熱を奪う乾いた
包んで欲しい
途切れるまで
熱を奪う乾いた
この都会で
壊れそうな
孤独の中 さまよい歩く
時を止めて
叶うなら 君のこと
包んでいたい
途切れるまで
Crazy about you
I can't live without you
このまま 痛みの中で
Crazy about you
I can't live without you
溢れる想いを抱いて
Crazy about you
I can't live without you
果てない夜を越えて
Crazy about you
I can't live without you
今 君のこと 感じてる
Crazy about you…
ふと 目を覚ました
真夜中の
プラチナの光の中
ギラギラと 輝いた
この街も悪くない
君となら この嵐も
乗り越えられるはずさ
Do you like it rough?
ときめきを
そうさ求め続けよう
Do you like it rough?
今吹き荒れる 嵐の中
そう抱き合って
確かめ合って
失うものなど
何もなかったはずだね
手を伸ばさなきゃ
あの光さえつかめない
What will it
take for you
君が望む様に
僕も望んでる
Kiss me in the Stormy…
Kiss me in the Stormy…今吹き荒れる 嵐の中
そう抱き合って
確かめ合って
失うものなど
何もなかったはずだね
真実はきっと
臆病だから
その姿を決して見せない
だけど僕らは
(離れたりはしないから)
手を伸ばさなきゃ
あの光さえつかめない
What will it
take for you
君が望む様に
僕も望んでる
Kiss me in the Stormy…
Kiss me in the Stormy…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish for… 今も。
溜め息が時を刻む
長い夜の途中
思い出すたび
あなたの夢繰り返す
孤独だけ抱きしめて
永遠を欲しがっても
刹那を感じてる
BLUEな気持ち
ちりばめた時の中
答えさえ無いままで
I wish for…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish for… 今も。
一人きりの自分がいた
暗い迷路の中
自分の居場所さえも
まだ分からずに
行き場所も分からずに
明日さえ怖がっていた
冷めた瞳のまま
だけど今は
擦り切れたこの夢を
抱きしめて
I wish for…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish for… 今も。
溜め息が時を刻む
長い夜の途中
思い出すたび
あなたの夢繰り返す
孤独だけ抱きしめて
永遠を欲しがっても
刹那を感じてる
BLUEな気持ち
ちりばめた時の中
答えさえ知らず
明日さえ怖がっていた
冷めた瞳のまま
だけど今は
擦り切れたこの夢を
優しく抱きしめて
I wish for…
こんな夜には、
I wish for… 夢みて、
I wish for…
失くしたすべてに、
I wish you… 今も。
僕の罪が
過去が許されれば
真っ白なキミに
近付きたい
過去へ行こう
グレイな雲を越え
汚れを知らぬ
真っ白な頃へ
キミだけを… Ah…
キミは僕の
心 見えるみたい
僕の罪も過去も
知っているの
キミは僕の心の奥の傷
癒してくれる
そよ風みたい
近付きたい 近付けない
何も知らないキミ
汚れのない 愛はあるの?
きらめいて
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo…
キミだけを…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo…
やりきれない 思いは
何処から来るんだろう
近付けはしないんだ
傷付けたくない
心をえぐる様な 痛みは
何処から来るんだろう
夢で終わってもいい
キミの為なら
近付きたい 近付けない
キミよ夢を見てる?
汚れのない 愛があれば
キミを…
今キミが 微笑んでいる
僕は夢を見てる?
汚れのない オーロラの様
きらめいた
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo wo wo…
Wow wo wo…
例えばこの手で
天使を捕まえ
届かぬ想いを
伝えに行きたい
想いはいつでも
はかないままで
通り過ぎてく
溶かしてくれないか?
この胸の奥の
閉じ込めた言葉
太陽の様に
想いはいつでも
はかないままで
通り過ぎてく
かすかな痛みと
信じた明日を
全て 今 君に捧げよう
Crazy about you
I can't live without you
溢れる想いを抱いて
Crazy about you
I can't live without you
果てない夜を越えて
熱を奪う乾いた
包んで欲しい
途切れるまで
熱を奪う乾いた
この都会で
壊れそうな
孤独の中 さまよい歩く
時を止めて
叶うなら 君のこと
包んでいたい
途切れるまで
Crazy about you
I can't live without you
このまま 痛みの中で
Crazy about you
I can't live without you
溢れる想いを抱いて
Crazy about you
I can't live without you
果てない夜を越えて
Crazy about you
I can't live without you
今 君のこと 感じてる
Crazy about you…
ふと 目を覚ました
真夜中の
プラチナの光の中
ギラギラと 輝いた
この街も悪くない
君となら この嵐も
乗り越えられるはずさ
Do you like it rough?
ときめきを
そうさ求め続けよう
Do you like it rough?
今吹き荒れる 嵐の中
そう抱き合って
確かめ合って
失うものなど
何もなかったはずだね
手を伸ばさなきゃ
あの光さえつかめない
What will it
take for you
君が望む様に
僕も望んでる
Kiss me in the Stormy…
Kiss me in the Stormy…今吹き荒れる 嵐の中
そう抱き合って
確かめ合って
失うものなど
何もなかったはずだね
真実はきっと
臆病だから
その姿を決して見せない
だけど僕らは
(離れたりはしないから)
手を伸ばさなきゃ
あの光さえつかめない
What will it
take for you
君が望む様に
僕も望んでる
Kiss me in the Stormy…
Kiss me in the Stormy…
人影のない
海岸沿いの道
君は動かない
車に目を潤ませた
ボンネットに腰掛けて
二人の夢を
朝を待ちながら
語り合った
いつも走り続けてた
この夢に手をのばして
そして見失っていた
安らぎという名の愛
もう…
君にもどれない
どうにもならない
心をまぎらわして
アクセルふかし
夜の闇をライトで裂く
何気なく流すBGM
聞こえてるのは
君が好きだった
"I Remember You"
いつか輝きなくした
僕達の それぞれの夢
だから気づき始めてた
悲しみに 変わる 愛を…
もう…
君にもどれない
もう少しだけ器用に
愛し合えたら
こんな痛みさえ
知らなかった
いつも走り続けてた
この夢に手をのばして
そして見失っていた
安らぎという名の愛
もう…
君にもどれない
例えば僕が消えても
いつも通りに
時代は移りゆくのだろう
巡るだろう
Uh- 同情され続けて
慰められて 哀れまれて
それでも泣きわめいて
あげく一人だった
遠い記憶
ジャングルジムの中も
この街も似てるけど
最上階の柵を越えて
自由を探すには
まだ君は早い
逃げちまえばいい
ぶち壊しゃあいい
ちっぽけな奴は
ここにもいる
Foolish OK Foolish
清きものは汚れた
ものがあるから美しいし
トランプもジョーカーが
なくちゃなんだか
物足りない
だからそう簡単には
偉そうに言えないけど
この世にある
気持ち良い事
むさぼる術もない
子供たち
うまい物は
食いつくして
それからどこへでも
行けばいい
Loser OK Loser
ジャングルジムの中も
この街も似てるけど
最上階の柵を越えて
自由を探すには
まだ君は早い
逃げちまえばいい
ぶち壊しゃあいい
ちっぽけな奴は
ここにもいる
Foolish OK Foolish
この世にある
気持ち良い事
むさぼる術もない
子供たち
うまい物は
食いつくして
それからどこへでも
行けばいい
Loser OK Loser
例えば僕が消えても
いつも通りに
時代は移りゆくのだろう
巡るだろう
「本当の自分」
を見つけてるつもりで
ただ他人と違う服を
選んだりしてた
「さみしがり屋の
ゲームなんて…」と
恋することも出来ずに
体裁だけをつくろうけれど
なんだか苦しくなる
サヨナラしよう偽りの
日々に そして誰かに
愛されたいんだ
ボクが誰かなんて疑問は
もう意味なく
知りたくもないから
忘れられない
過ちのすべてに
必要と思える言い訳
こじつけても
築き上げてた砂の城は
くり返す波に崩れ
その隙間から仰いだ空は
どこまでも青かった
サヨナラしよう偽りの
日々に そして誰かを
愛してみたい
産声もきっと この世界に
堕ちた嘆きじゃない
何も決めずに
感じるままに
吹き抜ける風と踊ろうか
サヨナラしよう偽りの
日々に そして誰かに
愛されたいんだ
ボクが誰かなんて疑問は
もう意味なく
知りたくもない
行ってみようか
手遅れになる前に
雲が流れる方へ…
海岸沿いの道
君は動かない
車に目を潤ませた
ボンネットに腰掛けて
二人の夢を
朝を待ちながら
語り合った
いつも走り続けてた
この夢に手をのばして
そして見失っていた
安らぎという名の愛
もう…
君にもどれない
どうにもならない
心をまぎらわして
アクセルふかし
夜の闇をライトで裂く
何気なく流すBGM
聞こえてるのは
君が好きだった
"I Remember You"
いつか輝きなくした
僕達の それぞれの夢
だから気づき始めてた
悲しみに 変わる 愛を…
もう…
君にもどれない
もう少しだけ器用に
愛し合えたら
こんな痛みさえ
知らなかった
いつも走り続けてた
この夢に手をのばして
そして見失っていた
安らぎという名の愛
もう…
君にもどれない
例えば僕が消えても
いつも通りに
時代は移りゆくのだろう
巡るだろう
Uh- 同情され続けて
慰められて 哀れまれて
それでも泣きわめいて
あげく一人だった
遠い記憶
ジャングルジムの中も
この街も似てるけど
最上階の柵を越えて
自由を探すには
まだ君は早い
逃げちまえばいい
ぶち壊しゃあいい
ちっぽけな奴は
ここにもいる
Foolish OK Foolish
清きものは汚れた
ものがあるから美しいし
トランプもジョーカーが
なくちゃなんだか
物足りない
だからそう簡単には
偉そうに言えないけど
この世にある
気持ち良い事
むさぼる術もない
子供たち
うまい物は
食いつくして
それからどこへでも
行けばいい
Loser OK Loser
ジャングルジムの中も
この街も似てるけど
最上階の柵を越えて
自由を探すには
まだ君は早い
逃げちまえばいい
ぶち壊しゃあいい
ちっぽけな奴は
ここにもいる
Foolish OK Foolish
この世にある
気持ち良い事
むさぼる術もない
子供たち
うまい物は
食いつくして
それからどこへでも
行けばいい
Loser OK Loser
例えば僕が消えても
いつも通りに
時代は移りゆくのだろう
巡るだろう
「本当の自分」
を見つけてるつもりで
ただ他人と違う服を
選んだりしてた
「さみしがり屋の
ゲームなんて…」と
恋することも出来ずに
体裁だけをつくろうけれど
なんだか苦しくなる
サヨナラしよう偽りの
日々に そして誰かに
愛されたいんだ
ボクが誰かなんて疑問は
もう意味なく
知りたくもないから
忘れられない
過ちのすべてに
必要と思える言い訳
こじつけても
築き上げてた砂の城は
くり返す波に崩れ
その隙間から仰いだ空は
どこまでも青かった
サヨナラしよう偽りの
日々に そして誰かを
愛してみたい
産声もきっと この世界に
堕ちた嘆きじゃない
何も決めずに
感じるままに
吹き抜ける風と踊ろうか
サヨナラしよう偽りの
日々に そして誰かに
愛されたいんだ
ボクが誰かなんて疑問は
もう意味なく
知りたくもない
行ってみようか
手遅れになる前に
雲が流れる方へ…
