前回は▲48銀型の「5筋位取り」の仕掛けを見てみました。

 

今回は、居飛車が▲45歩から仕掛ける前に、振り飛車から△54歩を突く手を検討してみたいと思います。

 

(4)第四図から△54歩

 

 

前回は△41飛や△12香を指して、居飛車の仕掛けを待ちましたが、このように振り飛車から反発していいのなら楽しいと思いますので、検討してみます。

 

振り飛車の基本的な狙い筋は、5筋で歩交換した後に△35歩から桂頭攻めする事になります。

 

(A)▲16歩

 

△15角を消した手ですが、△55歩▲同銀△54歩▲66銀で振り飛車不満なし。居飛車は左銀の立て直しに時間がかかりますが、振り飛車はその間に陣形を整備できます。

 

 

(B)▲54同歩△同銀▲16歩

 

一度取って振り飛車の△43銀型を解除させた後、▲16歩で△15角を消しておく手はあり得て、居飛車も一歩持ったので次に▲35歩△同歩▲34歩を狙っています。

 

そこで、振り飛車は先に△35歩と仕掛けます。ここから分岐を見ていきます。

 

 

(ア)▲同歩

 

△36歩▲34歩△22角▲27飛△37歩成▲同飛△84桂で振り飛車まずまず。▲77銀なら△45歩ですし、▲77角なら△73桂で△76桂▲79銀△85桂を狙います。

 

 

(イ)▲26飛

 

△45歩が継続手です。ついにこの歩をこちらから突く機会が回ってきました。

 

 

▲同歩は△88角成▲同玉△65銀があります。▲同銀は△55角、▲55銀には△52飛が受けづらく、▲46角が最善の受け方ですが、△38角(次に△56角成)▲57歩△76銀(△65角成を作る)▲66歩△49角成▲77歩△47歩が一例で、振り飛車十分です。

 

 

△45歩に▲33角成△同桂▲24歩なら△38角がここでも好手。▲47銀△同角成▲同金△46歩▲56金△47歩成で振り飛車よしです。

 

 

代えて▲33角成△同桂に▲35歩なら、△46歩と伸ばします。次に△55歩で銀を取られるため、勢い▲34歩と伸ばしますが、△57歩(下図)が急所のたたき。▲同銀なら△55歩~△56歩の時に当たります。▲48金には、△47歩成▲同銀△同飛成▲同金△44角▲66飛△同角▲同歩△58銀が一例で振り飛車優勢です。

 

 

△45歩には▲55歩が本線でしょうか。ここで居飛車に手番を握られては、▲45桂で歩を取られて火種を失いますので、構わず△46歩▲54歩△88角成▲同玉△47歩成▲同金△同飛成▲同銀△55角と技をかけにいきます。振り飛車十分です。

 

 

(ウ)▲24歩

 

△同歩は利かされで、▲35歩△36歩▲34歩△22角に▲24飛と捌かれます。以下、△37歩成▲55歩△43銀▲33歩成△同桂▲34歩で居飛車よしです。

 

 

よって、△24同角と取ります。▲26飛で桂頭を受けた時に、振り飛車から△55歩が利くのが見えにくい手でしょうか。

 

▲55同銀△同銀▲同角には、△36歩▲同飛△35銀があります。

 

 

よって、△55歩には▲47銀△32飛▲35歩△同飛▲36銀△32飛▲35歩くらいで一旦収まるのが妥当。△84歩、△73桂など指したい手が沢山ある振り飛車の方が、やや指しやすいでしょうか。

 

 

(C)▲54同歩△同銀▲55歩

 

5筋の位を確保しようという自然な手です。

 

激しくいくなら△65銀はありえる手で、▲同銀△同歩▲54銀△73金▲24歩△同歩▲97角△41飛▲77桂(▲53角成には△45歩)が一例。形勢は互角ですが、居飛車の攻めを呼び込んでいるため、少し怖いところもあります。△46銀のように噛みつく手もありません。

 

 

▲55歩には△43銀と引く方が穏便です。分岐を見ていきます。

 

(ア)▲16歩

 

△15角を消しておき、次に▲45歩で仕掛ける手を狙っています。振り飛車は一歩持った事を活かして、先に△35歩から仕掛けます。

 

▲26飛には△34銀と出るのがいい位置。そこで居飛車にわかりやすい攻め筋がありません。▲79金△32飛が一例で振り飛車まずまずです。居飛車に指したい手が殆どない一方、振り飛車には△36歩▲同飛△51角から△35銀と攻めていく狙いがあります。

 

 

▲26飛に代えて、▲47金のように手厚く受ける手の方が、実戦的には大変かもしれません。一例として、△36歩▲同金△32飛▲35歩△51角のような展開になります。振り飛車は次に△34歩▲同歩△同銀や△84角を狙っています。

 

 

居飛車は▲24歩から攻めたいところ。△同歩は、▲45歩△同歩▲54歩△33角▲53歩成△同金▲45桂△88角成▲同玉△52金▲24飛が一例で居飛車が指せます。

 

 

▲24歩には△同角が勝り、▲45歩には△35角が好手。万一▲23飛成なら、△68角成▲同金△36飛で振り飛車勝勢です。

 

 

▲23飛成に代えて▲35同金なら、△同飛▲23飛成△37飛成▲43竜と進みますが、△57歩と垂らして次に△58金を狙い、どうかというところ。居飛車も▲52銀が打てる局面で、終盤勝負の将棋でしょう。

 

 

戻って△24同角には、▲45歩に代えて▲54歩で5筋を伸ばしつつ角道を開ける準備をする手が意外と対処が難しく、△同金では▲45歩で角道をこじ開けに来る手が受けづらいです。

 

△同銀には▲44角△33角▲同角成△同桂▲23飛成△52飛▲33竜が一例。振り飛車は桂馬を取られてしまいましたが、△22角(下図)でどうか。

 

 

▲34歩には△57歩が好手で、△65銀▲同銀△58歩成が狙えます。△57歩に▲同銀なら△65銀、代えて▲59歩なら△47歩▲同銀△33角▲同歩成△49飛が上手い手順で、駒損を回復すれば玉が堅い振り飛車がやや勝ちやすいでしょう。

 

 

(イ)▲26飛

 

桂頭攻めに備えていますが、△15角▲27飛の交換が入ります。ここで△35歩は▲16歩△33角のように進むと、(ア)と飛車の位置が違うだけですが、△84角~△31角成が飛車取りに入らない分、少し損かもしれません。

 

そこで、▲27飛には△52飛と回っておき、5筋からの反撃を狙いつつ△51角を作っておきます。

 

 

ここで▲24歩△同角▲45歩△同歩▲54歩で居飛車が角道を通した場合は、△55歩が好手。▲同角は△54飛で居飛車が部分的にしびれ、次に△44銀があります。代えて▲同銀は△54銀▲同銀△同飛▲11角成なら△57歩▲48金△47銀があります。

 

 

△52飛に対して、▲16歩△51角に▲47金のように桂頭攻めに備えるなら、振り飛車からの攻めはなくなるため、陣形の整備に移ります。△84角は△39角成が飛車に当たらないため▲24歩でダメです。

 

振り飛車は銀冠に組んだ後、△54歩から打開を図るのが狙いになります。▲同歩△同銀▲55歩なら△65歩です。

 

 

さて、少し長くなってしまっているので、続きはまた次回にします。

 

次回は、▲55歩△43銀に▲45歩と仕掛けるケースを見てみます。本来なら先に仕掛けたかった居飛車からすれば、それが本線の変化だと思います。