将棋というのは中々理不尽なゲームです。

 

どれだけ序中盤で相手を勝っていても、終盤の1手のミスで負けに至る事もしばしばです。

 

巷ではAIの言う「勝率」1%から、藤井八冠が逆転する事が大仰に語られますが、ぶっちゃけそんなのはごくごく当たり前のように日々ネット将棋では起きている事です。

 

そもそも「勝率」という表現自体がよくわからないです(まだ「評価値」の方がしっくりきます)し、AIが指したら99%勝てるという数値であって、人間が指したらという前提が抜けている時点で、全然科学的な数値ではないのです。

 

自分は、その終盤の理不尽さはあまり好きではありません。「10対0」にしないと「勝ち」にならないゲームって、ちょっと勝者側に求めすぎだと思います。まあ、本質的にパズルゲームなので仕方ないかもしれませんが。

 

いや、終盤に関して正直に言えば、見るのは好きだけどやるのは嫌だって感じです。終盤の理論的なところは好きですけど、実際に勝負してて最終的な寄せを逃して逆転負けとかは、めちゃくちゃ辛いです。自分が実戦嫌いなのもそういうところが大きいです。

 

 

さて、この記事のタイトル「このブログが目指すもの」について。

 

このブログでは序中盤を扱う事が多いです。

 

それは、自分が上記のような理由から序中盤の方が好きだからという部分は大きいのですが、終盤に関しては実戦系の詰将棋や必死本、美濃のテクニック系の本とかを読めばある程度上がるので、あえて書いても仕方ないというのもあります。

 

「このブログが目指すもの」としては、「序中盤に関しては、このブログを読めば誰でも初段以上のレベルになれる」ような内容を残す事だと思っています。

 

たかだかアマチュア初段が何言ってんだよと思うかもしれませんが、「解説」する事に関してだけ言えば、棋力というよりは盤面をアマチュア目線で言語化する姿勢が大事だと思うのです。自分としては、できるだけ盤面を定性的に理解できるように書いているつもりではあります。

 

そもそも、今や誰でもプロ以上の棋力を持つ将棋AIを扱える時代ですので、ぶっちゃけ誰でもある程度の事は調べられちゃうんですよね。

 

そして一般の棋書では、アマチュアの実戦的には普通にあり得る候補手が検討されていなかったり、AIの読む変化とは全然違う変化が書かれていたりするわけです。振り飛車本なら振り飛車贔屓の変化とか。このブログも振り飛車贔屓に見えるかもしれませんが、少なくとも自分は、評価値がこっちに200点しかないのに「振り飛車優勢」なんて書いたりしません。

 

別に、一般の棋書が必ずしも悪いと言っているわけではありませんが、実際のところアマチュア将棋で勝つためには、アマチュア将棋に特化した作戦を調べる必要はあると思います。

 

しかしながら、それを今出版されている棋書に求めても、それほど成果が上がるとは個人的には思えません。

 

例えば、アマチュア界隈では中々に猛威を振るっているエルモ右四間飛車について、対策が記述されている棋書は殆ど見当たりません。

 

それこそ、この前記事にしたへなちょこ急戦もそうですし、嬉野流やミレニアム対策とかもいまいちでしょう。だから、アマチュアの居飛車党にやたらそういうのが多いわけです。

 

相振りだって、振り飛車党の人はそれぞれ苦労があるはずです。なんなら、▲76歩△34歩の後の3手目に何を指すべきかすら迷ってしまうという方もいるでしょう。

 

結局、棋書に書いてない色んな実戦的な事は、こっちで調べるしかないんですよね。YouTubeとかにも動画はあるかもしれませんが、動画では詳しい変化までは解説しきれないでしょう。

 

よく初心者用の振り飛車本で言われる「美濃に囲った後は、駒をぶつけて捌けば振り飛車は指せる」なんて適当な事を言うのは止めるべきです。その神話を信じて負け続ける素直な初心者がかわいそうです。

 

今や左美濃相手には、まともな美濃には囲わず「二手損居飛車」で玉頭を攻める時代じゃないですか。

 

このブログが、振り飛車党の調べる手間を少しでも減らす事ができればいいなと思っています。