前回の続きで、今回は▲34銀を△33金(下図)で受ける形を見ていきます。

 

 

(3)△33金

 

金を上がって▲34銀を受けました。また、42の金が移動したことで、▲65歩に対して△31角のような受けが生じており、攻めが難しくなります。

 

 

よって、石田流は△31角を指される前に仕掛けたいところです。▲65歩と▲74歩が有力なので、それぞれ検討します。

 

(3-A)▲65歩

 

▲65歩に△95歩には▲64歩と取り込み、どちらの銀で取っても▲65歩で銀の行き場所がありません。

 

▲65歩に△同歩は▲74歩(下図)が▲53角成と▲73歩成を見て、石田流よし。△62銀なら▲65桂、△64銀上なら▲54銀です。

 

 

▲65歩には△31角が居飛車の最善です。石田流は▲36飛(下図)と回ります。

 

 

以下、△65歩▲34銀△同金▲同飛△33歩▲36飛△64銀上(▲65桂を消す)に▲67金と上がるような展開が一例です。△75金なら▲66歩(下図)と合わせて、6筋に反発します。

 

 

△同歩▲同金△同金▲同飛△65歩なら、▲同飛△同銀▲31角成△同玉▲53角(下図)が一例で石田流よしです。二枚銀の居飛車玉は薄いので、強い戦いをする方針で大丈夫です。

 

 

(3ーB)▲74歩

 

(3-A)▲65歩は有力ですが、△31角で▲64歩自体を受ける事はできていました。

 

(3ーB)▲74歩(下図)はより急いだ手で、△31角の前に捌くのを狙っています。△62銀、△同歩、△同金の変化を見ていきます。

 

 

(3-B-ア)△62銀

 

銀を引いて73に利かせました。

 

▲73歩成△同銀には、▲65桂!(下図)が振り飛車で度々出てくる歩頭桂の手筋。△同歩▲53角成△74銀上▲71馬△83飛に▲65歩で飛車の横利きを通し、石田流好調です。

 

 

▲73歩成に△同桂なら、そこで▲65歩(下図)と突きます。△同歩なら▲53角成!△75歩▲同飛△同金▲同馬△31角▲同馬△同玉▲74歩△同銀▲54銀で好調です。

 

 

上図で△75歩なら▲同角△同金▲同飛(下図。次に▲74歩が狙い)で、次の▲74歩が妙に受けづらい。△52角なら▲51金、△84飛なら▲76飛(△74銀の当たりを避ける)△78角▲75金△82飛▲64歩△52銀▲54銀が一例で石田流の攻めが続きます。

 

 

(3-B-イ)△74同歩

 

この場合も▲65桂(下図)と歩頭に跳ねます。△同歩は▲53角成。△33金と上がったため、53の地点が弱くなっています。

 

 

よって、▲65桂には銀を逃げますが、△42銀なら▲54銀!(下図)が今度は銀捨ての強手。△同銀に▲64角と走り、△92飛なら▲53桂成で攻めが決まります。

 

 

▲65桂に△62銀にも▲54銀と出ますが、今度は63の銀にひもがついているので、手抜いて△31角(下図)という受けが可能になります。居飛車は次こそ△54銀と取れます(▲64角がない)。

 

 

△31角には2つの手段があり、1つは▲63銀成△同銀▲73銀で、以下△83飛▲84銀成△同飛▲53金のように絡み続けます。ただこの場合、△52銀(下図)のようにしぶとく受けられると、すぐには決まらないようです。

 

 

もう1つの手段は、▲53桂成と飛び込んでしまい、△同角(△同銀は▲63銀成)▲同銀成△同銀に▲71角と打つ手段。△52飛に▲65歩(下図)で角道をこじ開けに行くのが一例で石田流十分です。

 

 

上図で△75歩には、相変わらず▲同角の精神です。代えて△51飛には▲64歩△同銀直▲同角△同銀▲62角成が飛車金両取りです。

 

(3-B-ウ)△74同金

 

この場合も▲65桂(下図)です。

 

 

上図で△42銀は▲54銀!△同銀に▲74飛!△同歩に▲64角(下図)と切り込んで、石田流十分。瞬間的な駒割は飛車損くらいの勘定ですが、駒の働きは段違いです。

 

 

代えて△62銀は、(3-B-イ)と同様に▲54銀(△同銀に▲74飛△同歩▲64角)はありますが、▲74飛(下図)もあります。

 

 

△74同銀は▲64角(下図)が▲42金までの詰めろになっているのが厳しいです。△24歩は▲53桂成、△63銀(飛車の横利きで詰めろを消しつつ角に当てる手)には▲73桂成で攻めが続きます。

 

 

上図では△31角が最善ですが、▲同角成△同玉▲54銀(下図)で石田流優勢です。△65銀▲同歩と桂馬を食いちぎって△53歩と打ってきても、▲同銀成とこちらも歩を食いちぎる手が成立し、△同銀に▲71角△52飛▲63金の筋があります。

 

 

▲74飛の局面まで戻りまして、代えて△同歩(下図)の変化も見ておきます。

 

 

上図から、▲54銀(△同銀は▲64角)△31角に、今度(3-B-イ)で見たのと同様に▲53桂成△同角▲同銀成△同銀▲71角△52飛▲65歩と進めると、下図のようになります。

 

 

上図では、(3-B-イ)と違って76に飛車がいないため、△86歩▲同角△75銀の受けがあります。また、84の居飛車側の金もいないため、△51飛▲64歩△同銀直▲同角△同銀▲62角成が飛車金両取りにならず、△55飛と逃げられた時に▲56飛のぶつけもないため、攻めが少し空ぶっています。

 

戻りまして、この場合の△31角には「▲63銀成」の筋の方がはっきりと勝ります。△同銀に今度は金を持っているため、▲73金(下図)が飛車銀両取りで打てるのが大きいです。

 

 

以下、△同桂▲同桂成△92飛▲63成桂△69飛▲45桂(下図)が一例で、石田流十分です。▲64角が残っているのが大きいです。

 

 

という事で、この記事はここまでにしたいと思います。

 

長かった棒金シリーズもこの記事で一旦一区切りとしたいと思います。