※  妄想小説です 

実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません

 BL的表現を含みます。

 

 

智side

 

気の休まる相手とのんびり呑むのは気持ちいい。

 

他の誰かだとこうはいかないだろうな…。

 

酎ハイに変えてから数杯…。

 

翔が首の辺りを頻繁に触るようになった。

 

この仕草が出たら、かなり酔っぱらっているってことだ。

 

かくいう俺も酔いが回り、意識もぼんやりしてきた。

 

このままじゃ2人してラグマットの上で爆睡しかねない。

 

「しょ…ねみぃ…」

 

「ん…じゃ、ベッドまで運ぶよ」

 

「そんな酔っぱらってんのに?」

 

「俺はまだへーきだよ。

酒には強いって知ってるでしょ?」

 

「嘘つけぇ…。

もうフラフラじゃんか」

 

「だいじょーぶだって。

ほらつかまってぇ…」

 

人の事は言えないけど、翔の呂律もかなり怪しい…。

 

おぼつかない足取りで抱えられ、ヨタヨタと寝室へ向かった。

 

「さーついたよ、おひめさまぁ~」

 

「誰がひめだよ…ったく…」

 

「智は俺にとって…姫…。

いや…王子…?

いやいや…ナイト?」

 

「ブハッ!

なに言ってるんだ、王子っていうのりゃぁ

おれじゃねーだろ!」

 

いきなり始まった翔の戯言がツボに入ってしまう。

 

「そうかなあ…?

でもぉ、さとしは皆の王子さまなんだよねぇ?」

 

「んふふっ。

俺がいつ王子になったんだよー。

ばかだなー」

 

「あっ!だめだ!

智が王子になったらー

俺がひめになっちゃう~」

 

「ブハハッ!

それは良いじゃーん

しょぉひめ~」

 

2人で笑い転げながら、シーツの上になだれこみどちらからともなく 唇 を重ねた。

 

悪戯みたいな軽い キ スを交わしていると、翔がボソリと呟く。

 

「さとしぃ、

おれのだけの王子になってよ…」

 

さっきまで芸人みたいなテンションだった翔が、少しだけ切なそうな表情を見せてきた。

 

健気に見えるその姿に胸をキュンと撃たれる。

 

翔が望むなら…そうしたいよ。

 

まぁ、俺はどう頑張っても王子様にはなれねぇけどな…。

 

それに王子っていうなら翔の方が断然似合うだろ?

 

って言うのは恥ずかしくて言葉に出来ねぇけど…。

 

何か言葉を返そうと思うけど、上手い台詞が思いつかない。

 

気がつくとスースーという寝息が隣から聞こえてきた。

 

「こっちの気も知らないで…、んふふ」

 

すぐ隣に見える子供の様な無防備な寝姿に、笑みが漏れてしまう。

 

翔と一緒に暮らしたら、毎日こんな可愛い表情が見られるのかな?

 

想像するだけで幸せな気持ちになるよ。

 

「んふ…ふふっ」

 

「ん~…さと…。

だめ…そこは…」

 

「フハッ、俺はなにもしてねーつうの」

 

意味不明な寝言を聞くのは楽しいけど、俺ももう限界…。

 

激しい睡魔に身を委ね、翔の隣で眠りに落ちた。

 

そして翌朝。

 

何かが動く気配で目が覚める。

 

「ん…しょぉ?」

 

目を半分瞑ったまま手を動かすが、そこには何もない。

 

もう起きているのか…?

 

まだ覚醒しきっていない頭のままベッドから起き上がり、部屋を出る。

 

リビングまで行くとぼさぼさ頭の翔がこっちを振り返った。

 

「あ、おはよ…智」

 

「はよ…、って今何時?」

 

「えーっと?何時だろ…」

 

翔も起きたばかりのようだ。

 

「まだ8時だね。

智は寝てて良いんだよ?」

 

「んー、翔は?」

 

「俺はなんか目が覚めちゃったよ。

すっげぇよく眠れたし」

 

「じゃ俺も起きる」

 

よく眠れたのは俺も同じだ。

 

シャッとカーテンを引いた翔が窓の外を眺め、背伸びをする。

 

「ん~!

今日も暑そうだねぇ」

 

「だなぁ…」

 

「今日はゆっくり出来るんだよね?」

 

「ああ、そのつもりだよ」

 

「日向ちゃんの所には行かないの?」

 

「今日はじいじとばあばの所に行くって言ってたけど

夜には帰ってくるのかな?どうだろ?」

 

「そっか~。

もし居るなら会いに行こうかな~って思ってたんだけど…」

 

「そうだな。

あとで聞いてみるか」

 

「ホント?

嬉しいな。

日向ちゃん大きくなったでしょ?」

 

「ああ、おてんば要素満載だぞ?」

 

「元気がよくて何よりじゃない」

 

「確かにな。

よしッ、顔洗ってくるわ」

 

「うん、俺も」

 

さてと…。

 

休日の朝ご飯は何にしようかな?

 

たっぷり眠ったせいか、腹も空いてきた。

 

翔は何が食いたいって言うかな?

 



※明日と明後日はお休み致します〜。