小学校の時の通学路に川が流れていた。
その川端の道が通学路の大部分だった。
川はまっすぐに流れていた。道もまっすぐ。
河川敷はないコンクリートのブロックに囲まれた用水路という感じだ。
低学年の頃は川に何の興味もなく、川端の道を通って学校へ通った。
あるとき、川にはいろいな動物がいることに気づいた。
ザリガニや小鮒、オタマジャクシ、時折カメやヘビもいた。
実際、よく川へ降りて遊ぶ悪ガキも普通にいた。
いつしか自分も下りてザリガニを捕まえたいと思うようになった。
そう思いながら通学していた。
あるとき、だいぶ年上に見えたが悪ガキが川で遊んでいた。
俺は足を止めてフェンス越しに眺めていた。
その人が、お前も下りて来いよと声をかけてきた。
俺はたじろいで黙っていたら、お前何年生だ?と聞いてくる。
俺が3年生と言ったら、俺が3年生の時は下りてたぜと言う。
手伝ってやるから下りて来いと言ってきたので、俺は下りる決心をした。
そこに足をかけて、そこを持ってと丁寧に教えてくれた。
ビクビクしながら下りていくと、その子が俺を抱きかかえて川底に下ろしてくれた。
水は冷たいというより生ぬるいくらいだった。
バケツの中のガリガニを見せてくれた。
その子が素手で触ろうとするので、俺は挟まれたら痛いよと言った。
彼は構わず器用に背中をつまんで俺に見せてくれた。
2人で話しながら川の中をザブザブ言わしながら歩いた。
話は合いそうだった。お互い、悪ガキだった。
暗くなってきたので、もう帰るよと言ったら、
彼は俺を肩車して道端に手が届くように押し上げてくた。
彼は俺に、じゃあまたな。俺はもう少しいるよと言って川の中をジャブジャブ歩いていた。
それから彼とは何回か川で一緒に遊んだ。
お互い名乗り合うこともない。他愛の話ばかりしていたが妙に気が合っていた。
会うたびに仲良くなって、お前大きくなったら何になりたい?という話になった。
俺は西城秀樹みたいな歌手になりたいと言ったら、
お前は顔が悪いから西城秀樹みたいになれないよと揶揄う。
お兄ちゃんこそ声が変だから歌手になれないよと言い返したら
俺はこんな声でも歌は得意なんだぞと言って、ゲイラカイトのCMソングを歌いだした。
裏声の部分がきれいに出ていた。
当時の悪ガキはみんな、あの裏声を出すのに腐心していたので驚いた。
彼は会うたびに流行りの歌を替え歌で歌って見せた。
俺も調子に乗って一緒に歌うこともしばしばあった。
とにかく楽しかったが、1年くらいしたら自然と会う機会がなくなってしまった。
小学5年の時に俺は親の都合で引っ越しして学校も転校した。
彼と再会したのは高校生の時だった。彼はテレビに出て歌っていた。
顔と声の独特な感じで分かった。声変わりしてたけど、あの独特な感じは同じだった。
それにニヤッと笑ったときに見せた、あの変わった歯並び。
思えば川で一緒に替え歌を歌ったのは、夢のデュエットだったなと思う。