※妄想小説です 

実在する人物・団体とは一切関係ありません

BL的表現を含みます









 

そしてやって来た俺の誕生日。

 

猛ダッシュで仕事を片付け、定時きっかりに会社を後にする。

 

待ち合わせはいつもの駅前。

 

智くんと食事したあと、その足で智くんの部屋に向かった。

 

正直、食事の味なんてさっぱり分からなかった。

 

だってそうでしょ。

 

今日はいよいよ、智くんと初 エ ッ チの日なんだから。

 

気もそぞろっていうか、緊張が凄くて食事どころじゃなかったんだよ。

 

食べ物を口に運ぶ智くんの唇にばっかり目が行っちゃうし。

 

嚥下するたびに動く喉仏が、俺を誘ってるように見えちゃうしで。

 

頭の中は、めくるめく情 事に妄想が掻き立てられてばっかりだった。

 

部屋に入ってすぐ、冷気を纏った智くんの身 体を抱きしめる。

 

「智くん…」

 

そっと 唇 を重ねて喰むように啄んでいると、背中に智くんの腕が回ってきた。

 

「…ん…あ…」

 

智くんから漏れ出る 吐 息がめっちゃ色っぽい。

 

キ スをしながら縺れ合うように、ベッドになだれ込んだ俺たちだったけど、そこで智くんから待ったがかかった。

 

「翔くん…待って。風呂…」

 

そう言われハタと思いだす。

 

そうだよ。

 

この日を迎えるために、俺、色々勉強したんだよ。

 

男同士だからね。

 

下準備が必要。

 

男女の様にバーンと押したおしてそのままイタすって事は出来ない。

 

「あ、ごめん…。そうだよね」

 

「翔くん…準備してきて」

 

へ?

 

俺?

 

俺はあれだよね。シャワーを浴びるだけで良いんだよね?

 

キョトンとしていると智くんが「空っぽにしてくるんだよ」と耳打ちしてくる。

 

えーと。

 

そうなの?

 

上になる側でもその準備必要なのかな?

 

読んだ本には書いてなかったけど、智くんがそう言うなら従った方が良いよね?

 

促されて先に準備をした俺だけど、何か釈然としない。

 

ついさっきまで盛り上がっていたエ ロ い気持ちも、下準備の作業ですっかり冷めてしまった。

 

なんて言うか…。男同士って大変なんだな。なんて冷静になる自分もいる。

 

入れ替わりでバスルームに消えた智くんを待つ間、冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取り出して喉を潤す。

 

こんなんで俺、大丈夫かな?

 

そんな不安を抱えていたけど、バスルームから出てきた智くんを見て杞憂だったことを思い知る。

 

露わになった上半身はしっとりと艶 め いていて、華奢な腰にバスタオルを巻いただけの姿にバクンと心臓が跳ね上がった。

 

ヤバ…。

 

智くんその姿はやばいよ。

 

なんなの?全身から色 気 がダダ漏れだよ。

 

吸い寄せられるようにフラフラ~と立ち上がり智くんの元へ歩み寄る。

 

「智くん…」

 

まだ湿り気を帯びた身体に抱き着いて、唇 を重ねた。

 

上 唇、下 唇を交互に 啄んで、薄く開いた所から舌先を忍び込ませる。

 

小さく震える智くんが可愛くて…。

 

ギュッと抱きしめながら、口 内を味わっていく。

 

歯 列 をなぞり、頬の内側の柔らかい場所を擽ると智くんから小さく息が漏れだす。

 

「…ん…は…」

 

ヤバい。

 

キスだけで、気持ち良い。

 

直に伝わる体温も。

 

プニプニの 唇 も。

 

どこに触れていても蕩けてしまいそう。

 

こんな感覚初めてだよ。

 

キ スだけでこんなに気持ちが動くなんて、今までなかった。

 

これって智くんが相手だからだよね。

 

大好きな智くんが相手だから。

 

クチュクチュと唾 液 の混ざる音すら気持ち良い。

 

浅ましいとは思うけど、キ スだけで体の奥が疼いてきて熱を持ってるのが分かる。

 

そんな俺の変化に気がづいたのか、チュッとリップ音を立てて智くんが口 づ けを解く。

 

「翔くん…一緒に気持ち良くなろっか?」

 

耳たぶに 唇 を落とした智くんが低く囁く。

 

どこか舌足らずな甘い声に、ドキリと胸が高鳴って腰の力が抜けていく。

 

ズルイよ。智くん。

 

そんな声でそんなセリフ言われたら俺…なすすべなんかなくなっちゃう。

 

コクンと頷くと、手を引かれベッドに押し倒された。

 

俺の上に跨る智くんが、腰に巻いていたバスタオルをはぎ取る。

 

同じように自分のバスタオルも取り去って、生ま れた ままの姿になった智くん。

 

見上げる形だけど、こうして見てもやっぱり綺麗だなって思う。

 

全体的に薄くついた筋肉に、細い手首。

 

しなやかなスタイルに思わず魅入ってしまう。

 

「翔くん…?」

 

「え、あ…うん?」

 

「大丈夫?やっぱ俺じゃ無理?」

 

「え!何言って…」

 

「翔くん、男は初めてでしょ?

その気になる?」

 

その言葉にズキっと胸が痛んだ。

 

俺は。って事は智くんは経験があるって事だもんね。

 

そうだろうなと分かっていたけど、いざ言葉にされると辛い。

 

過去の事とはいえ、智くんが関係を結んできた男に嫉妬してしまう。

 

と、同時に子供の様にいじける自分もいて。

 

曇る俺の顔を見て、智くんがため息を漏らす。

 

「無理しなくて良いんだぞ。

俺も男相手は初めてだし…」

 

え?

 

ハジメテ?

 

そうなの?

 

でも、前に好きになったら男も関係ないって言ったよね?

 

疑問が顔に出たのか、智くんがふふっと苦笑いをする。

 

「そういう機会が無かったわけじゃないけど、踏み切れなかったんだ。

だから…。男相手っていうのは翔くんが初めてだよ?」

 

その言葉に沈みかけた気持ちが一気に再浮上する。

 

って。俺めちゃくちゃ現金だよな。

 

智くんの(男が)初が俺だと聞いて、嬉しさが込み上げてくるんだよ。

 

「智くん…俺、嬉しいよ…」

 

「本当に…?俺で良いの?」

 

「良いに決まってる。智くんが良いよ。

智くんじゃなきゃ嫌だよ」

 

「…翔くん」

 

少し頬を緩めた智くんの腕を掴んでグイッと引き寄せた。

 

俺の気持ちを分かって欲しくて、唇 を重ねる。

 

ねぇ、智くん。

 

俺は真剣だよ。

 

本気で智くんと繋がりたいって思ってる。

 

智くんが欲しくて堪らないんだ。

 

この気持ち信じてくれる?










※読み返したら限定にしなくても大丈夫かな?

と思い一般公開にしました〜。

明日からは限定になる予定です(タブン)