『愚痴ってごめんね。』


『いいよいいよ。今度、食事でもしながらパーッと愚痴大会しようよ。』


『いいね~!絶対しよう~!』





私は時々、職場の気の合う同僚とご飯を食べながら愚痴りあう。


と言っても、みんな子持ちの主婦だから、滅多に集まれないんだけど。



個人経営の中小企業なので、社長の個人的な都合でいきなり、
『明日は仕事休み!』
なんてことが数ヶ月に一回あったりする。


旦那は会社。子供は学校。
働く主婦が誰に気兼ねすることもなく羽を伸ばせるチャンスなんてそうそう無い。


このチャンスを逃すものかと、いつもの倍速で家事をこなしてお出かけする。


毎回、合い言葉のように
『せっかく仕事が休みなのに、仕事仲間と会ってたら意味ないよね~』
って笑い合う。


愚痴大会のメンバーはいつも4人。


私、塩田さん、小百合さん、めぐみちゃん。


私とめぐみちゃんが同い年。同時期にパート採用され、背格好も似ているので、姉妹のようだと職場で言われている。


小百合さんは3歳上で、仕事では一年先輩になる。ちょっと天然のかわいい人。


塩田さんは……年齢を教えてくれないので謎だけど(^_^;)
7、8歳くらい上だと思う。仕事では半年先輩。


そんな年齢も性格もバラバラの4人が、何故か気が合って、いつも一緒にいる。


食事の場所を決めてくれるのは、大抵、塩田さん。


姉御肌の塩田さんはとても個性的で魅力的な女性なんだけど、塩田さんの話はまた今度。


今回の塩田さんオススメのお店は、最近オープンしたばかりのイタリアン。


美味しいランチを食べながら、早速、愚痴話に花が咲く。


お天気屋の専務への愚痴は尽きることはない。


たった12人しか従業員がいないので、狭い事務所の中で毎日生活していれば、色々と嫌な部分も見えてくる。


今回、私たちの愚痴大会の餌食になったのは、日比野さんという先輩。


日比野さんは結婚前からこの職場に居る人で、とても几帳面で真面目な人。

もともとは社員だったそうだが、結婚して子供ができたのを機にパート社員になったらしい。


彼女はいつもさりげなく私たちを監視していて、仕事の不備があると専務よりも先にやってきてビシッと叱る。


そしてその言葉もキツイ(*´Д`)


『私の仕事を増やさないで下さいね!』

『もっとテンポよくやって下さい!それじゃ半人前にも程遠いよ!』

『そんな仕事っぷりでお給料もらってて恥ずかしくないの?』


などなどなど…


特にめぐみちゃんと私は日比野さんのアシスタント的な仕事をしているので、毎日のように彼女に泣かされている。


愚痴は尽きない。


最終的には、なんとかして日比野さんを辞めさせる方法はないかという話になり、
『専務と不倫してるって社長に言ってみる?』

『怖すぎ~』

『わざと仕事失敗して、日比野さんの仕事増やしまくる?』

『それじゃ日比野さんの前に私らがクビじゃん?』

『そっかぁ~ぎゃはは…』



散々愚痴ってスッキリしたら、次の日にはまたいつもの日常。


前の日に私たちの餌食になった日比野さんにも、みんな笑顔で接してる。

『佐藤さん!またミス!』

『あ、すみません。さすが日比野さん。こんな細かいところまでチェックして下さってありがとうございます。』

『本当、日比野さん、仕事できて尊敬!日比野さんみたいになりたいなぁ』



わざとらしく言ってるわけじゃなく、これも本音。


仕事ができる日比野さんを本当はみんな尊敬している。


でも、愚痴る時はとことん愚痴る。


女って恐ろしい……と思う瞬間だ。


だけど、私たちはこうしてバランスをとっている。


家庭と職場の往復。
家事と仕事の両立。


どこかにはけ口がなきゃやってらんない。


その代わり、けじめと覚悟も必要。


愚痴を言うのはその場だけ。
絶対に本人にそれを聞かせてはいけないし、感じさせてもいけない。
それがけじめ。



そして、自分もどこかで誰かに愚痴られたり、悪口言われたりしていることもあるんだと自覚して、それは決して責めない。
迷惑かけられている以上に、自分も誰かに迷惑かけていることを忘れない。
それが覚悟。


もちつもたれつ、うまくやってるつもりだけど、時々思う。















大人って…難しい…



(|||_|||)
『自分の事、情けないって思ったことないの?』

『よくそんなんで生きてられるよね。私だったら耐えられな~い』



中学生の時、友達(だと思っていた子)から私が言われた言葉だ。



私は小学生までは、塾なんか行かなくてもそこそこ勉強もできていたし、友達の数も多かった。
クラスの人気投票ではいつもトップだったし、男子からもモテている自覚があったりもしていた。


ところが、中学生になった途端、周りの友達はみんなオシャレになって大人っぽくなり、彼氏がいる子もチラホラ…


相変わらず塾にも行っていない私は、いつの間にか成績もごくごく並になった。


コレといった趣味も見つからず、インドア派だったことも災いし、遊びの話も音楽の話もアイドルの話も…何もかも周りから遅れをとり、ついていけなくなった。


そして、私に『情けない』と言った友達も。


彼女は小学生の頃は、真面目で勉強ができて大人しい子…という印象しかなかった。


けれど、中学生になった彼女は、
『美人で、勉強ができて、教養があって、氷室京介が好きで、月曜日から土曜日まで日替わりの習い事をこなすお嬢様』
まさに才色兼備の人として周りから一目置かれる存在になっていた。


私もそう。
彼女を尊敬していた。


でも、彼女のようになりたいと思ったことはなく、むしろ、彼女を可哀想と思ったりしていた。


何をするにも几帳面で、毎日習い事ばかり。


大ざっぱで基本怠け者の私には、考えられない世界だ。


彼女に対して『可哀想』だなんて思う、そんな私の高慢さが表に出ていたのだろう。


ある日突然、私は彼女から『可哀想』と言われたのだ。


そして冒頭のあの言葉を…。


ショックだった。本当に。


もちろん私は自分を情けないと思ったことなどなく、生きているのが恥ずかしいと思った事だって、これっぽっちも無かったのだ。


自分に対する自尊心を一瞬にして無くした瞬間だった。


そばで一部始終を聞いていた友達も、一目置いている彼女の言葉は素直に響いてしまったのだろう。


その日を境に、私は『情けない子』という存在になった。


成績も遊びも何もかも、『アイツにだけは負けたくない』という存在になった。


私に負けるのは『恥』なのだという。


それ以来、私は『情けない』という言葉がトラウマになっている。


とっくに自分を諦めて生きてきた。


私なんて何をやってもパッとしないし、何をやってもダメだし…って。


そう。本当に『情けない』人間になってしまったんだ。


自覚はしている。
だけど『情けない』という言葉は絶対に言われたくない。


なのに…………






今朝、昨日の鼻水バトルの話を旦那にしたら、旦那から一言。


『情けねぇなあ』



プツッ……



私はキレた。



泣き。暴れ。


『謝れ!』とわめき散らした。


困惑する旦那。


けれど変なプライドを持っている旦那は絶対に謝らない。


結婚して12年。
『ごめん』を聞いたことはない。


謝ってなどくれないことは分かっていたのに。
謝ってもらわないと気が済まない。



中学生のあの日の思いと、自分を守るために本当の『情けない』人間に成り下がってしまったことを自覚しているからこそ、トラウマとなってしまった言葉。




未だ、旦那とは冷戦状態。



情けない…………




(〒_〒)
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ぶぇっくしょっ \xAD\xF4( ̄口 ̄)

ぶぇっくしょっ \xAD\xF4( ̄口 ̄)

ぶぇっくしょっ \xAD\xF4( ̄口 ̄)


朝からくしゃみ3連発。

『今日も佐藤さんちの奥さん、早起きで偉いわね』とか噂されてんだな…きっと。


ぶぇっくしょっ \xAD\xF4( ̄口 ̄)

ぶぇっくしょっ \xAD\xF4( ̄口 ̄)


と思ったら、続けもう2連発。





風邪じゃんか。




そういえば、体だるぅ~


頭も痛いような~


会社休みたいなぁ~


朝ご飯作るの無理っぽい…


風邪だと気付いた途端、体中のあちこちが具合悪い。


怠け虫までやってきた…:*:・( ̄∀ ̄)・:*:




鼻が詰まってるから口で息しなきゃ…


あぁ…勝手に鼻水が垂れてくるよ…


いいや。必殺鼻ティッシュ!


起きてきた旦那が、鼻ティッシュ詰めて口半開きの妻を見て…






顔色一つ変えずにゴミ出しに出掛けた。


見慣れられてる…

(*´Д`)=з



は~ん。
今日は一日中、垂れる鼻水との戦いだなあ…


鼻ティッシュのまま朝の家事をこなし、子供たちにも鼻ティッシュの母をスルーされたまま、とりあえず風邪薬を飲んで出勤。


静かな事務所に鼻水をすする音が響く。


隣の席の渡辺氏は悪気無くキツいことをいう先輩。


基本的には優しくて、仕事もデキるが、声がでかいのと口が悪いのが玉に瑕。


あんまり鼻をすすっていると、ほぼ確実に私は昼休みに彼の餌食だろう。


『佐藤さんの鼻すすりが気になってさぁ~仕事にならねぇよ~。ミスったら佐藤さんの鼻水のせいにするからな~』

とかなんとか…


言い出すに決まってる。

ウケ狙いで…ヾ( ´ー`)



こないだだって、髪をいつもより明るい色で染めてみたら、
『この色じゃ膨張色だから余計に顔がでかく見えるぞ~でかいのは態度だけにしとけ~』
って、一週間くらい言ってたよなあ…


そんで専務に声がだかいのを注意されて、
『佐藤さんの顔のでかさには負けますけどね~』
って訳の分からん言い訳して…専務も専務で一緒んなって笑って話終わってるし…


あぁ…嫌だ嫌だ。


鼻すすりも我慢しなきゃ。



うぅ…垂れてくるぅ…

ティッシュで鼻を押さえながらパソコン打てないよぉ…



30分おきにトイレに行って鼻をかむ。


『佐藤さん、腹こわしてんじゃね?』
って渡辺氏が言ってそうで落ち着かない。

急いで事務所に戻る。


鼻の周りだけメイクが落ちてすっぴん状態…


あぁ…垂れる…

鼻が痛いよぅ

口で息をしてるせいか、唇がカピカピになってきたよぉ

風邪薬が効いてきて眠気も襲ってきたよぉ

早く終業時間になってくれ~Y(>_<、)Y







3時。


速攻で帰り支度。
今日ばかりは平岡さんよりも早くタイムカードを押した私。



家に着くなり鼻ティッシュ。


あぁ…鼻ティッシュって素晴らしい。
(´∀`)


垂れる鼻水を気にしなくていいなんて。

鼻ティッシュのまま洗濯たたみ。


鼻ティッシュのまま夕ご飯の支度。


鼻ティッシュのまま子供たちとお喋り。


相変わらず子供たちは私の鼻ティッシュをスルー。





やっぱり…





見慣れられてる…





風邪ひくたびに私の鼻ティッシュは当たり前だもんね。
無理ないわ。




オリンピックのシンクロ。
銅メダル!
おめでとう(^-^)



ソフトボール、頑張ってたのに…惜しかったなぁ…



あらあら。
またまたゲリラ雷雨。
竜巻注意報!?



ああ!いけない!
車の窓、全開だった…



急いで庭に出て車の窓を閉める。



あら。お隣の轟さん宅の車も窓が全開!


『ピンポーン』


『は~い』


『雨が降ってきそうなので、車の窓、閉めたほうが…』


『……………あ。そ、そうですね。ありがとう……………』



いつも必要以上に爽やかな奥さんなのに…どうしたのかな?


なんか変な反応だったな…


まだ雨が降るかどうかも分からないのに余計なお世話だったかな?



失敗失敗。
ま、いっか!




家に戻り、玄関の鏡に映った私は…………












(((゜д゜;)))














穴があったら入りたい。