※妄想小説です 

実在する人物・団体とは一切関係ありません

BL的表現を含みます

 









智くんに抱きしめられて鼓動が壊れそうなくらい速くなる。

 

全身で脈打ってるようだ。

 

身体は沸騰しそうに熱いし、なんなら頭から湯気でも沸いてるんじゃないかって思うくらいだよ。

 

さるるがままに固まっていたら、智くんがポツリと呟いた。

 

「嬉しいよ、翔くん」

 

え?

 

今、なんて?

 

嬉しいって、そう言った?

 

「さ、智くん…もう一回…」

 

ギュッと抱きすくめられたあと、智くんの身体が離れていく。

 

俺の顔を覗きこんだ智くんが、真剣な目をして繰り返す。

 

「嬉しいって言ったんだ、翔くんに好きって言って貰えて」

 

「え…本当?」

 

「ふふ、本当だよ?」

 

「嫌じゃないの?」

 

「嫌な訳ないよ。って翔くんまだ判んない?」

 

「…何が?え?」

 

虚を突かれたような間抜け顔の俺を見て、智くんがクスっと笑う。

 

そしてゆっくり顔を近づけてきた。

 

スローモーションのように智くんの目や鼻、唇がアップになって思わず魅入ってしまう。

 

どこを切り取っても綺麗なんだよな…。

 

そう思った瞬間、唇にフニっとした感触が当たった。

 

温かくて柔らかいそれはチュッとリップ音をさせてすぐに離れる。

 

一瞬何が起こったのか分からなかったけど、智くんの熱っぽい目を見てようやく自分がキスされたんだと気がついた。

 

「智くん…?え?」

 

「これで分かった?」

 

「え?…分かるって…何が?」

 

「鈍いなあ…。俺も同じ気持ちって事だよ」

 

「同じ気持ち…?」

 

オウム返しをする俺を見て智くんが優しく微笑む。

 

「好きだよ、翔くん。

ずっと好きだった…」

 

そう言った智くんが、再び近づいてきて俺の 唇 を奪う。

 

今度は触れるだけじゃなくて、軽く喰むようにして唇が移動する。

 

あったくて優しい。

 

まるで智くんそのものみたいなキ スだ。

 

慈しむように触れられて、身体からヘナヘナ~と力が抜けてしまう。

 

薄く開いた 唇 から、智くんの舌 先が入ってきて、躊躇いがちに俺の口 内を弄っていく。

 

歯 列を擽られ、頬の内側の敏感な部分を撫でられ、背筋に電流のような痺れが走る。

 

「…ん…あ…」

 

くちゅっと唾 液 の混ざる音と共に、自分の声とは思えないような艶っぽい吐 息 が漏れた。

 

「…可愛い…翔くん」

 

そんな俺の反応に煽られるように、智くが口 づ けを深めてくる。

 

ダメだ…。

 

そんな風にされたら、俺だって我慢出来ないよ。

 

されっぱなしだった口 づ けを解いて、今度は俺の方から仕掛けた。

 

智くんの唇 を甘 噛 みして、舌 先を絡めとる。

 

ああ。

 

やばい。

 

キ スってこんな甘かったっけ?

 

こんなに気持ち良いものだったっけ?

 

智くんに触れてると思うだけで蕩けそうなんだよ。

 

今だってほら。

 

触れた箇所が火傷しそうに熱いもん。

 

痺れるような感覚がずっと続いていて…。

 

キ スだけでノックアウトされそうだよ。

 

どのくらいそうしていたんだろう。

 

智くんがそっと俺から離れていく。

 

「智くん…」

 

唾 液に塗れた 唇 をグイッと手の甲で拭った智くんが俺を見つめ返す。

 

「翔くん…大好きだよ」

 

「…っ!

俺も。

大好き。智くんが大好き…」

 

改めて言葉にして想いが込み上げてくる。

 

「んふふ。やっと言えた…」

 

安堵するような顔の智くんに、胸がジーンと熱くなって…。

 

やっと…。

 

その言葉が凄く嬉しくて。

 

智くんの想いが知れて嬉しくて。

 

天にも舞い上がるよな気持ちだよ。

 

「智くん…俺たち恋人同士になったんだよね?」

 

「ふふ。そうだな?」

 

「…っ!

…智くん、俺めちゃめちゃ嬉しい!!」

 

「俺も…。まさかこうなるとは思ってなかった」

 

眉を下げた智くんに目頭が熱くなってくる。

 

俺だって予想してなかったけど、これって良い事だよね?

 

好きになるのに性別なんて関係ないし。

 

お互いが好き合ってるなら問題ないでしょ。

 

「智くん…もう一回…キスして良い?」

 

「…そんな事、訊くなよ…」

 

低く呟いた智くんが、チュッと唇 を重ねてくる。

 

そんな些細な事が飛びあがるほど嬉しい。

 

仕方ないよね。

 

浮かれ過ぎだって思うけど、嬉しいんだもん。

 

さっきより長めのキ スを交わした後、智くんの髪を撫でながらもうひとつの告白を重ねる。

 

「あのね、聞いて…。

智くんは、俺のヒーローなんだよ」

 

「ヒーロー?なんで?」

 

「初めて会った時、助けてくれたでしょ?

その時思ったんだ。ヒーローが現れたって」

 

「大げさだな。声を掛けただけだろ」

 

「そんなことないよ。俺にとっては」

 

ふーん。と言った智くんが身体を離して、にやりと口の端を上げる。

 

「じゃあ翔くんはヒロインって事だな?」

 

「…え、いや…そう意味じゃ…」

 

思わぬ返しに言葉を詰まらせてしまう。

 

「んふふ。どっちでも良いか」

 

そう言って微笑んだ智くんが、俺のおでこに自分のおでこをピタっとくっつけてくる。

 

智くんは俺にとってヒーローだけど、ヒーローが助けるのはヒロインとは限らないじゃない。

 

どう見ても俺はヒロインじゃないしね。

 

でもまあ、智くんの言う通りどっちでも良いのかな。

 

その智くんが思い出したように口を開いた。

 

「なあ、翔くん。

…もうすぐ翔くんの誕生日だろ?」

 

唐突に出た話題にぴくっと肩が揺れる。

 

「…覚えててくれたの?」

 

「うん。何か欲しい物ある?」

 

それなら…。

 

物じゃないけど…あるよ。

 

「智くん。智くんと一緒にいたい」

 

俺の答えに一瞬目を見張った智くんが頬を緩める。

 

「んふふ。欲が無いな~。

分かった。じゃあさ…」

 

「うん?」

 

「その日、俺を貰ってくれる?」

 

「え…智くんを?

それって…」

 

意味は訊くまでもないよね?

 

つまり…そういう事で良いんだよね?

 

智くんのあられもない姿が浮かんできて、ポッと頬が赤くなる。

 

「だめ?貰ってくれない?」

 

「…っ!貰う!もちろん喜んで!!」

 

智くんに抱き着いて、回した手に力を込めた。

 

「い、痛いよ翔くん…」

 

困ったように訴えてくる智くんが愛おしい。

 

「嬉しい…。

ありがとう智くんっ」

 

「ふふ。俺も嬉しい。

翔くんの誕生日、楽しみにしてる」


それは俺こそだよ。


智くんの想い。

 

その想いが俺にとっては宝物なんだ。

 

智くんとのハジメテ。その日が待ち遠しい。

 

優しくするからね。

 

これでもかってくらい優しくするよ。

 

そしてこの先もずっとね。

 

ね!マイヒーロー♡

 

 

 

 

 

END

 







※本編?はここで一旦endですが

明日からおまけで限定記事が続きます〜。

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