前回の続きで、角交換型中飛車の将棋を検討していきます。

 

今回は▲85桂ポンの仕掛けを模索したいと思います。基本図は下図(▲66銀まで)です。

 

 

基本図から、△52金右▲77桂△33桂に▲85桂と仕掛けてみます。

 

 

一見、桂馬のタダ捨てですが、△85同飛▲86歩△82飛▲85歩の8筋の逆襲が意外と早く、実戦的に面白い仕掛けです。

 

 

ただこの場合は、△74銀▲84歩△65歩(▲75歩は△66歩▲74歩△67歩成でダメ)▲77銀△95角(下図)が一例で受かります。また、△65歩▲同銀△44角を狙われても中飛車が苦しいでしょう。

 

 

よって、中飛車は▲89飛+▲62金型にして、角の打ち込みに備えつつ、金で6筋を守りつつ、△44角のラインに入らないようにしてから仕掛ける方が賢明です。

 

基本図から、△52金右▲77桂△33桂▲89飛△22玉▲68金△24歩に▲85桂と仕掛けてみます。

 

 

この場合は、△85同飛▲86歩△82飛▲85歩△74銀は、▲84歩△65歩▲57銀で次に▲75歩△同銀▲83歩成を狙える形です。△44角が無筋なのが大きいです。

 

 

よってこの場合の△74銀はさほど脅威ではありません。むしろ▲75歩の当たりになってくれるので、有難い部分もあります。

 

居飛車は△74銀に代えて△74歩が勝ります。△73桂~△65歩を狙っています。▲84歩には△95角が先程も出てきた角打ち。▲58金寄△84角で攻めが切れ気味です。

 

 

そこで、中飛車はこの△95角対策で、▲96歩を突いておきます。居飛車が△44歩と指したとして、▲85桂はどうでしょうか。この局面を第一図としておきます。

 

 

△85同飛▲86歩△82飛▲85歩には、△65歩があり▲同銀は△92角▲66歩△74銀▲同銀△同角▲84歩△56角で居飛車十分とAIは言います。

 

 

しかし、この受け方は流石に達人感があるので、個人的には▲85桂△同飛なら実戦的に中飛車持ちだと思います。△65歩に代えて△74銀なら、▲84歩とかわした後に▲75歩を狙って、居飛車が忙しい印象です。

 

ただ、この▲85桂ポンの仕掛けについては、素直に△85同飛と取らないケースの方が実戦的に自然な部分もあり、そうなると案外手が難しい面が出てきます。

 

例えば第一図以下、△23銀▲86歩△32金▲75歩△43金▲79飛△94歩に▲73桂成△同桂▲74歩と仕掛けても素直に△86飛と走られてどうか。以下、▲73歩成△54銀▲63と△88飛成▲78金△79竜▲同金の展開が一例で、居飛車陣の堅さと厚みが活きてきそうです。

 

 

といった感じでして、▲85桂ポンの仕掛けは▲85桂を居飛車が取らなかった時にどうするかが、決して簡単ではないんですよね。これが居飛車の四間飛車対策の1つである「ポンポン桂」の仕掛けとは決定的に異なるところです。「ポンポン桂」は取らざるを得ないというか、取らざるを得ない時に仕掛ける事ができます。

 

また、▲77桂型に対して、居飛車がシンプルに△74歩~△73桂で追随するのも普通で、たったこれだけの事でこの桂ポンの仕掛けは消えてしまいます。

 

 

更に言えば、▲77桂型にすると△54角のように桂頭の歩を狙われるのも、部分的には気になる筋として生じます。

 

展開次第では有力な仕掛けなのですが、主力の作戦として使いやすいかと言うと、正直そうは思えません。

 

さて、ここまで#1と#2では向かい飛車に振り直した後に仕掛けを目指してきみましたが、(少なくとも個人的には)いまいち有力な指し方だと思えませんでした。

 

AIの評価値が居飛車に振れるのは仕方ないのですが、もう少しアマチュアの早指し戦的に有力かつわかりやすい指し方を見つけたいところです。

 

次回は、▲55歩~▲75歩を早めに決めて浮き飛車に構える指し方を検討していきたいと思います。