自分は初手を▲76歩で固定化していて、2手目△34歩には▲75歩で石田流を目指します。

この出だしの場合、次の4手目が結構分岐点で、後手からは様々な対応が考えられます。

△88角成:手っ取り早く、角道を止める石田流を封じる
△14歩:先手が端を受けるか受けないかで、後手が戦型を決める意図
△44歩:角道クローズタイプの相振り模様
△84歩:居飛車宣言
△35歩:相三間模様
△62銀:右四間飛車っぽい?

△32金:力戦っぽい?

というように、この4手目の時点で色々な分岐があります。石田流党は大変ですねw

 

自分の場合は、石田流の形が将棋の陣形の中で一番好きなので、これをやめる気はありませんが。

 

ちなみに、△88角成や△14歩などは、石田流対策として「4手目角交換」や「4手目△14歩」みたいに結構ちゃんと作戦として認知されていたりします。

ただ、そもそもこれらの作戦をやってくるのは少数派ですし、今のところはあまり嫌だなという感じもしていません。

△88角成なら普通に後手の一手損です。通常の角交換振り飛車と比べれば、だいぶ先手が得しています。△14歩に対しては、端を受ける手も受けない手も一局でしょう。

まあ、4手目△14歩としてくる方は、居飛車も相振りもできる実力者のはずで、結構勉強していると思うので、そういう意味で普通に手強い手合いの可能性が高い気がします。ただ、4手目△14歩と突く方は、自分の経験上は初段周辺にはそうそういないと思います。二段以上ならそれなりにいるのかもしれませんが。

そんな感じで、3手目▲75歩からの4手目の世界は結構広いのですが、決定的に困る手というのは、基本的にはありません。

しかしながら、個人的に対応を迷っている手はありまして、それが今回の記事で扱う「△54歩」です。



この4手目は、角が向かい合っている状態では普通は突いてはいけない歩で、部分的には▲22角成△同銀▲53角の打ち込みが生じます。

しかし、今回のオープニングの場合は、▲75歩型が災いしており、▲53角が両成を狙える手でないため、△62角のように対応できます。ゴキゲン中飛車の理屈と同じ感じですね。また、この場合は▲53角に△65角もあります。こちらの方が有力でしょうか。

よって、この4手目△54歩に対して、5手目の時点で先手から咎めに行く手段は基本的にありません。

とはいえ、普通に▲78飛と振ると、後手は△88角成~△45角と打ってくるかもしれません。

 



この△45角問題は、角道オープン型の振り飛車において常につきまとう筋です。ただ、▲75歩型の石田流の場合、△45角に▲76角と返す手がある場合、有利とまでは言えないが、不利という事はないとされています。

しかし、今回は△54歩型のため、▲76角が▲43角成を狙える手になっておらず、▲76角はダメです。よって、▲76角に代えて▲85角で返す事になりますが、これはこれで乱戦模様の将棋です。

こうした事情から、このオープニングを扱う多くの棋書で、△4手目54歩に対しては▲66歩で角道を止める手を推奨しています。

ただ、5手目▲66歩を選んだ場合、後手は喜んで相振り飛車を選んでくるかもしれません。

相振り飛車における三間の強みの1つには、角道を開けた状態で、早い攻撃を仕掛ける事ができる点があります。

つまり、5手目▲66歩を選ぶと、先手の人のやりたい形次第ではありますが、実戦的な不満が生じる可能性があります。

もちろん、▲66歩型でも十分戦えるのですが、▲67歩型と比べて選べる形が少し限定されたり、やや守勢になりやすい部分があります。

また、この△4手目54歩の時のためだけに、▲66歩型の相振りを研究しておくのもかなり面倒で非現実的なため、個人的にはそれが一番嫌です。

 

ある意味、4手目△54歩の主張を通しているのも気に入らない部分があります。


次回以降、△54歩への対策を更に考えていきたいと思います。

 

実は、この前の女流名人戦で、ほぼ同じ形が出てきたので、その対局のオープニングについても少し書きたいかなと思っています。