では今回も、大橋先生の耀龍四間飛車の本を参考にしながら、いくつか変化を見ていきます。下図を第一図とします。

 

 

(1)第一図から▲59角

 

居飛車が角の転換(次に▲37角)を目指した場合です。この局面では、△64歩を既に突いていますが、▲37角型の時に△63歩型だと、△64歩では取られてしまうので、仮に△63歩型の場合は、この▲59角のタイミングで突く必要がありそうです。

 

(A)居飛車、松尾流穴熊を目指す

△82玉▲37角△63金▲68銀△83銀▲79銀右△72金▲58飛(次に▲55歩)には、△46歩と開戦します。

 

 

▲46同角は△45銀▲55角△同角▲同歩△36銀で振り飛車十分。

 

よって、▲46同歩ですが、△65歩と戦火を広げます。▲同歩△同銀は次に△66歩▲57金△76銀などがあり、居飛車が実戦的に選びづらい。

 

△65歩には▲68飛と耐えるのが一案ですが、△66歩▲同金△65歩と角道を開けつつ位を押さえておき、▲67金引△85桂で端攻めを狙っていきます。

 

 

△85桂に様々な応手が考えられるが、▲86歩なら、△97桂成からお馴染みの手順で桂香交換を行った後、△66香と打った局面(下図)は振り飛車よしです。

 

 

 

(B)居飛車、▲57角型を目指す

 

▲38飛△44角の交換を入れ、△46歩を緩和した後、▲48角△83銀▲68銀△72金▲57角とします。

 

 

ここで△65歩から仕掛けてみます。

 

△65歩には、単に▲同歩△同銀▲66歩と普通に収めておくのが居飛車側の最善のようで、振り飛車は一歩を持てますが、形勢自体は互角です。

 

大橋先生の本の変化を追うなら、△65歩以下、▲24歩△同歩▲28飛に△66歩と攻め合い、▲同金△65歩▲67金引△46歩▲同歩に△85桂(実はこの場合は△22飛が最善)と跳ね、振り飛車は6筋に拠点を作りつつの端攻めに期待します。

 

以下、▲24飛に△97桂成から桂香交換を行い、△96歩▲同歩(△97歩を作る利かし)を入れた後の△66桂が厳しく、振り飛車が十分(よしと言いたいが、この場合は居飛車にも▲64桂があります)。

 

 

 

ここまでは▲78金型を見てきましたが、ここからは▲79金型の変化を見ていきます。下図を第二図(△64歩まで)とします。

 

 

(2)第二図から▲59角

 

△82玉▲38飛△44角の交換を入れた後、▲78飛(▲79金型の狙い筋の1つ)には△63金とします。△63金に▲75歩なら、△同歩▲同飛△83銀と応じます。

 

 

後の▲75歩のような手は嫌味ですが、△83銀に代えて△74歩では銀冠の完成が遅れるため、振り飛車陣が不安定な状態で、居飛車に仕掛けを与えます(△74歩▲78飛△83銀▲28飛△22飛▲26角△33角▲35歩が一例)。

 

△83銀以下、▲78飛△72金▲28飛△33角(△22飛も有力)▲35歩には、△32飛と応じて一局。ここで▲24歩には△同角でしょうか。

 

 

▲35歩に代えて▲37角なら、厳密には双方ともに手詰まり気味です。振り飛車は耀龍と同じように地下鉄飛車を目指す(下図)のもありますが、△82玉と▲37角の位置関係的にさすがに無理筋に見えます。7筋が切れている分、居飛車の角の王手には△73歩が打てる側面もありますが。

 

 

よって、▲37角には△14歩で▲15角のような手を消しつつ、様子を窺います。▲24歩から仕掛けてくるなら、手に乗って対応していけば十分だと思います。

 

△14歩▲16歩なら、△46歩▲同歩△65歩▲同歩に△85歩が、AIの示す順です。仮に▲66銀なら、△86歩▲同歩△65銀で技が入ります。▲65同銀には△87歩があります。

 

 

△85歩に自然な受けは▲78金ですが、▲79金型を咎めた格好になります。以下、△65銀▲66歩△74銀で振り飛車不満なしです。次に△75銀~△65歩が狙い筋になります。

 

 

 

では次に、右金が67に上がらず、▲68金寄とした変化を見ていきます。下図を第三図(△84歩まで)とします。

 

 

以下、▲79金△64歩と進んだ時に、居飛車が▲35歩△同歩▲24歩△同歩▲65歩と仕掛けるのは、△77角成▲同桂△46歩▲同歩△75歩が厳しく、振り飛車よし。▲24飛には△23歩▲同飛成△22歩▲28竜△76歩です。穴熊が一段目と二段目で堅い分、桂頭が弱点になっています。

 

 

(3)第三図から▲78金寄

 

△82玉▲59角△83銀▲26角△72金に▲35歩と仕掛ける変化を見ていきます。

 

 

△同歩▲同角で、居飛車には次に▲34歩や▲24歩があります。振り飛車は△32飛と備えます。

 

なおも▲24歩に△同角や△同歩のように素直に応じるのは、居飛車の穴熊が堅いため得策ではありません。△66角▲同銀(57の銀が浮いているため▲36歩ではダメ)△35飛と豪快に捌きます。

 

 

以下、▲57角△36飛▲37歩(▲23歩成には△65桂)△56飛▲67金△57飛成▲同銀△39角と噛きつきます。形勢は互角。▲38飛には△49角です。

 

 

今回の最後に、9筋の端歩を突き合った形を見てみます。居飛車側の玉が広くなるメリットはありますが、端を詰めた形に比べると、振り飛車側も二手分くらい自陣の整備が早まります。

 

下図(△72金まで)を第4図として、少し変化を見ていきます。

 

 

(4)第4図から▲68銀

 

△64歩と突いて攻撃準備を整えます。57の銀が動き、4~6筋が薄くなったので、次に△65歩があります。居飛車は▲28飛と戻して、△33角なら▲35歩△同歩▲24歩△同歩▲65歩の仕掛けを狙うのが一案です。

 

▲28飛以下、△65歩に▲同歩なら、△77角成▲同銀△46歩▲同歩△同飛と走って、振り飛車不満なし。

 

 

▲65同歩に代えて、▲24歩と攻め合うなら、△66歩▲57金(▲同金は△85桂)△65桂▲66角△同角▲同金△39角▲37角(王手)△46歩が一例で互角です。

 

 

(5)第4図から▲59角

 

居飛車の角が居角のラインから外れ、▲65歩を用いた仕掛けがなくなったので、△64歩を突きやすくなりました。

 

▲59角△64歩以下、▲37角なら△63金(△63銀では▲55角のぶつけがある)▲48角(△65歩に備えて6筋を補強し、▲68銀と引く準備をする)△65歩▲同歩△同銀▲66歩△54銀▲68銀が一例で一局。

 

 

▲59角△64歩以下、単に▲48角なら△63銀で玉を固めつつ、5筋を突く準備をします。もし居飛車が▲57角型を選べば、△54歩の後、△55歩▲同歩△同角を狙えます。

 

△63銀以下、▲68銀△54歩▲79銀右△62金左で一局。△62金左に代えて△55歩は、▲37角△56歩▲同金(下図)で中央を支配されます。▲37角があるタイミングでは、△55歩とは行きづらいです。

 

 

というわけで、▲66歩型の居飛車穴熊の将棋の色々な変化を見てきました。

 

とりあえず、今回で居飛車穴熊は一区切りとします。次に居飛穴をやるとしたら、藤井システムあたりを検討してみたいです。